生物化学特講

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 生物化学特講
科目番号 0018 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質環境工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「はじめの一歩のイラスト生化学・分子生物学」(前野正夫・磯川桂太郎著/羊土社)
担当教員 藤本 寿々

到達目標

1. 生命現象を支える臓器と栄養素について説明できる。
2. タンパク質の機能について説明できる。
3. 生体分子の代謝について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生命現象を支える臓器と栄養素について,代謝経路を含めて説明できる。生命現象を支える臓器と栄養素について,大まかに説明できる。生命現象を支える臓器と栄養素について説明できない。
評価項目2タンパク質の機能について,構造と生体内での作用メカニズムを含めて説明できる。タンパク質の機能について,大まかに説明できる。タンパク質の機能について説明できない。
評価項目3生体分子の代謝について,糖質,脂質,タンパク質,ヌクレオチドのすべての面から説明できる。生体分子の代謝について,大まかに説明できる。生体分子の代謝について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生物化学は生命活動を分子のレベルで理解する学問である。生命現象を物質の化学反応の連続と捉え,生体内で合成・分解されていく経路の重要性や最終産物の調節が行われていることを理解する。講義では,細胞の機能と構造から始まり,生きるためのエネルギーやからだを構成する成分がいかに作られ,生体内でどのように調節されているのかを学習する。
授業の進め方・方法:
教科書と配布プリントを中心に,関連分野の内容を含めて幅広く学修する。本講義では,生物体を構成する成分とそれぞれのはたらき,生物体内で行われている化学反応,代謝経路など,生物に関する基本的な内容について学習する。4年次の「生物化学」の科目で履修した内容も必要であるので,よく理解しておくこと。
注意点:
本科目は学修単位(2単位)の授業であるため、履修時間は授業時間30時間と授業時間以外の学修(予習・復習、課題・テスト等のための学修)を併せて90時間である。自学自習の成果は自学自習の成果は「課題及び定期試験」によって評価する。
※「物質環境工学専攻」学習・教育到達目標の評価:中間試験(B-2)(35%),期末試験(B-2)(35%) ,実習・レポート(B-2)(20%),課題(B-2)(10%)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 0.ガイダンス
序章 生体の構成要素
1) 動物体の構成
2) 動物の組織
学習内容の全体像・重要性について説明できる。
動物体の構成と組織(上皮組織・支持組織・筋組織・神経組織)について説明できる。
2週 1章 生命の単位
1) 細胞膜の構造,性質,物質輸送
2) 細胞小器官の構造とはたらき,オートファジー
細胞膜がリン脂質二重膜でできており,その間に特定の物質を通す膜タンパク質があること,また,半透膜で選択的透過性を持つことを説明できる。また,細胞小器官(核・小胞体・ゴルジ体・リソソーム・ミトミンドリアなど)の構造とはたらきを説明できる。
オートファジーの利点を理解し,リソソーム系とユビキチン-プロテアソーム系のオートファジーの違いについて説明できる。また,酵母を用いたオートファジーのしくみ(ノーベル賞受賞)について説明できる。
3週 3) 細胞骨格を構成する繊維系
4) 細胞接着
細胞骨格を構成する繊維系(アクチンフィラメント・中間径フィラメント・微小管)の構造とはたらきを説明できる。
細胞同士の接着結合様式について,結合の特徴と物質輸送の面から説明できる。また,接着分子として発見されたカドヘリンやインテグリンの最新研究法(フローサイトメトリー・ウエスタンブロット・組織免疫化学法など)について理解し,結果の読み方を理解できる。
