コンクリート構造学Ⅰ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 コンクリート構造学Ⅰ
科目番号 0033 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 社会基盤工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 小林和夫 著 「コンクリート構造工学」(森北出版)
担当教員 澤村 秀治

到達目標

1.コンクリートおよび鋼材の力学的性質,品質規格について説明できる.
2.応力度,ひずみ,弾性係数(ヤング率)について理解し,フックの法則を適用した計算ができる.
3.許容応力度設計法により鉄筋コンクリート曲げ部材(単鉄筋長方形断面)の設計ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1コンクリートおよび鋼材の力学的性質,品質規格について説明できる.コンクリートおよび鋼材の力学的性質に関する知識を有する.コンクリートおよび鋼材の力学的性質に関する知識が無い.
評価項目2軸力や温度荷重を受ける鉄筋コンクリート部材の計算に,フックの法則を応用できる.フックの法則について理解し,応力度,ひずみ,弾性係数等の計算が出来る.応力度,ひずみ,弾性係数およびフックの法則についての知識が無い.
評価項目3与えられた設計条件を用いて,鉄筋コンクリート曲げ部材の設計ができる.設計された鉄筋コンクリート曲げ部材の安全性を,計算によって確認できる.鉄筋コンクリート曲げ部材の設計に関する知識を有しない.

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科目では,橋梁や建築構造物などのコンクリート構造物の設計理論の基礎的事項を学習する.ここではまず,コンクリートや鋼材など,コンクリート構造物に使用される材料の力学的性質に関する知識を習得し,これらを踏まえ,コンクリートと鋼材を合成して用いることの意味を理解する.弾性計算による鉄筋コンクリート部材の設計法の初歩を,曲げモーメントを受ける部材の設計演習を行うことにより習得し,それらを設計の実務に適用できることを到達レベルとする.
授業の進め方・方法:
フックの法則をベースとした,応力度,ひずみ,弾性係数(ヤング率)の考え方は,構造力学の中でも学びますが,これらは今後学んでいくうえで非常に重要な基礎知識であるため,コンクリート構造学Ⅰの授業の中でも詳しく扱います.計算例題や演習問題を通じて,応力度,ひずみ,弾性係数(ヤング率)の考え方と適用について,必ず身に付けてください.
コンクリート構造学Ⅰの授業では,許容応力度設計法による鉄筋コンクリート曲げ部材(はり)の設計ができるようになることを学習到達目標としています.コンクリート部材の設計手法は,既にコンクリート構造学Ⅱ以降で学ぶ限界状態設計法に移行していますが,現在でも許容応力度設計法は広く用いられており,ここで学ぶ内容は設計の実務でも十分に通用します.
設計公式の適用方法の理解も重要ですが,その設計式の誘導過程を,構造力学の理論との関連性とともに深く理解することが重要であることを念頭において学習してください.また,構造力学では圧縮力がマイナス,引張力がプラスであるのに対し,コンクリート構造学では,圧縮力がプラス,引張力がマイナスなので注意しましょう.
関連する科目は,コンクリート構造学Ⅱ,Ⅲ,構造設計製図Ⅰ,および構造力学の初歩の部分です.
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 鉄筋コンクリート,プレストレストコンクリートの意味と,成り立つ要因について説明できる.
2週 応力とひずみ① 弾性材料の応力,ひずみ,弾性係数の関係を理解し,フックの法則を活用できる.
3週 応力度ひずみ② コンクリートと鉄筋の組み合わせた部材の荷重と変形の関係を,一軸圧縮問題によって理解できる.
4週 応力度ひずみ③ 演習課題によって,弾性材料の応力,ひずみ,弾性係数の計算に,フックの法則を応用できるようになる.
5週 材料の性質 コンクリートおよび鉄筋の応力-ひずみ関係,JIS規格による鉄筋の分類について理解できる.
6週 単鉄筋長方形断面(弾性計算)① 弾性計算による単鉄筋長方形断面の中立軸の位置x,中立軸係数kの算定理論を理解できる.
7週 単鉄筋長方形断面(弾性計算)② 単鉄筋長方形断面のコンクリート応力度,鉄筋応力度,抵抗モーメントの算定理論を理解できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 答案返却・回答解説
単鉄筋長方形断面(弾性計算)③
試験問題の解説から自分の間違った箇所を理解できる.
断面サイズの決定,鉄筋量の算定方法を理解する.
10週 単鉄筋長方形断面(弾性計算)④ 設計計算例の解説によって,釣合状態を仮定した単鉄筋長方形断面の設計手法を理解できる.
11週 単鉄筋長方形断面(弾性計算)⑤ 演習課題により,曲げモーメントに対して単鉄筋長方形断面の設計計算ができるようになる.
12週 スラブの設計 単鉄筋長方形断面の理論を応用して,スラブの設計ができるようになる.
13週 せん断応力度,付着応力度 一般的な鉄筋コンクリート部材のせん断応力度,付着応力度の計算理論を理解できる.
14週 単鉄筋長方形断面の設計 演習課題により,曲げモーメント,せん断力に対して単鉄筋長方形断面の設計計算ができるようになる.
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 間違った問題の正答を求めることができる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野材料材料に要求される力学的性質及び物理的性質に関する用語、定義を説明できる。4後2
鋼材の種類、形状を説明できる。4後5
鋼材の力学的性質(応力-ひずみ関係、降伏強度、引張強度、弾性係数等)を説明できる。4後2,後3,後4,後5
硬化コンクリートの力学的性質(圧縮強度、応力-ひずみ曲線、弾性係数、乾燥収縮等)を説明できる。4後2,後3,後4
コンクリート構造の種類、特徴について、説明できる。4後1
曲げモーメントを受ける部材の断面応力度の算定、使用性(ひび割れ幅)を検討できる。3後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合90100000100
基礎的能力605000065
専門的能力305000035
分野横断的能力0000000