構造有機化学

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 構造有機化学
科目番号 0012 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質環境工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 プリント配布
担当教員 宇月原 貴光

到達目標

有機化学の範囲は広く、量子力学による有機物理化学から合成を目的とした合成有機化学まで拡がっている。ここでは有機化合物の物性、反応性をその分子構造と関連づけて明らかにすることのできる基礎的知識を得ることを目的とする(B-1)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1混成軌道に関して、その構造を物理的な形とともにその分子の電子状態と関連づけて説明できる。混成軌道の種類および特徴を説明できる。混成軌道の種類および特徴を説明できない。
評価項目2アンモニア、アミン、水、アルコール、エーテルなどの一重結合を持つ分子の形、C=O, C=N などの二重結合を持つ分子の形について理解する。さらに、ベンゼン、ピリジン、ピロールの分子の形と芳香族性について説明することができる。ヘテロ原子を含む分子についてその特徴を説明できる。ヘテロ原子を含む分子についてその特徴を説明できない。
評価項目3有機化合物の5つの異性体についてその特徴を説明できる。さらに立体異性体については命名法や配座解析なども説明することができる。有機化合物の5つの異性体についてその特徴を説明できる。有機化合物の5つの異性体についてその特徴を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学は理論で積み上げられた科学である。基本の原理は一握りほどのものである。この一握りの原理が幹となり、枝を延ばし、花をつけているにすぎない。要求されるのはこの、ほんの一握りの原理を理解することだけである。全ての事柄はこの原理の応用、解釈にすぎないことを実際にわかってもらいたい。
授業の進め方・方法:
授業の最後には、授業内容に関する理解度を調べる小テストを行います。小テストは、授業内容および大学院入試問題をおりまぜて行うので本科での有機化学ⅠおよびⅡの復習も行うようにしてください。
注意点:
中間達成度確認テストは行わず、定期試験1回のみである。そのため、予習・復習をしっかりと行ってください。
「物質環境工学専攻」 学習・教育到達目標の評価:期末試験(B-2)(100%)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
原子と電子配置
学習内容・意義・評価方法の周知徹底
電子殻と軌道の種類、電子配置(築き上げの原理、パウリの排他律、フントの規則)を理解することができる。
2週 イオン結合と共有結合
共有結合と分子軌道
イオン結合と共有結合の違いを理解し、有機化合物の一般的な形である共有結合を水素分子の形成過程から理解することができる。
3週 分子間結合 水素結合およびvan der Waals 引力について理解することができる。
4週 混成軌道
sp3混成軌道
炭素化合物と水素化合物のみからなる基本的な分子であるメタン、エタン,シクロプロパンなどの構造を物理的な形とともにその分子の電子状態と関連づけて理解することができる。
5週 sp2混成軌道
sp混成軌道
炭素化合物と水素化合物のみからなる基本的な分子であるエチレン、ブタジエンなどの構造を物理的な形とともにその分子の電子状態と関連づけて理解することができる。
6週 非局在二重結合
特殊な構造
炭素化合物と水素化合物のみからなる基本的な分子であるブタジエン、アレンなどの構造を物理的な形とともにその分子の電子状態と関連づけて理解することができる。
7週 ヘテロ原子を含む構造 一重結合からなる分子および二重結合を含む分子 アンモニア、アミン、水、アルコール、エーテルなどの一重結合を持つ分子の形について理解することができる。
8週 ヘテロ環状化合物
C=O, C=N などの二重結合を持つ分子の形について理解する。さらに、ベンゼン、ピリジン、ピロールの分子の形と芳香族性について理解することができる。
4thQ
9週 置換基 二トリル基、カルボキシル基、アミド基、ニトロ基等の置換基とそれらの持つ感応効果について理解することができる。
10週 中間体の生成
イオンとラジカル
特殊イオン
中間体の生成の機構と一般的な中間体であるカチオン、アニオン、ラジカルやp軌道架橋イオン、ホモイオン等について理解することができる。
11週 不安定中間体 不安定中間体であるカルベン、ナイトレン、ベンザインの構造について理解することができる。
12週 構造異性体
互変異性体
構造異性体・互変異性体についてその特徴を理解することができる。
13週 幾何異性体 幾何異性体についてその特徴を理解することができる。
14週 配座異性体 配座異性体についてその特徴を理解することができる。
15週 光学異性体 光学異性体についてその特徴を理解することができる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学σ結合とπ結合について説明できる。5
混成軌道を用い物質の形を説明できる。5
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。5
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。5
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。5
共鳴構造について説明できる。5
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。5
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。5
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。5

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力300000030
専門的能力700000070
分野横断的能力0000000