生産システム工学特別研究Ⅱ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 生産システム工学特別研究Ⅱ
科目番号 0037 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 学修単位: 8
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 担当教員の指示を受けること
担当教員 倉山 めぐみ,山田 誠,近藤 司,川上 健作,柳谷 俊一,三島 裕樹,丸山 珠美,山田 一雅,森谷 健二,湊 賢一,浜 克己,河合 博之,東海林 智也,今野 慎介,倉山 めぐみ,後藤 等

到達目標

指導教員の指導のもとで高度な研究を行うことによって,専門的な知識を深め,創造力や問題解決能力を修得する。さらに,特別研究Ⅰ,Ⅱを通して指導教員との議論に加え,学内外の発表会で他者との討論をし,研究成果を論文にまとめる.以下に具体的な目標を記す。
① 自主的に課題を見出して研究計画を立案・実行し,まとめ上げることができる。(A-1)
② 研究テーマに関する情報の収集やプレゼンテーションに情報技術を利用できる。(C-1)
③ 発表用の予稿作成を通して文書作成能力を養う。(E-2)
④ 研究成果や得られた知見を可視化し,他者に説明できる。(C-2)
⑤ 技術成果について議論する力および発表する能力を養う。(E-1, E-3)
⑥ 研究対象と,研究対象を含むシステムの関連を常に意識し,研究成果がそのシステムの開発または改善にどのように貢献するのかを考えることのできる能力を養う。(F-1)
⑦ 問題解決のために他の専門分野の基礎知識を修得し,それを活用していろいろな解決手法を考案し,最適な解決策を見出すことができる能力を養う。(B-2, F-2)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1自主的に課題を見出して研究計画を立案,計画に沿って実行し,適切にまとめ上げることができる。自主的に課題を見出して研究計画を立案・実行し,まとめ上げることができる。自主的に課題を見出して研究計画を立案・実行し,まとめ上げることができない。
評価項目2研究テーマに関する情報の収集やプレゼンテーションに情報技術を効果的に利用できる。研究テーマに関する情報の収集やプレゼンテーションに情報技術を利用できる。研究テーマに関する情報の収集やプレゼンテーションに情報技術を利用できない。
評価項目3発表用の予稿作成を通して十分な文書作成能力を身に付ける。発表用の予稿作成を通して文書作成能力を養うことができる。発表用の予稿作成を通して文書作成能力を養うことができない。
評価項目4研究成果や得られた知見を可視化し,他者にわかりやすく効果的に説明できる。研究成果や得られた知見を可視化し,他者に説明できる。研究成果や得られた知見を可視化し,他者に説明できない。
評価項目5技術成果について適切に発表し議論する力を身に付ける。技術成果について発表する能力および議論する力を養うことができる。技術成果について発表する能力および議論する力を養うことができない。
評価項目6研究対象と,研究対象を含むシステムの関連を常に意識し,研究成果がそのシステムの開発または改善にどのように貢献するのかを考え,さらなる発展につながる課題を提案できる能力を身に付ける。研究対象と,研究対象を含むシステムの関連を常に意識し,研究成果がそのシステムの開発または改善にどのように貢献するのかを考えることのできる能力を養うことができる。研究対象と,研究対象を含むシステムの関連を常に意識し,研究成果がそのシステムの開発または改善にどのように貢献するのかを考えることのできる能力を養うことができない。
評価項目7問題解決のために他の専門分野の基礎知識を修得し,それを活用していろいろな解決手法を考案し,それらを適切な方法で評価して,最適な解決策を見出すことができる能力を身に付ける。問題解決のために他の専門分野の基礎知識を修得し,それを活用していろいろな解決手法を考案し,最適な解決策を見出すことができる能力を養うことができる。問題解決のために他の専門分野の基礎知識を修得し,それを活用していろいろな解決手法を考案し,最適な解決策を見出すことができる能力を養うことができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 A-1 説明 閉じる
学習・教育到達目標 B-2 説明 閉じる
