材料物性工学実験

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料物性工学実験
科目番号 0410 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 改訂高分子化学入門(蒲池幹治 NTS),化学工学(川崎順二郎・種茂豊一監修 実教出版),物理化学要論(P.W. Atkins著 千原秀昭訳 東京化学同人)
担当教員 清野 晃之,寺門 修

到達目標

1.分子量の測定により、束一的性質から分子量を求めることができる。
2.粘度計を用いて、各種液体・溶液を測定し、濃度依存性を説明できる。
3.流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を理解する。
4.液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。
5.流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1粘度計を用いて高分子溶液を測定し、そのデータの解析と分子量を計算し、理論値との比較ができる。粘度計を用いて高分子溶液を測定し、テキストを見ながら、データの解析と分子量を計算できる。粘度計を用いて高分子溶液を測定し、テキストを見ても、データの解析と分子量を計算できない。
評価項目2回転粘度計を用いて高分子溶液を測定し、データ解析ができると同時に、濃度依存性やニュートン流体・非ニュートン流体も説明できる。回転粘度計を用いて高分子溶液を測定し、結果の図から濃度依存性やニュートン流体・非ニュートン流体を説明できる。回転粘度計を用いて高分子溶液を測定し、そのデータから濃度依存性やニュートン流体・非ニュートン流体を説明することができない。
評価項目3熱電対を用いて、二成分系合金の冷却曲線の測定ができ、その他の温度計測法についても説明できる。熱電対による温度計測法が理解でき、二成分系合金の冷却曲線を測定できる。熱電対による温度計測法が理解できず、また、二成分系合金の冷却曲線を測定できない。
評価項目4精留装置を用いて蒸留実験ができ、気液平衡データを使った階段作図の作成および理論段を求めることができると同時に、気液平衡計算ができる。精留装置を用いて蒸留実験ができ、テキストを見ながら、気液平衡データを使った階段作図の作成および理論段を求めることができる。精留装置を用いて蒸留実験ができず、また、気液平衡データを使った階段作図の作成および理論段を求めることができない。
評価項目5蒸留実験を通じて蒸留塔内の物質移動の原理を理解でき、総括移動単位数などの物質収支の計算や蒸留塔の設計との連関の説明ができる。蒸留実験を通じて蒸留塔内の物質移動の原理を理解でき、テキストを見ながら総括移動単位数などの物質収支の計算ができる。蒸留実験を通じて蒸留塔内の物質移動の原理を理解できず、総括移動単位数などの物質収支の計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 (A-2) 説明 閉じる
学習・教育到達目標 (B-4) 説明 閉じる
学習・教育到達目標 (D-2) 説明 閉じる
函館高専教育目標 A 説明 閉じる
函館高専教育目標 B 説明 閉じる
函館高専教育目標 E 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機材料工学Iで学習した高分子の力学的性質や、化学工学・材料工学分野で学習した蒸留や二成分系合金の状態図についての基礎技術を学び、実社会における様々な課題に対しても、適用できるようになるレベルを目指している。最終的に,成果をレポートに正確,論理的にまとめることを目指している。さらに、自らが主導的に実験を進め、創意工夫して目的に到達できるようになることを目指している。
授業の進め方・方法:
本講義は有機材料工学Iで学習した高分子の力学的性質についての知識、ならびに化学工学や物理化学で学習した蒸留や相平衡の知識が必要となるため,復習を十分に行うこと。また,実験前にはテキストを十分に読み,実験当日スムーズに進められるようにしておくこと。実験後は即レポートをまとめ,期日までに提出すること。不明なことは担当教員に聞くこと。
注意点:
未提出のレポートが一つでもある場合は不合格とする。
教育到達目標評価:レポート100%(A-2:20%,B-4:60%,E-2:20%)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス(1h) ・実験の実施方法,注意事項が理解できる
2週 テーマ①ガイダンス(3h)(コア) ・粘度計を用いた分子量の測定法が理解できる
3週 テーマ②ガイダンス(コア) ・回転粘度計の原理を理解できる
・流動曲線の書き方が理解できる
4週 テーマ③ガイダンス(コア) ・引張り試験機の原理を理解できる
・s-s曲線の書き方が理解できる
5週 テーマ④ガイダンス(コア) ・二成分系の気液平衡を理解できる
・蒸留の理論段の求め方が理解できる
6週 テーマ⑤ガイダンス(コア) ・二成分系の固液平衡を理解できる
・冷却曲線と状態図の関係が理解できる
7週 グループ実験(7回~14回)
8週 5テーマを5つのグループに分かれて実施
2ndQ
9週 テーマ① (コア)
粘度法による高分子物質の分子量の測定
・高分子物質の物性に影響のある分子量の測定方法を理解し,説明できる
10週 テーマ②(コア)
回転粘度計による高分子濃厚溶液の流動曲線の決定
・高分子物質の物性に影響・粘度計により,流動曲線を作成し,流動性特性を理解し,説明できる
11週 テーマ③(コア)
引張り試験による高分子物質のs-s曲線の測定
・物質の固体強度物性の測定方法を理解し,説明できる
12週 テーマ④(コア)
蒸留による理論段の測定
・水溶液の蒸留実験から理論段を求めること,ならびに蒸留塔内の物質移動についての内容を理解し,説明できる
13週 テーマ⑤(コア)
二成分系合金の状態図作成
・熱電対を用いた温度測定が理解でき,二成分系合金の冷却曲線測定から状態図を作成できる
14週
15週 再(追)実験・レポート指導 ・提出レポートに対する添削指導を行う
・不正確なデータの場合は再実験または追実験を行う
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。2前4,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】物理化学実験粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。3
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合00000100100
基礎的能力0000000
専門的能力00000100100
分野横断的能力0000000