物理化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 物理化学Ⅲ
科目番号 0395 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質環境工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 斉藤勝裕著「わかる反応速度論」(三共出版)
担当教員 小原 寿幸

到達目標

1.化学反応速度とはどのようなものか説明できる。
2.化学反応速度を理論的に予測し、実験データを用いて反応解析をすることができる。
3.触媒反応の機構について物理化学的立場から説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1化学反応速度について、その定義、解析方法を説明できる。化学反応速度の定義について説明できる。化学反応速度がどのようなものか説明できない。
評価項目2化学反応速度を理論的に予測し、実験データを用いて反応解析をすることができる。教科書を見ながらであれば、化学反応速度を理論的に予測し、実験データを用いて反応解析をすることができる。化学反応速度を理論的に予測し、実験データを用いて反応解析をすることができない。
評価項目3触媒反応の機構について物理化学的立場から説明できる。教科書を見ながらであれば、触媒反応の機構について物理化学的立場から説明できる。触媒反応の機構について物理化学的立場から説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 (B-1) 説明 閉じる
学習・教育到達目標 (B-2) 説明 閉じる
函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義では、物理化学の重要な一分野である化学反応速度論を、①反応速度を理論的に予測することを目的とする反応速度理論、②反応速度と反応条件を測定して反応機構を調べる実験的反応速度論を中心に学び、化学反応の研究に必要な速度論的解析を行うために重要な基礎的知識を習得することを目的とする。
授業の進め方・方法:
物理化学は基礎的理論であり、物質の化学変化に対する一般的法則を与えるものである。法則であるからには多少とも数学的表現を用いなければならないが、出来るだけ平易に時間をかけて講義するので、授業中のノート作成や復習を十分に行うこと。特に、「化学反応速度論」は「平衡論」と並んで、化学・物質工学の重要な柱であるので、興味を持って学習して貰いたい。
注意点:
自分で演習問題を解くことが理解を一層強めるために極めて有効であるので、章末の演習問題を解くことを勧める。また、原著に挑戦することも意義のあることである。

JABEE教育到達目標評価 定期試験100%(B-2;70%,B-1;30%)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
1.化学反応速度(コア)
化学反応速度について説明できる。
2週 1)速度論の実験的方法 反応系と生成系の濃度を追跡する方法を理解できる。
3週 2)反応次数の概念 反応次数と全次数の意義を説明できる。
4週 3)速度式の解釈 1次および2次反応の積分形速度式を導くことができる。
5週 4)複雑な反応 速度定数の温度依存性に関するArrheniusの式の意味を理解し、説明できる。
6週 5)反応の解析① 反応に関する物質の半減期の定義ができる。連続反応、可逆反応を説明できる。
7週 6) 反応の解析② 速度論スキームを簡単にするための定常状態の近似ができる。律速段階近似を理解できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 試験返却・解答解説等(1h)
2.反応速度の理論(コア)
1)気相反応の衝突理論
問題の解答解説を通して自分の間違った箇所を理解する。気相反応の衝突理論について理解できる。。
10週 2)反応速度の活性錯合体理論 活性錯合体理論を反応座標と遷移状態を用いて定式化することができる
11週 3.)熱力学を使った活性錯合体 衝突理論の活性化エントロピーによる解釈の方法を理解できる。
12週 3.触媒作用(コア)
1)触媒表面の成長と構造
触媒表面の成長と構造について理解できる。
13週 2)触媒表面における吸着 物理吸着過程と化学吸着過程の違いを理解できる。LangmuirおよびBETの吸着等温式を使用できる。
14週 3)触媒表面の活性 不均一触媒作用の例をまとめ、理解できる。
15週 前期期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 ・間違った問題の正答を求めることができる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。3前2
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。3前3
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。3前4
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。4前6
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4前7
衝突理論を理解して、アレニウスプロットを説明できる。4前11
活性錯合体理論を理解して、アイリングプロットを説明できる。4前10
活性状態のエンタルピー、エントロピー、自由エネルギーの関係を定量的に説明できる。4前11
触媒の性質・構造を理解して、活性化エネルギーとの関係を説明できる。3前12
表面の触媒活性を理解して、代表的な触媒反応を説明できる。4前12

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力700000070
専門的能力300000030
分野横断的能力0000000