環境衛生工学

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 環境衛生工学
科目番号 0110 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 社会基盤工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「環境衛生工学」 奥村充司・大久保孝樹 著 (コロナ社)
担当教員 越智 聖志

到達目標

1.環境問題や環境保全について説明できる.
2.上水道の施設と浄水方法について説明できる.
3.下水道の施設と下水処理方法について説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1環境問題・環境保全について,具体例を挙げ詳しく説明できる.環境問題・環境保全について説明できる.環境問題・環境保全について説明できない.
評価項目2上水道の施設と特殊処理・膜ろ過も含めた最新の浄水方法についても詳しく説明できる.上水道の施設と一般的な浄水処理方法について説明できる.上水道の施設と浄水処理方法について説明できず,それらの関連がわからない.
評価項目3下水道の施設と最新の処理方法である膜分離活性汚泥法と生物膜処理についても詳しく説明できる.下水道の施設と一般的な処理方法である活性汚泥法について説明できる.下水道の施設と一般的な処理方法である活性汚泥法について説明できず,それらの関連がわからない.

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる
函館高専教育目標 D 説明 閉じる
JABEE学習・教育到達目標 (B-2) 説明 閉じる
JABEE学習・教育到達目標 (D-2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本授業で行う環境衛生工学では,はじめに世界・日本を取り巻く環境問題と環境保全に関することを取り上げる.その内容は,地球環境問題,環境と人の健康,水質汚濁,大気汚染・騒音振動,廃棄物,環境影響評価,生態工学であり多義にわたり学ぶこととなる.さらに,社会生活のライフラインとして重要な役割を果たしている「上水道」と「下水道」について,その役割と機能および設計概念等の専門技術を理解するための基礎知識を習得することに重きを置いている.上水道および下水道は,現在提唱されている「持続可能な循環型社会」を形成して行く上で,水の循環,環境としての水質問題を良好に維持するための手段として,特に重要であることを講義を通して熟知させる.本講義を受講することによって,実社会で行われている上水道・下水道の計画・設計・運用と環境について内容を理解し,適用・分析できるようになることが到達レベルである.
授業の進め方・方法:
講義は主に,配布資料とスライドを用いて進めていくが,口頭で説明したことも十分に注意してノートにとることが重要である.講義内容の理解を深めるため,講義の中では,演習課題を取り入れる場合も多いので,必ず電卓を持参すること.授業理解度の評価は,前後期中試験,前後期期末試験およびレポート課題により評価する.
注意点:
学年成績は,前期<前期中間試験(20%),前期期末試験(20%)>・後期<レポート課題①(10%),レポート課題②(10%),後期中間試験(20%),後期期末試験(20%)により評価する.
演習課題は,すべて課題を提出し,全問正答であれば満点とし,ひとつでも課題が未提出の場合,その評価を零点とする.
各期の中および期末試験に対する再試験は,普段の当該科目の学習意欲や授業態度を総合的に判断し,教員が必要と認めた場合に実施するものとし,100点満点の上限を60点として各期の試験を評価する.
JABEE教育到達目標評価:
  定期試験80%(B-2:80%, D-2:20%),レポート20%(B-2:100%)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス(環境衛生工学の概要)
第1編 環境
1.1.地球環境問題
1.2.過去の公害と人の健康
環境衛生工学の概要を理解できる.
地球環境問題について説明できる.特に,地球温暖化現象について説明できる.
日本における過去の公害と人の健康について,具体例を挙げ説明できる.
2週 1.3.水質汚濁 水の循環について説明できる.
水質指標について説明できる.
物質循環と微生物の関係を説明できる.
水質汚濁の現状を説明できる.
3週 1.3.水質汚濁 水質汚濁物の発生源と移動過程を説明でき,原単位,発生負荷を含めた計算ができる.
水域生態系と水質変換過程(自浄作用,富栄養化,生物濃縮等)について,説明できる.
水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策,法規等)を説明できる.
4週 1.4.大気汚染
1.5.騒音・振動
1.6.土壌汚染
大気汚染の現状と発生源について,説明できる.
騒音の発生源と現状について,説明できる.
土壌汚染の現状を説明できる.
5週 1.7.廃棄物 廃棄物の発生源と現状について,説明できる.
廃棄物の収集・処理・処分について,説明できる.
廃棄物の減量化・再資源化について,説明できる.
廃棄物対策(施策,法規等)説明できる.
6週 1.8.環境影響評価 環境影響評価の目的を説明できる.
環境影響評価の事例などを説明できる.
環境影響指標を説明できる.
リスクアセスメントを説明できる.
ライフサイクルアセスメントを説明できる.
7週 1.9.生態工学(生物多様性) 生物多様性の現状と危機について,説明できる.
物質循環と微生物の関係を説明できる.
生態系の保全手法を説明できる.
生態系や生物多様性を守るための施策を説明できる.
8週 前期中試験
2ndQ
9週 試験答案返却・解答解説
第2編 上水道工学
2.1.上水道の歴史
2.2.水道の役割と種類
試験問題解答を通じ間違った箇所を理解できる.
上水道の歴史について,説明できる.
水道の役割と種類について,説明できる.
10週 2.3.水道計画(基本計画,給水量)
2.4.水質
水道計画(基本計画,給水量)について,説明できる.
水道の水質について,説明できる.
11週 2.5.取水施設
2.6.導水・送水施設
2.7.管路施設
2.7.1.緩速ろ過方式
取水施設,管路施設について,説明できる.
12週 2.8浄化施設
・緩速ろ過方式
・急速ろ過方式

