到達目標
1. 鋼材、鋼構造物の種類、特徴、弾性塑性、力学的性質を説明できる。
2. 鋼構造の座屈について理解し、軸力を受ける柱の強度計算を行うことができる。
3. 高力ボルト摩擦接合と溶接接合について理解し、強度計算を行うことができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 鋼材の応力ひずみ関係、靱性・脆性について説明できる。 | 鋼材の種類と降伏点、引張強度を説明することができる。 | 鋼材の機械的性質について説明することができない。 |
評価項目2 | 桁の弾性横倒れ座屈について説明することができる。 | オイラー座屈を説明でき、座屈荷重の計算ができる。 | 座屈強度の説明や計算を行うことができない。 |
評価項目3 | 溶接個所の安全性や必要ボルト本数の計算ができる。 | 各種接合法の特徴を説明することができる。 | 高力ボルト摩擦接合とは何かを説明することができない。 |
学科の到達目標項目との関係
函館高専教育目標 B
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JABEE学習・教育到達目標 (B-2)
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教育方法等
概要:
我が国の社会を支えるインフラストラクチャーには鋼材から造られる構造物が数多くある。本講義ではそれらの鋼構造物を設計・建造するために必要な基礎知識、すなわち鋼材の機械的性質、許容応力度、座屈強度、疲労、ボルト接合、溶接接合について学ぶ。また、十分な強度を確保する構造計算や、接合部の強度計算についても学ぶ。科目のレベルは、課題の解決のために知識を応用でき、効果の検証に活用できるレベルである。
授業の進め方・方法:
前期前半では、鋼材の機械的性質を詳細に学ぶ。鋼材はSS400などように記号で表される。これらの記号の意味を理解する必要がある。鋼構造物はほとんどが細長い桁や柱、あるいは薄い板から構成される。したがって、鋼構造の安全性を確保するには座屈現象を如何に防ぐかにかかっている。座屈に対する設計法を詳しく学ぶ。前期後半は、鋼材の連結すなわち、溶接接合と高力ボルト摩擦接合を扱う。引張力や圧縮力を受ける連結部が安全かどうかを計算により判定する。計算はそれほど難しくないが、計算過程を正しく覚える必要がある。
定期試験では、教科書に書かれていること、板書したことが出題される。計算問題は主に板書した例題と同様の問題が出題される。したがって、授業中にノートを取ってそれを覚えることが大切である。
この科目は「構造力学Ⅰ~Ⅲ」、「橋梁工学」、「構造設計製図Ⅱ」と関連性が深い。
注意点:
「社会基盤工学科・社会基盤工学専攻」学習・教育到達目標の評価:前期期末試験(B-2) (100%)
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス、鋼材の製造 |
鋼材の分類、一般的性質を説明できる。 鋼構造物の種類、特徴を理解している。 製鉄所における鋼材の製造工程の概略が説明できる。
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2週 |
鋼材の機械的性質 |
鉄鋼製品の用途・規格を説明できる。 応力ひずみ曲線、降伏点、引張強度が説明できる。
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3週 |
鋼材の種類と許容応力度 |
各種鋼材の許容応力度を説明することができる。 軸力・曲げ等を受ける部材の設計法を理解し、簡単な例に対し計算できる。
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4週 |
長柱と許容軸方向圧縮応力度 |
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。柱の細長比と座屈荷重の関係から、柱の基本的な設計を理解している。
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5週 |
横倒れ座屈と許容曲げ圧縮応力度 |
横倒れ座屈現象を理解し、許容応力度の計算ができる。
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6週 |
曲げ部材の垂直・せん断応力分布 |
曲げを受ける桁の垂直・せん断応力分布を図に描いて説明できる。
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7週 |
曲げを受けるI桁の設計 |
許容応力度法によるI桁の設計計算ができる。
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8週 |
鋼材の疲労 |
鋼構造物の疲労破壊、S-N曲線が理解できる。
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2ndQ |
9週 |
高力ボルト継手の種類 |
継手の種類と高力ボルト摩擦接合が理解できる。
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10週 |
高力ボルト継手の強度 |
高力ボルト摩擦接合の強度計算法が理解できる。
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11週 |
軸力・せん断力を受けるボルト継手部 |
継手部に必要なボルト本数を計算することができる。
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12週 |
溶接継手の種類、溶接部の基本寸法 |
接合の定義・機能・種類を説明できる。 溶接継手と開先形状、のど厚、サイズが理解できる。
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13週 |
軸力・せん断・曲げが作用する溶接部 |
各種の力が作用する溶接部の応力が計算できる。
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14週 |
溶接部の疲労亀裂、非破壊検査 |
溶接部の疲労亀裂、非破壊検査手法が理解できる。
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15週 |
前期期末試験 |
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16週 |
試験答案返却、解答解説 |
試験問題の解答解説を通じて正解が理解できる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 材料 | 材料の特徴・分類を説明できる。 | 5 | |
材料の力学的性質及び物理的性質を説明できる。 | 5 | |
材料に要求される力学的性質及び物理的性質に関する用語、定義を説明できる。 | 4 | 前2 |
金属材料の分類を説明できる。 | 5 | |
金属材料の一般的性質を説明できる。 | 5 | |
鉄鋼製品の用途・規格を説明できる。 | 5 | |
鋼材の種類、形状を説明できる。 | 4 | 前3 |
鋼材の力学的性質(応力-ひずみ関係、降伏強度、引張強度、弾性係数等)を説明できる。 | 4 | 前2 |
非破壊試験の基礎を説明できる。 | 4 | 前12 |
構造 | 応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係(フックの法則、弾性係数、ポアソン比)について説明でき、それらを活用できる。 | 4 | |
鋼材の力学的性質について理解している。 | 5 | |
弾性・塑性の概念について説明できる。 | 4 | |
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。 | 4 | 前2 |
柱の細長比と座屈荷重の関係から、柱の基本的な設計を理解している。 | 4 | |
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。 | 4 | 前4 |
鋼構造物の種類、特徴について、説明できる。 | 4 | 前1 |
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。 | 4 | 前4,前5,前6,前7,前10,前11,前13 |
接合の定義・機能・種類、溶接と高力ボルト接合について、説明できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前14 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |