高分子化学

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 高分子化学
科目番号 0444 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 改訂高分子化学入門-高分子の面白さはどこからくるか-(蒲池幹治 エヌ・ティー・エス),工学のための高分子材料化学(川上浩良 サイエンス社),新高分子化学序論(伊勢典夫他 化学同人),わかりやすい高分子化学(荒井健一郎 三共出版),プリント
担当教員 清野 晃之

到達目標

1.高分子化合物がどのようなものか説明できる。
2.重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。
3.ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合についての反応と特徴を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1高分子の定義、分子量、構造、性質について説明できる。高分子の定義について説明できる。高分子化合物がどのようなものか説明できない。
評価項目2代表的な高分子合成反応を説明でき、その反応から生じる高分子について説明できる。教科書を見ながらであれば、代表的な高分子合成反応を説明でき、その反応から生じる高分子について説明できる。代表的な高分子合成反応やその反応から生じる高分子について説明できない。
評価項目3各重合の反応機構が理解できており、生成した高分子の特徴を説明できる。教科書を見ながらであれば、各重合についての反応と特徴を説明できる。各重合についての反応と特徴について説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 (B-2) 説明 閉じる
函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義では身の回りにある高分子化合物(プラスチック)について、①種類、②化学構造、③合成方法、④物性(性質)についての基礎事項を学習する。また、最近、天然由来のプラスチック製品や生体適合性材料に関する材料が増えてきたことから、天然・生体高分子に関する内容も学習する。特に、5大汎用プラスチックは①~④について理解し,他者に説明できるレベルを目標とする。
授業の進め方・方法:
本講義では高分子化学に関する専門用語や化学反応式(構造式)が多数出てくる。そのため,汎用されている高分子材料(5大汎用プラスチックなど)についてはいつ聞かれても答えられるように日々確認し,覚える必要がある。授業中では身の回りで使われている高分子材料のサンプルを提示したり,簡単な実験を行ったりする。前半は高分子の基礎について説明し,中盤は生体・天然高分子,後半は合成高分子の内容を学習している。
注意点:
・自学自習による成果を定期試験や小テスト・課題にて評価する。
・授業中態度が悪い(居眠り,携帯電話の使用など)場合は減点とするので十分に注意すること。

教育到達目標評価:定期試験80%(B-2),小テスト・課題20%(B-2)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 高分子化学で学ぶ内容について理解できる
2週 高分子と日常生活(コア) 高分子の定義,身の回りの高分子材料を説明できる
3週 高分子物質の構成(コア) 高分子の基本構造を理解できる
4週 高分子の分類(コア) 高分子化合物の種類を説明できる
5週 低分子と高分子の熱的性質(コア) 低分子と高分子の熱的性質を理解できる
6週 高分子の構造(コア) 一次構造,二次構造,三次構造を説明できる
7週 高分子の分子量分布と平均分子量 数平均,重量平均分子量を理解できる
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 答案返却・解答解説
分析機器を用いた分子量測定法その1
試験問題を通じて間違った箇所を理解できる
GPCの原理を説明できる
10週 分析機器を用いた分子量測定法その2 MALDI-TOF-MSを用いた分子量測定法を理解できる
11週 高分子の溶解性 高分子の溶解性について,計算式から最適な溶媒を決定できる
12週 天然高分子(タンパク質)(コア) アミノ酸の種類を理解できる
ペプチド結合を説明できる,高次構造を理解できる
13週 天然高分子(核酸その1)(コア) DNAについて説明できる
14週 天然高分子(核酸その2)(コア) RNAの3つの機能について説明できる
15週 前期期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 間違った問題の正答を求めることができる
後期
3rdQ
1週 天然高分子(セルロース) セルロースの構造・性質について説明できる
2週 天然高分子(デンプン) デンプンの構造・性質について説明できる
3週 天然高分子(キチン・キトサン) キチンとキトサンの構造・性質について説明できる
4週 合成高分子(ラジカル重合その1)(コア) ラジカルの化学反応性について理解できる
5週 合成高分子(ラジカル重合その2)(コア) ラジカル開始剤と4つの素反応について理解できる
6週 合成高分子(ラジカル重合その3)(コア) ラジカル重合について説明できる
7週 合成高分子(重縮合)(コア) 脱水縮合(ナイロン6,6,PETなど)について説明できる
8週 後期中間試験
4thQ
9週 答案返却・解答解説
合成高分子(重付加)(コア)
試験問題を通じて間違った箇所を理解できる
重付加反応(ポリウレタン・ポリ尿素)について説明できる
10週 合成高分子(イオン重合)(コア) イオン重合の特徴を理解できる
11週 合成高分子(カチオン重合)(コア) カチオン重合について説明できる
12週 合成高分子(アニオン重合)(コア) アニオン重合について説明できる
13週 合成高分子(開環重合)(コア) 開環重合について説明できる
14週 合成高分子(配位重合) チーグラー・ナッタ触媒について説明できる
15週 学年末試験
16週 試験答案返却・解答解説 間違った問題の正答を求めることができる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学高分子化合物がどのようなものか説明できる。4前1
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4前2,前3,前4,前11
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4前6,前7,前9,前10
高分子の熱的性質を説明できる。4前5
重合反応について説明できる。4後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。4後4,後5,後6,後7,後9,後13
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。4後4,後5,後6,後10,後11,後12,後13,後14
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。4後4,後5,後6,後10,後11,後12,後13,後14
基礎生物DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4前13
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4前12
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前12,前13,前14
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前13,前14
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。3後1,後2
グリコシド結合を説明できる。4後1,後2
多糖の例を説明できる。4後1,後2
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前12
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。3前12
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前12
タンパク質の高次構造について説明できる。4前12
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前13
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前13
RNAの種類と働きを列記できる。4前14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ小テスト・課題合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力6000001070
専門的能力2000001030
分野横断的能力0000000