緩速ろ過方式について,説明できる.
急速ろ過方式について,説明できる.
13週 2.9.消毒
・塩素消毒
・トリハロメタン
塩素消毒について,説明できる.
トリハロメタンについて,説明できる.
14週 2.10.特殊処理方式
2.11.膜ろ過方式
2.12.配水施設  
特殊処理方式について,説明できる.
膜ろ過方式について,説明できる.
配水施設について,説明できる.
15週 前期期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 試験問題解答を通じ間違った箇所を理解できる.
後期
3rdQ
1週 第3編 下水道工学
1.総説
1.1.下水道の歴史
1.2.下水道の目的と役割
1.3.下水道の種類       
下水道の歴史について,説明できる.
下水道の目的と役割について,説明できる.
下水道の種類について,説明できる.
2週 2.下水道計画
2.1.基礎調査
2.2.下水の排除システム
2.3.下水量の算定(計画下水量)
下水道計画(基礎調査,下水の排除システム,下水量の算定)について,説明でき,これらに関する計算ができる.
3週 2.4.雨水量
 ・合理式
 ・降雨強度と継続時間
 ・降雨強度公式
 ・流出係数
 ・流入時間,流下時間と流達時間
雨水流出量を計算するための合理式,降雨強度公式,流達時間等について説明できる.
4週 2.5.降雨強度式(タルボット式)を用いた計算演習 降雨強度式(タルボット式)を用いた降雨強度の計算手法を理解し,計算することができる.
5週 3.管路施設
3.1.下水管渠の種類と特徴
3.2.下水管渠の水理
3.3.管渠の敷設
3.4.付属設備
下水管渠の種類と特徴について,説明できる.
下水管渠の水理について,説明できる.
管渠の敷設について,説明できる.
付属設備について,説明できる.
6週 3.5.管渠の設計と敷設に関する設計演習① 合理式,降雨強度公式,流達時間等を用いて管渠断面(径)を計算できる.
管頂接合による敷設の設計ができる.
7週 3.5.管渠の設計と敷設に関する設計演習② 具体的な設計諸元を用いて管渠設計ができる.
8週 後期中試験
4thQ
9週 試験答案返却・解答解説
4.ポンプ場施設
試験問題解答を通じ間違った箇所を理解できる.
ポンプ場施設について,説明できる.
10週 5.下水の水質と下水試験 下水の水質指標と下水試験について,説明できる.
11週 6.下水処理施設
6.1.活性汚泥法
6.2.活性汚泥の浄化機構
6.3.活性汚泥の管理指標
6.4.バルキング現象
6.5.馴致

活性汚泥法について説明できる.
活性汚泥の浄化機構について,説明できる.
活性汚泥の管理指標について,説明できる.
バルキング現象について,説明できる.
馴致について,説明できる.
12週 6.6.最初沈殿池の設計
6.7.曝気槽(エアレーションタンク)の設計
6.8.活性汚泥法の種類
最初沈殿池の設計ができる.
曝気槽(エアレーションタンク)の設計ができる.
活性汚泥法の種類について,説明できる.
13週 6.9.生物膜法による下水処理
6.10.汚泥の処理処分   
生物膜法による下水処理について,説明できる.
汚泥の処理処分と嫌気性消化について,説明できる.
14週 7.下水の高度処理
8.下水道施設の維持管理
下水の高度処理について,説明できる.
下水道施設の維持管理について,説明できる.
15週 学年末試験
16週 試験答案返却・解答解説 試験問題解答を通じ間違った箇所を理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野環境地球規模の環境問題を説明できる。4前1
環境と人の健康との関わりを説明できる。4前1
過去に生じた公害の歴史とその内容(環境要因と疾病の関係)について、説明できる。4前1
水の物性、水の循環を説明できる。4前2
水質指標を説明できる。4前2
水質汚濁の現状を説明できる。4前2
水質汚濁物の発生源と移動過程を説明でき、原単位、発生負荷を含めた計算ができる。4前3
水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できる。4前3
水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。4前3
物質循環と微生物の関係を説明できる。4前3
水道の役割、種類を説明できる。4前9
水道計画(基本計画、給水量、水質、水圧等)を理解でき、これに関する計算ができる。4前10
浄水の単位操作(凝集、沈澱凝集、濾過、殺菌等)を説明できる。4前12,前13
下水道の役割と現状、汚水処理の種類について、説明できる。4後1,後11,後12,後13,後14
下水道の基本計画と施設計画、下水道の構成を説明でき、これに関する計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7
生物学的排水処理の基礎(好気的処理)を説明できる。4後11,後12,後13,後14
汚泥処理・処分について、説明できる。4後13
微生物の定義(分類、構造、機能等)を説明できる。4後11
大気汚染の現状と発生源について、説明できる。4前4
騒音の発生源と現状について、説明できる。4前4
廃棄物の発生源と現状について、説明できる。4前5
廃棄物の収集・処理・処分について、説明できる。4前5
廃棄物の減量化・再資源化について、説明できる。4前5
廃棄物対策(施策、法規等)を説明できる。4前5
環境影響評価の目的を説明できる。4前6
環境影響評価の現状(事例など)を説明できる。4前6
環境影響指標を説明できる。4前6
リスクアセスメントを説明できる。4前6
ライフサイクルアセスメントを説明できる。4前6
生物多様性の現状と危機について、説明できる。4前7
生態系の保全手法を説明できる。4前7
生態系や生物多様性を守るための施策を説明できる。4前7
物質循環と微生物の関係を説明できる。4前7
土壌汚染の現状を説明できる。4前4
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3前1,前9,後1

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力80200000100
分野横断的能力0000000