4週 5) 細胞周期とその調節 細胞周期の各期の特徴を説明できる。
細胞分裂の活性を調べる方法(BrdU取り込み,フローサイトメトリー)について説明できる。
サイクリン-Cdk複合体による細胞周期のチェックポイント機構について,その利点と制御機構について説明できる。
5週   〃
6) 細胞死
細胞周期調節系に影響を及ぼす機構と使用頻度の高いセルラインについて説明できる。
細胞周期に関連するがん遺伝子とがん抑制遺伝子の作用について説明できる。
細胞死の意義,アポトーシスとネクローシスの形態学的な違いについて説明できる。
6週   〃
7) 組織の維持・再生と幹細胞
アポトーシスにおけるカスパーゼ活性化経路およびアポトーシス検出法(TUNEL染色・DNA断片化・ホスファチジルセリン検出)について説明できる。
幹細胞の分化能の分類,造血幹細胞からの血液成分の分化,幹細胞の分離方法(フローサイトメトリー・細胞移植)について説明できる。
細胞分裂とテロメア短縮の関係について説明できる。
7週   〃 テロメラーゼ(ノーベル賞受賞)活性のある細胞とない細胞の違いについて説明できる。
老化研究のモデル生物,アルツハイマーとの関連,長寿者に特徴的な免疫細胞の構成について説明できる。
8週 中試験
2ndQ
9週 試験答案返却・解答解説
3章 生物体の機能とタンパク質
1) 酵素と補酵素とビタミン
2) ヒトのホルモンと受容体タンパク質
間違った問題の正答を求めることができる。
酵素と補酵素,ビタミンB群の重要性について説明できる。
ホルモンの分泌方法と受容体の特徴,ホルモンと自律神経による調節(水分量調節・無機塩類調節・自律神経による心拍数の変化)について説明できる。
10週 3) 神経系および筋収縮
4) 植物の成長と調節および植物ホルモン
神経細胞の構造と刺激の伝導・伝達,有髄神経線維による刺激の跳躍伝導の利点について説明できる。
植物の屈性と傾性,植物ホルモン(オーキシン・ジベレリン・サイトカイニン・アブシジン酸・エチレン・フロリゲン)について説明できる。
11週 5) 収縮性タンパク質と魚介類のアレルゲン
6) 血漿タンパク質とタンパク質の分類
滑り説による筋収縮が説明できる。また,筋組織のタンパク質がアレルゲンであることを理解できる。
血漿タンパク質であるアルブミンとグロブリンのはたらきと性質の違いについて説明できる。
12週 7) 構造タンパク質
8) 骨形成と吸収
様々な細胞外マトリックス成分と細胞成分により,組織や器官に機械的強度を与えていることを説明できる。
骨および軟骨の構造・組成・はたらきおよび骨のリモデリングについて説明できる。
13週 8章 生命現象を支える臓器と栄養素
 脳,筋肉,肝臓,腎臓,血液など
9章 生体分子の代謝
1) 糖質,脂質,タンパク質の代謝(復習)
ヒトの臓器のはたらきおよび三大栄養素の消化と吸収について,本科で履修済みの内容と結び付けて,さらに発展させて理解し,説明することができる。
三大栄養素である糖質,脂質,タンパク質の代謝について,本科で履修済みの内容と結び付けて,さらに代謝の流れを発展させて理解し,説明することができる。
14週 2) 糖新生とベントースリン酸回路
3) ヌクレオチドの代謝
脂質やアミノ酸など,糖質以外の成分からグルコースを合成する糖新生の過程について説明できる。
好気呼吸の解糖系から分岐して行われるベントースリン酸回路について,物質変換の面から説明できる。
DNAの材料となるヌクレオチドの代謝とサルベージ回路について説明できる。
15週 【課題】国立大学の理学部や農学部にある「生物化学」研究室で行われている研究内容についての動画鑑賞と内容についてのディスカッション 「生物化学」の分野で行われている研究概要,対象とする実験動物,用いられている分析機器・実験装置などを理解し,自身の研究や進路に生かすことができる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

中試験期末試験実験レポート確認問題課題その他合計
総合評価割合404000200100
基礎的能力55000010
専門的能力35350020090
分野横断的能力0000000