マテリアル工学実験

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 マテリアル工学実験
科目番号 0108 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 自作プリント(実験テキスト,理系文章の書き方)
担当教員 小林 淳哉,松永 智子

到達目標

1.産業を支えるいくつかの無機材料について、基本的な合成方法と物性の評価方法を説明できる。
2.高機能化など、物性の向上のための実験計画を考えることができ、その方法の効果を評価できる。
3.得られた技術的な成果を、報告書および口頭で説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1基本的な材料合成の方法と物性の評価、各種計算を正しく行うことができる基本的な材料合成の方法と物性の評価、各種計算を行うことができる左記に達していない
評価項目2実験計画を複数の方法から立てることができ、計画的に実行し、課題解決への取組の効果を評価できる実験計画を立てることができ、課題解決に計画的に取り組むことができる左記に達していない
評価項目3正しい日本語による文章や、適切な図表を選択して、技術的成果を論理的に説明できる日本語による文章や、適切な図表を選択して、技術的成果を説明できる左記に達していない
評価項目4実験成果を聞き手の専門性を考慮して、スライドを通して口頭発表できる。実験成果をスライドを通して口頭発表できる。

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 A 説明 閉じる
函館高専教育目標 B 説明 閉じる
函館高専教育目標 E 説明 閉じる
函館高専教育目標 F 説明 閉じる

教育方法等

概要:
これまで学んだ無機化学や分析化学の知識を活用し、機能性無機材料の基本的な合成方法と物性の評価方法を選択できるようになるための科目である。Project Based Learning(PBL)科目であるので、課題の解決方法はテーマごとに異なり、その方法も自らが考えることが求められる。
<実務との関係>
 この科目は企業で無機材料開発を研究していた教員が,その経験を活かし,目的に沿った無機材料の開発手法について実験形式で授業を行うものである。
◯函館高専が進める水産海洋に関係した産業を活性化させようとする「函館水産海洋工学」を海洋系未利用資源の有効利用という観点から考えることができるような内容も含めている。
授業の進め方・方法:
実験は3~4名程度のグループで行う。実験は必要な技術や理論を学ぶ基本実験とそれを発展させた発展実験からなる。発展実験では教師は必要最低限のことしか指導しないので、自分達で考え、調査する。基本実験,発展実験に何回の実験時間を当てるかは各テーマにより異なる。発展実験前は計画的に実施できるように、何をいつまでに検討するかをグループで事前に十分に話し合い、実験計画書を作成し、教員のチェックを受けること。
レポートは基本実験、発展実験ともに提出する。非論理的、文法上の誤りなどは再提出させる。(別途評価の指標を配布する)
・基本実験(20%)では、専門工学の基本的な理解(B)、日本語として論理的に成果をまとめる能力(E)を評価する
・発展実験(40%)では、上記の基本実験での2つの評価に加え、試行錯誤の履歴から,汎用的技能としての「エンジニアリングデザイン能力(F)」「創意工夫のための実行力(A)」を評価する。
・実験計画書(10%)では、取り組むべき課題を明確化し,それを解決する実験方法を提示できる能力を評価する(F)。
・報告会(30%)では、専門工学の理解(B)、図表の適切さや口頭発表としての形式なども含めた発表としての形式でのプレゼンテーション能力(E)を評価する。
注意点:
実験レポートは基本実験と発展実験に関して書く。レポートが期限までに未提出の場合、基本実験、発展実験、あるいはその両方の実験に関係する専門知識を基に考察すべきことを明示した課題を与える。その課題は対応するレポートの一つまたは2つ分の成績の60%を最大として置き換える。(ペーパー試験における再試験に相当する考え方)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 実験の進め方、評価の方法について把握する
2週 基本実験の説明 基本実験のテーマについて実験操作、目的、実験する上での危険性など説明できるようになる。
3週 同上 同上
4週 発展実験の説明 発展実験で明らかにすること、実験計画の重要性など説明できるようになる
5週 同上 同上
6週 基本実験 実験操作、実験データのまとめ、考察など、必要な情報をまとめられる
7週 同上 同上
8週 実験計画書作成 基本実験に基づいた実験計画を目的と実験方法、スケジュールなど盛込んで文章にすることができる。
4thQ
9週 発展実験 実験計画に沿った実験を進め、結果をもとに考察することができる。
10週 発展実験 同上
11週 発展実験 同上
12週 発展実験 同上
13週 発展実験 同上
14週 報告会スライド作成 実験で明らかにできた結果と考察を他者にわかりやすいという視点で取りまとめることができる。
15週 実験報告会 他者に実験結果を口頭で分かりやすく説明でき、質問に対して端的に回答できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。4後2,後6,後7
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。4後2,後6,後7
ファラデーの法則による計算ができる。4後2,後7
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。4後2
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。4後2
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3後1,後7
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3後1,後7
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3後2
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3後2
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3後8,後13
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3後13
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3後13
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4後13
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4後15
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。4後9,後14,後15
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。4後9
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4後6,後9
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4後6,後9
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4後8
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4後8
情報リテラシー情報リテラシー情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を活用できる。4後4,後6
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。3
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。3
分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。4後6
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。4後6
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。3後6
無機および有機物に関する代表的な構造分析、定性、定量分析法等を理解している。4後6
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。4後6
特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。4後6
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。3
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4後6
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。3後6
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。2後6,後8
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4後6,後8
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4後6,後8
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。2後6,後8
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3後8,後9
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3後8,後9,後14,後15
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3後4,後8
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3後4,後8
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3後4,後8
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3後4,後8
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3後4,後8
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3後14,後15
複数の情報を整理・構造化できる。3後8,後9
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3後2,後10
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3後2,後10
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3後2,後8
事実をもとに論理や考察を展開できる。3後9
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3後14
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3後2
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3後2
目標の実現に向けて計画ができる。3後8
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3後8
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3後8
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3後8
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3後8

評価割合

レポート(基本実験)レポート(発展実験)成果報告会計画書ポートフォリオその他合計
総合評価割合3040201000100
基礎的能力0000000
専門的能力15201000045
分野横断的能力152010100055