学習・教育到達目標 C-1 説明 閉じる
学習・教育到達目標 C-2 説明 閉じる
学習・教育到達目標 E-1 説明 閉じる
学習・教育到達目標 E-2 説明 閉じる
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学習・教育到達目標 F-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
専攻科1年までに修得した知識や技術を基礎として,研究課題を指導教員とともに計画し,自分自身の力で継続的に創意工夫を行いながら実行する。その過程で,専門分野の基礎技術を身につけてゆく。さらに,得られたデータについて情報技術を用いて整理したり,他者との討論から問題に際しての解決策を考える。また,その成果を正確な日本語を用いて論理的な文書にまとめ,特別研究Ⅱ発表会で的確にプレゼンテーションすることを目標とする。
授業の進め方・方法:
特別研究IIは,特別研究Iに続いて行われるものであり,2年間で一つのテーマに取り組むことになる.各指導教員の指導に従い,各種文献等の調査,研究を実施する。授業時間は特に時間割上に示されていないため,自主的に研究時間を設定して実施する。年度末(2月頃)に行われる特別研究Ⅱ発表会にて,それまでの成果を発表する。
注意点:
長期間にわたるので,しっかりとした計画の下に,指導教員と綿密なコンタクトを取り,自発的・積極的に行動することが必要である。
「生産システム工学専攻」学習・教育到達目標の評価:
論文評価:30%(B-2:30%,C-2:10%,E-2:40%,F-1:20%)
継続的な研究活動:30%(A-1:50%,E-1:20%,F-2:30%)
発表会:40% (B-2:20%,C-1:10%,C-2:10%,E-1:10%,E-2:10%,E-3:30%,F-1:10%)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 担当教員 テーマ及び概要・到達目標
2週 浜克己 ■福祉介護支援機器の開発
介護・福祉分野やインフラ・災害対応分野では,自立行動支援システムやロボットの導入が促進されており,その開発等においては,安全性や経済性とともに融合・複合分野の技術が要求される。
研究テーマに関しては,高齢者や障がい者の自立支援,介護従事者の負担軽減のための支援をすることを目的に,知能機械,機械システム,機械制御関連の基礎知識と生体信号等の活動情報を組み合わせ,ユーザインターフェースの構築とともに,パワーアシストを含むロボット技術の活用に関する基礎検討を進め,最終的にユーザの要求を満たす支援機器の開発を行う。
3週 山田誠 ■高効率・高品質5軸制御加工に関する研究
工作機械による金属加工において,加工面を高速にかつ高品質に加工することが重要な課題である。本研究では,強度的な信頼性が必要な部材を一体削り出し加工することを対象として,その粗加工から仕上げ加工にいたる工程に対して,高効率にかつ高品質に加工するための方法論を検討する。加工方法の検討において,5軸制御工作機械上での3+2軸制御加工および同時5軸制御加工を対象とする。また,その方法論を確認するために実機における証実験を行う。
4週 近藤司 ■STLデータに基づくに基づく多軸制御加工用工具経路生成に関する研究
多軸制御工作機械は、3軸制御工作機械に対して、工具干渉問題の回避や、高品質加工が期待できるなど優位な点が多い。本研究は、CADや計測システムから出力される共通のデータフォーマットである、STLデータを基にして多軸制御工作機械用の工具経路生成法を考案する。3次元形状に多く含まれる平面は必要精度でSTL(3角形)に細分割されており、加工要素面抽出の観点からは、不都合な形状となっている、本研究ではSTLの隣接関係、法線情報を基にSTLを再構成し、加工要素面を構築する手法を提案し、それに基づいた工具経路生成を行う。最終的にタジク製制御加工を行って検証する。
5週 川上健作 ■動作解析による身体機能評価と臨床応用
動作解析の基本は,線形代数を用いた座標変換とロボット工学に基づく関節運動学,さらには運動方程式に基づく力学解析である。これらの工学知識を用いた医療福祉分野への工学的アプローチを学ぶことにより,自らが学んできた知識を活かして他分野にも貢献できる能力を養う。
