コンクリート構造学Ⅱ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 コンクリート構造学Ⅱ
科目番号 0067 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 社会基盤工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 小林和夫 著 「コンクリート構造工学」(森北出版)
担当教員 澤村 秀治

到達目標

1.許容応力度設計法により,複鉄筋長方形はり,T形はりの設計ができる.
2.弾性計算により,高さが変化するはり,軸力とモーメントを受ける部材の安全性を照査できる.
3.限界状態設計法の特徴を理解し,許容応力度設計法との比較において説明できる.
4.鉄筋コンクリート曲げ部材の終局限界状態に対する設計ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1複鉄筋長方形はり,T形はりの設計ができる.計算理論を理解し,それに基づいた計算ができる.設計計算理論に関する知識を有しない.
評価項目2弾性計算によって部材の安全性を照査できる.計算理論を理解し,それに基づいた計算ができる.設計計算理論に関する知識を有しない.
評価項目3限界状態設計法の特徴,合理性を説明できる.限界状態設計法と許容応力度設計法の違いがわかる.限界状態設計法に関する知識を有しない.
評価項目4曲げ部材の終局限界状態に対する設計ができる.等価応力ブロックを用いた設計手法を理解している.曲げの終局限界状態を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
コンクリート構造学の授業では,単鉄筋長方形はりの理論を拡張した弾性計算による鉄筋コンクリート部材の設計,限界状態設計法の基礎知識,曲げの終局限界状態について学習する.ここでは,これらの理論,設計思想の相違を理解し,終局限界状態に対する鉄筋コンクリート部材の設計を修得するとともに,コンクリート構造設計に関する基礎知識を実務において適用できることを到達レベルとする.
授業の進め方・方法:
学習上の留意点:設計式の適用方法の理解も重要であるが,その設計式の誘導過程を,構造力学の理論との関連性とともに深く理解することが重要であることを念頭において学習する.設計理論の理解のために,授業の進度に応じて設計演習課題を課す.定期試験問題のうち,設計計算問題はこの演習課題を基に出題するので,授業の復習のなかでこれに取り組むこと.2年生で学習した鉄筋コンクリートはりの基礎理論,および,力の釣合い,断面1次モーメント,断面2次モーメント,応力とひずみなど構造力学の基礎的知識が必須である.
評価方法:4回の定期試験(B)の平均点を90%,演習課題等(B)を10%として評価する.演習課題の得点は,その提出状況,設計計算の正確さ,報告書としての完成度を数値化し決定する.
関連する科目: コンクリート構造学Ⅰ,Ⅲ,構造設計製図Ⅰ,および構造力学の初歩の部分.
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 本授業の進め方,評価方法,学習到達目標を理解できる
2週 1.複鉄筋長方形はり
1-1 中立軸・応力度・抵抗モーメント
複鉄筋長方形はりの解析理論を理解し説明できる.
3週 1-2 断面の設計
複鉄筋長方形はりの断面算定理論を理解し説明できる.
4週 1-3 計算例と設計演習 与えられた設計条件により複鉄筋長方形はりを設計できる.
5週 2.T形はり
2-1 中立軸・応力度・抵抗モーメント
T形はりの解析理論を理解し説明できる.
6週 2-2 断面の設計 T形はりの断面算定理論を理解し説明できる.
7週 2-3 計算例と設計演習 与えられた設計条件によりT形はりを設計できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 試験答案返却・解答解説
3.高さが変化するはり
3-1 曲げ応力度の一般解法
試験問題の解説により,間違いを確認し正しい解答を理解できる.
高さが変化するはりの曲げ応力度の解法を理解し説明できる.
10週 3-2 せん断応力度の一般解法 高さが変化するはりのせん断応力度の解法を理解し説明できる.
11週 3-3 計算例と設計演習 与えられた設計条件により応力度を計算し安全性を照査できる.
12週 4.軸力とモーメントを受ける部材
4-1 偏心軸力をコア内に受ける場合
偏心軸力がコア内にある場合の理論を理解し説明できる.
13週 4-2 偏心軸力をコア外に受ける場合 偏心軸力がコア外にある場合の理論を理解し説明できる.
14週 4-3 計算例と設計演習 与えられた設計条件により応力度を計算し安全性を照査できる.
15週 前期期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 間違った問題の正答を求めることができる
後期
3rdQ
1週 5.限界状態設計法の考え方① 設計法の変遷と限界状態設計法の特質について説明できる.
2週 5.限界状態設計法の考え方② 設計法の変遷と限界状態設計法の特質について説明できる.
3週 6.材料の力学的性(コア)
6-1 応力-ひずみ関係のモデル化
非線形性を考慮した材料の力学特性のモデル化を説明できる.
4週 6-2 クリープ・収縮 クリープの理論,コンクリートの体積変化について説明できる.
5週 7.中心軸圧縮力を受ける部材
7-1 終局耐力の算定と安全性の照査①
終局状態の設計荷重,設計軸圧縮耐力計算し安全性を照査できる.
6週 7-1 終局耐力の算定と安全性の照査② 終局状態の設計荷重,設計軸圧縮耐力計算し安全性を照査できる.
7週 7-2 計算例と設計演習 与えられた条件により圧縮の終局限界状態に対する設計ができる.
8週 中間試験
4thQ
9週 試験答案返却・解答解説
8.終局曲げ耐力の検討(コア)
8-1 単鉄筋長方形はりの終局耐力
試験問題の解説により,間違いを確認し正しい解答を理解できる.
曲げ破壊のメカニズムを理解し,終局曲げ耐力算定法を説明できる.
10週 8-2 等価応力ブロックを用いた設計 等価応力ブロックによる単鉄筋長方形はりの設計理論を説明できる.
11週 8-3 計算例と設計演習 設計条件により曲げの終局限界状態に対する設計ができる.
12週 8-4 複鉄筋長方形はりの曲げ耐力 複鉄筋長方形はりの終局曲げ耐力の理論を説明することができる.
13週 8-5 T形はりの終局曲げ耐力 T形はりの終局曲げ耐力の理論を説明することができる.
14週 8-6 計算例と設計演習
与えられた条件により曲げの終局限界状態に対する設計ができる.
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 間違った問題の正答を求めることができる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野材料鋼材の力学的性質(応力-ひずみ関係、降伏強度、引張強度、弾性係数等)を説明できる。4後4
硬化コンクリートの力学的性質(圧縮強度、応力-ひずみ曲線、弾性係数、乾燥収縮等)を説明できる。4後3,後4
コンクリート構造の代表的な設計法である限界状態設計法、許容応力度設計法について、説明できる。4後1,後2
曲げモーメントを受ける部材の破壊形式を説明でき、断面破壊に対する安全性を検討できる。4後9,後10,後11,後12,後13,後14
曲げモーメントを受ける部材の断面応力度の算定、使用性(ひび割れ幅)を検討できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合90100000100
基礎的能力605000065
専門的能力305000035
分野横断的能力0000000