分子生物学特講

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 分子生物学特講
科目番号 0019 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質環境工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「はじめの一歩のイラスト生化学・分子生物学」(前野正夫・磯川桂太郎著/羊土社)
担当教員 藤本 寿々

到達目標

1. 遺伝子DNAの発現とタンパク質合成について説明できる。
2. 細胞周期とDNAの変異・修復機構について説明できる。
3. 遺伝子工学に用いられている技術について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1遺伝子DNAの発現とタンパク質合成について詳細に説明できる。遺伝子DNAの発現とタンパク質合成について大まかに説明できる。遺伝子DNAの発現とタンパク質合成について大まかに説明できない。
評価項目2細胞周期とDNAの変異・修復機構について詳細に説明できる。細胞周期とDNAの変異・修復機構について大まかに説明できる。細胞周期とDNAの変異・修復機構について説明できない。
評価項目3遺伝子工学に用いられている技術について,操作手順もあわせて詳細に説明できる。遺伝子工学に用いられている技術について,大まかに説明できる。遺伝子工学に用いられている技術について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 生物はDNAに刻まれた遺伝情報を利用してタンパク質を合成し生命活動を営んでいる。本講義では,細胞分裂にともなうDNAの複製・組換え・修復機構・テロメア短縮,転写・翻訳にともなう遺伝子発現,発生過程における遺伝子発現調節,集団遺伝学と遺伝的多様性の維持,最新の遺伝子操作技術について学習する。
授業の進め方・方法:
 講義は教科書をもとに配布プリントで進める予定である。5年次に履修した「分子生物学」の学習内容が定着しているものとして,新たな分野の内容と最新の操作技術や研究内容をあわせてより深い内容を学習する。また関連する文献の輪読も行う。
注意点:
本科目は学修単位(2単位)の授業であるため、履修時間は授業時間30時間と授業時間以外の学修(予習・復習、課題・テスト等のための学修)を併せて90時間である。自学自習の成果は自学自習の成果は「課題及び定期試験」によって評価する。
※「物質環境工学専攻」学習・教育到達目標の評価:中間試験(B-2)(35%),期末試験(B-2)(35%),実習・レポート(B-2)(20%),課題(B-2)(10%)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 0.ガイダンス
1.遺伝子とその継承
1) 遺伝情報を担う物質
2) DNAの複製
本科目の全体像・重要性について説明できる。
DNAの構造と複製過程が説明できる。
2週 3) DNA,染色体,ゲノム
4) 遺伝するDNA・遺伝子しないDNA
DNA,染色体,ゲノムの違いを説明できる。
体細胞分裂と減数分裂の違いを理解し,それぞれの分裂のときにゲノムがどのように分裂されるのか理解できる。
3週 5) 細胞分裂とテロメア
6) 腫瘍とガン
細胞分裂のチェックポイント機構とDNAが細胞分裂ごとに末端のテロメア配列が短かくなることを理解できる。
がん遺伝子とがん抑制遺伝子について説明できる。
4週 7) DNAの損傷と修復
8) 遺伝病
損傷したDNAの修復機構について説明できる。
遺伝病について説明できる。
5週 9) 遺伝的多様性(完全連鎖・不完全連鎖,組換え,乗り換え) 遺伝的多様性の維持に必要な連鎖と減数分裂時の乗り換えと組換えについて理解でき,連鎖地図を作成できる。
6週 2.DNAの変化と進化
1) 生物の変異と進化
進化論の歴史,ヨハンセンの純系説,突然変異について理解できる。
7週 2) 集団遺伝学 遺伝子頻度に関するハーディーワインベルグの法則とボトルネック効果について説明できる。
8週 中試験
4thQ
9週 答案返却
3.遺伝子DNAの発現とタンパク質合成
1) 一遺伝子一酵素説
2) 転写・翻訳
間違った問題の正答を求めることができる。
ビードルとテータムの一遺伝子一酵素説について説明できる。
DNA上の遺伝情報が発現する過程について説明できる。
10週 3) 転写調節因子・遺伝子発現調節 転写調節,クロマチン構造による遺伝子発現調節,DNAのメチル化について説明できる。
11週 4) 遺伝子と発生・分化 発生過程における遺伝情報の維持,選択的遺伝子発現(パフ・前後軸・誘導)と形態形成異常(ホメオティック遺伝子)について説明できる。
12週 3.遺伝子の操作
1) PCR法
2) クローニング
PCR法について,その種類(リアルタイムPCR,RT-PCR)と検出方法について理解できる。
遺伝子を釣り上げるクローニングの原理と方法を説明できる。
13週 3) 【実習】プライマーの設計と遺伝子の相同性検索 フリーソフトを用いてPCRのためのプライマーの設計とBLAST検索による遺伝子の相同性検索を行うことができる。
14週 4)遺伝子組み換え
5)ゲノム編集
動物細胞に用いられる方法と農作物に用いられる方法(アグロバクテリウム法,パーティクル・ガン法,エレクトロポレーション法など)について理解できる。
ゲノム編集技術ならびにクリスパーキャス9の技術で行われている様々な研究例(医療応用,育種全般)について理解し,分かりやすく伝えることができる。
15週 6)シーケンサー
7)トランスクリプトーム解析
シーケンサーによる塩基配列解読,次世代シーケンサーについて原理と手法を説明できる。
トランスクリプトーム解析の方法として,ディファレンシャルディスプレイ,DNAマイクロアレイ,RNA-seqについて原理と手法を理解できる。
16週 学年末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

中試験学年末試験レポート確認問題課題その他合計
総合評価割合404000200100
基礎的能力55000010
専門的能力35350020090
分野横断的能力0000000