動作解析とは,人間の動きを数値データとして表現し,分析することである。その動作解析を用いて,健常者や前十字靱帯損傷や変形性膝関節症などの下肢疾患患者,さらには靱帯再建術後,人工関節置換術後などの治療後の運動や力学状態を解析することに身体機能を評価し,疾患の影響や治療の効果を検討し,臨床現場における動作解析応用の検討を行う。また,得られた運動データから臨床現場において求められている新たな運動力学的な身体機能評価の方法も検討する。
6週 柳谷俊一 ■高効率熱電変換材料の開発
熱電変換技術は未利用の熱エネルギーから電気エネルギーを生成する技術として有用であるが,変換効率が低いという大きな問題がある。本研究では800℃程度の高温でも利用可能な酸化物材料をはじめ各種材料の熱電変換効率の向上を図る。
7週 三島裕樹 ■電力・エネルギーシステムに関する研究(専攻の区分:電気電子工学)
電力・エネルギー分野における,計画・運用の最適化手法の提案,もしくは電力・エネルギー分野の啓蒙活動に関する小中学生向け実験教材の製作など,電力システムやエネルギーシステムに関する研究を行う。

■電力システムを対象としたシステムの最適化に関する研究(専攻の区分:情報工学)
電力システムを対象とした最適化問題の新しい解法アルゴリズムの開発やその評価に関する研究を行う。
8週 丸山珠美 ■無線通信・ワイヤレス電力伝送・MIMOに関わるアンテナ,高周波回路,電波伝搬,リフレクトアレーに関する研究
(1) 無線通信システム・アンテナに関する研究
将来の無線通信システムは,超高速広帯域,大容量を実現するため,マルチバンド・マルチアンテナの小型化,アクティブ素子を用いたビームフォーミングなど一層の高機能化が要求される。本研究では,これら将来の無線通信技術に必要なアンテナ,リフレクトアレー,高周波回路の,電磁界解析,最適設計,システムシミュレーションによる評価を実施する。
(2) 電波伝搬環境改善方法に関する研究
近年,全てのものどうしがインターネットにつながるIoTへの期待が高まっている。ものどうしが無線を介してネットワークにつながることができれば、物流管理や介護など様々なものの自動化が期待できる。これらのものは、置き場や移動方法など、従来とは異なる厳しい電波伝搬環境が想定され新たな電波改善方法が必須となる。そこで本研究では,リフレクトアレーやアンテナ技術の適用による電波伝搬環境の改善方法について検討する。
(3) ワイヤレス電力伝送,エネルギーハーベスト、マイクロ波応用に関する研究
ワイヤレス電力伝送は,たとえばEV走行中自動給電の実現や,車いすやロボットの誘導や制御など,またマイクロ波は宇宙太陽光発電や融雪などさまざまな応用が期待できる。本研究ではこれらワイヤレス電力伝送,マイクロ波応用に関する研究を実施する。
2ndQ
9週 山田一雅 ■物理学の未踏領域への新装置構築でのアプローチ(専攻の区分:電気電子工学, 情報工学)
 物性・トポロジー・制御の複合分野は,革新的な精度や分解率が新たに得られ,新しい物づくりが行われ始めている.また挑戦的な創成物作製が世界中で行われており,従来の枠を超えた高機能物性測定システムが,研究室レベルで創成可能となってきている.そこで工学の観点から研究成果を社会貢献につなげる一環として新しい着想で装置を試作し,物理学の未踏領域への挑戦を目標とする.
 メカトロニクス技術と材料科学の双方を活用した,電気・磁気による物体浮遊による不純物の極めて少ない材料創成に関連した周辺の技術に取り組む.特に最新の画像処理やコンピュータ工学を用いて,イメージ・圧力センサーを取り入れ,従来型単機能センサーを凌駕した新しい電気・磁気浮遊炉の開発に取り組むための周辺技術の本課題内容を新しい装置構築につなげる.この電気・磁気浮遊炉は,金属のみならず,セラミック,ガラス,水といったあらゆる材質を浮遊させることができその材料評価の圧力・二相絶縁導電層・ゴンペルツ曲線型構造緩和も課題内容である.一方,宇宙ステーション「きぼう」船内実験装置等で使用する電気・磁気浮遊炉で発現される新物性は,材料評価としての圧力・二相絶縁導電層・ゴンペルツ曲線型構造緩和も課題として求められることから,この評価に取り組む点で差別化を図る.これにより無不純物材料の物性制御の精度向上がより高性能にできる.これらの材料学的新方式の導入の俯瞰的研究がテーマとなる.続く発展テーマとして,①アモルファス状態と液体状態をつなぐ構造決定因子を測定する熱分析.②新しいガラス状固体と空間を融合した多孔性固体(ポーラス)中の熱伝導材料創成.③レーザ発光を半導体材料間で発生させる過程で生じる原子の拡散メカニズムを議論できる半導体創成.以上3指針が今後の展望である.
