技術者倫理

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 技術者倫理
科目番号 0615 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 社会基盤工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 適宜配布する.
担当教員 佐々木 恵一

到達目標

1. 技術者倫理問題の背景を理解し,倫理規範が形成された経緯を説明できる.
2. 技術者の倫理規定を説明できる.
3. 実際の問題に対して自分の意見を持ち,技術者倫理を実践できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1技術者倫理問題の背景を理解し,倫理規範を説明できる.技術者倫理問題の背景を説明できる.技術者倫理問題の背景を説明できない.
評価項目2技術者の倫理規定を理解し,技術者の行動規範を説明できる.技術者の倫理規定を説明できる.技術者の倫理規定を説明できない.
評価項目3倫理問題について他者と討論できる.倫理問題について自分の意見をまとめる事ができる.倫理問題について自分の意見をまとめる事ができない.

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる
函館高専教育目標 D 説明 閉じる
函館高専教育目標 E 説明 閉じる
JABEE学習・教育到達目標 (B-2) 説明 閉じる
JABEE学習・教育到達目標 (D-2) 説明 閉じる
JABEE学習・教育到達目標 (D-3) 説明 閉じる
JABEE学習・教育到達目標 (E-1) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
倫理の問題とは,人間の行為の善悪,正・不正を問うものであるので,人間に不可能な行為は倫理の考察の対象にならない.しかしながら,現代の科学技術は人間の行為を飛躍的に拡大し,それを担う科学技術者には,科学技術によって新たに可能になった行為について倫理的考察が必要である.この授業では,科学技術が人間や社会,自然環境におよび未来の世代に与える影響を理解し,事例研究を通じ技術者として自己の技術に関する説明責任を果たす能力を養う.また,これらについて自分の考えをまとめ,他者との討論の中から技術者の役割と責任を理解きることを学習目標とする.これらを総合して,社会において技術者倫理を実践できることを到達レベルとする.
授業の進め方・方法:
学習上の留意点:授業の内容は広範囲かつ多岐にわたるので,テーマごとに要点を整理し取りまとめておくこと.また,事例研究ではグループワークを実施するので,これらに対して精力的に取り組み,報告書を定められた期限までに提出しなければならない.
評価方法:前期中間・期末試験(D-2)の成績を50%,レポート(D-3)を50%として成績を評価する.
注意点:
必要とされる予備知識:特に必要な予備知識は求められないが,各自の専門分野に関わる学会,学術団体,専門家集団における技術者の倫理規定について事前に調査し,その内容について理解しておくこと.

JABEE教育到達目標評価: 試験50% (D-2: 100%),レポート50% (D-3: 100%)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 技術者倫理問題の背景 技術者倫理の問題の特殊性や時代の背景,技術者倫理教育の必要性について理解し説明することができる.
2週 技術者教育・技術者資格・倫理規定 現在の技術者教育,技術者資格制度に求められる事項,および技術者倫理規定が示す中心的テーマを説明することができる.
3週 技術者はいかに行動すべきか 価値の相反,ジレンマ問題,倫理的行動の促進要因・阻害要因に関する基礎知識を持ち,自らの倫理的行為設計を行うことができる.
4週 技術者のアイデンティティー 科学者,技術者,技能者のそれぞれに対する期待の違いを理解し,プロフェッショナルとしての技術者が果たすべき役割を説明できる.
5週 技術者の説明責任 インフォームドコンセントやパターナリズムについて正しい認識を持ち,技術者の説明責任について論ずることができる.
6週 事例研究① 過去の事例を題材としたケーススタディーを行い,内在する倫理的問題,技術者の行為設計について検討する.
7週 事例研究② 過去の事例を題材としたケーススタディーを行い,内在する倫理的問題,技術者の行為設計について検討する.
8週 中間試験
2ndQ
9週 内部告発 内部告発の是非について正しい認識を持ち,内部告発の形態や内部告発が正当化される条件について論ずることができる.
10週 法と技術者倫理 PL法,独占禁止法について正しい知識を持ち,法と倫理の補完関係について説明することができる.
11週 技術者倫理と地球環境 現在の地球が直面している環境問題について正しい認識を持ち,環境や未来の世代に果たすべき技術者の使命を説明できる.
12週 技術者倫理と倫理的行動① 倫理問題解決手法について理解できる.
13週 技術者倫理と倫理的行動② ケーススタディーを用いて,問題の背景,内在する倫理的問題を明確にし,それらの内容について他のグループと議論することができる.
14週 技術者倫理と倫理的行動③ ケーススタディーを用いて,技術者の行為設計について検討し,技術者としての倫理的行動をまとめることができる.
15週 期末試験
16週 答案返却 試験問題の解説から自分の間違った箇所を理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3前5,前10
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3前12,前13,前14
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3前6,前7
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3前3,前4
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3前11
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3前11
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3前11
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3前2,前10
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3前11
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3前11
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3前11
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3前6,前7
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3前1,前6,前7
グローバリゼーション・異文化多文化理解グローバリゼーション・異文化多文化理解それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。3前11
分野横断的能力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3前11

評価割合

試験グループディスカッション相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合50000050100
基礎的能力250000025
専門的能力0000000
分野横断的能力2500005075