10週 森谷健二 ■ニワトリ胚低酸素疾患モデルにおける体動パターン解析(専攻の区分:電気電子工学,情報工学)
体動は胎児の正常な成長に必要な現象の一つである。本研究ではニワトリ胚を計測モデルとして生理的疾患時に特有な体動パターンを明らかにし,疾患の予測を目指している。本年度は孵化中によく起きる低酸素状態における特有な体動パターンの解明を目指す。

■脳活動計測によるストレスの定量化に関する研究(専攻の区分:電気電子工学,情報工学)
これまで心拍数計測により心的負荷の定量化を試みてきたが,脳血流系,アイマークレコーダ,心拍数,血圧など複数の生体情報パラメータを利用してより詳細なストレス-レスポンス反応を解析する。同時に,これらの計測パラメータの信号処理に関する研究も行う

■生体情報を用いた福祉機器の製作,開発機器使用時における感性評価(専攻の区分:電気電子工学,機械工学)
福祉機器の開発および既存製品の改良に生体情報をインタフェースとして用いる.使用者の不安なども解析して静的・動的どちらの側面からも使い勝手の良い製品開発を目指す.
11週 湊賢一 ■未利用天然資源および再生可能エネルギーの有効利用を目指した材料技術の開発
化石燃料の枯渇や燃焼時の炭酸ガス放出による地球温暖化などの環境問題の観点から,安全でクリーンな代替エネルギーの開発が重要視されている.また,非枯渇な太陽光を利用した太陽光発電に対する期待が大きく,光電変換素子の研究開発が盛んに行なわれている.本研究では未利用天然資源および再生可能エネルギーの有効利用を目的とし,新規デバイス作製法の開発や性能向上に関する研究を行う.
12週 後藤等 ■導波型デバイス向け数値シミュレーション技術に関する研究
導波型の光デバイスや量子効果デバイスを対象とした数値シミュレーションを行うソフトウェアを開発し,大規模並列数値計算技術の導入を試みる。
13週 河合博之 ■グラフ理論の彩色問題に関する発展的応用問題の研究
グラフの有向辺の彩色問題について,その発展的応用問題を調査・研究する。
14週 東海林智也 ■楽曲の特徴空間の可視化と楽器推定
楽曲からMFCC等の特徴量を抽出し,SVM等の非線形識別手法を用いて楽曲に含まれる楽器の推定を行なう。また,SOM等を用いて特徴空間の可視化を行なう。この目的を達成するために音楽理論,信号理論,多変量解析理論,学習理論等のゼミやプログラミング演習を併せて行なう。
15週 今野慎介 ■モバイルセンシングデータを用いたアプリケーションの開発
モバイル機器に搭載したセンサで収集したデータを解析することにより,所持者の状態などを精度良く推定する手法や,その結果を基に価値の高い情報を提供するための方法について研究を行う。
16週 倉山めぐみ ■インタラクションを利用した学習支援システムの開発
人とコンピュータとがインタラクションを取りながら学習を支援する環境を開発する。学習や教授活動について記述的なモデルを作成し,そのモデルに基づいた学習支援のシステムを設計・開発を行う。また,作成した学習支援システムを実際に利用し,システムの有効性等の調査を行う。
後期
3rdQ
1週
2週
3週
4週
5週
6週
7週
8週
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

論文評価継続的な研究活動発表会合計
総合評価割合303040100
基礎的能力0000
専門的能力0000
分野横断的能力303040100