社会基盤工学特別研究Ⅰ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 社会基盤工学特別研究Ⅰ
科目番号 0010 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 学修単位: 4
開設学科 社会基盤工学専攻 対象学年 専1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材
担当教員 小玉 齊明,澤村 秀治,平沢 秀之,宮武 誠,渡辺 力,菊池 幸恵,越智 聖志

到達目標

①自主的に課題を見出して研究計画を立案・実行し、まとめ上げることができる(A-1)。
②研究テーマに関する情報の収集,データの整理や分析に情報技術を利用できる(C-1)。
③報告書の作成を通して論理的文章を作成することができる(E-2)。
④研究成果について自分の考えをまとめ,学内外の発表会で他者と討論できる (E-1)。
⑤研究成果について,学内外の発表会で効果的にプレゼンテーションできる (E-3)。
⑥研究過程において,問題解決のため、土木工学に関する基礎知識及び地域系またはデザイン系に関する専門知識を活用していろいろな解決手法を考案し、最適な解決策を見出すことができる(B-3、F-1、F-2)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標①自主的に課題を見出し,研究計画の立案,実行,まとめができる.指示された課題に対し,自主的に課題を見出し,研究計画の立案,実行,まとめができる.研究計画の立案,実行,まとめを,十分な水準で行うことができない.
到達目標②情報の収集,データの整理や分析などに情報技術を駆使している.情報の収集,データの整理や分析などにコンピュータを使用した.情報の収集,データの整理や分析などにコンピュータを活用できない.
到達目標③報告書が正確かつ論理的に記述されており,説明に必要な図表等も高いクオリティーで掲載されている.報告書が正確かつ十分な内容で記述されている.文章,図表,レイアウトなどが,報告書としてのレベルに達していない.
到達目標④研究発表の場で,質問等の趣旨を十分に理解し,自分の考えを示して議論できる.研究発表の場で,質問等に対応できる.研究発表の場で,質問等に対して対応できない.
到達目標⑤研究成果を効果的な資料を駆使して,正確かつ分かりやすくプレゼンテーションすることができる.研究成果を正確にプレゼンテーションすることができる.プレゼンテーションが,研究発表と言えるレベルに達していない.
到達目標⑥自ら課題解決の方法を考え,その中から最適な解決策を提案し実行できる.示唆された課題解決方法を試し,最適な方法を用いて実行できる.指示された課題解決方法も十分なレベルで実行できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 (A-1) 説明 閉じる
学習・教育到達目標 (B-3) 説明 閉じる
学習・教育到達目標 (C-1) 説明 閉じる
学習・教育到達目標 (E-1) 説明 閉じる
学習・教育到達目標 (E-2) 説明 閉じる
学習・教育到達目標 (E-3) 説明 閉じる
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学習・教育到達目標 (F-2) 説明 閉じる
JABEE学習・教育到達目標 (A-1) 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
 指導教員の指導のもとで高度な研究を行うことによって、専門的な知識を深め、創造力や問題解決能力を修得する。さらに、特別研究Ⅰを通して指導教員との議論に加え、学内外の発表会で他者との討論をし、研究成果を報告書にまとめる。
授業の進め方・方法:
 特別研究Iと次年度の特別研究Ⅱにおいて、2年間で一つのテーマに取り組むことになる。長期間にわたるのでしっかりとした計画のもと、指導教員とは綿密なコンタクトを取り、自発的・積極的に行動することが必要である。
注意点:
「社会基盤工学専攻」学習・教育到達目標の評価:
 継続的な研究活動:50%(A-1:40%、E-1:20%、F-2:40%)
 発表会     :50%(B-3:20%、C-1:20%、E-1:10%、E-2:30%、E-3:10%、Fー1:10%)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 澤村秀治 「超音波伝播速度による強度発現途上にあるコンクリートの弾性係数評価方法に関する研究」
 本研究では超音波伝播速度計測を応用し,強度発現途上にある若材齢コンクリートの弾性係数の変化を,①正確に,②非破壊で,③連続自動的に測定することができる計測システムを開発し,それらの④計測結果を評価するための汎用的手方法を確立することを目的とする.その中では特に,コンクリート中の骨材の体積濃度,骨材の粒径・粒度など,骨材の配合条件がコンクリートの超音波速度に及ぼす影響に着目し,それらの定量化を試みる.また,フライアッシュコンクリートの強度発現特性,膨張コンクリートの強度発現特性など,超音波計測システムを応用したテーマへの展開を行う.
2週 渡辺力 「複合構造のための精密な構造解析法の開発に関する研究」
 鋼やコンクリートに加え,近年,繊維強化プラスチック(FRP)などの複合材料が建設材料として盛んに用いられるようになった。これらの材料を組み合わせた複合構造の設計では,疲労破壊の原因となる応力集中などに配慮するため精密な構造解析が要求される。本研究では,等方性ならびに異方性の平板や積層板に対する精密な厚板理論を研究し,それらを用いた効率的な構造解析法の開発を行う。
3週 平沢秀之 「災害時等に役立つ応急橋の開発的研究」
 自然災害が多発する我が国においては,災害時の物資輸送のための交通路の確保は重要である.本研究では,災害時に一時的に使用するための橋梁を開発する.応急橋の要求性能は,材料の調達が容易であること,軽量で運搬が容易であること,施工に重機などを必要とせず,人力で組立てが可能なこと,耐久性はそれほど高くなくても良いこと等である.このような性能を有する新しい形式の橋梁を検討し,実用化への課題を探る.

「材料の特質を生かした新しい橋梁の開発的研究」
 橋梁構造物に使用される材料は、主として鋼とコンクリートである。このほか、木材、アルミニウム、FRP等が用いられるケースもある。本課題では、近年使用実績が増えつつあるSBHS鋼による鋼橋の高性能化の検討、および木材(構造用製材、大断面集成材)を用いた新しい橋梁構造の開発を行う。SBHS鋼は従来鋼と比較して強度面での性能向上と構造の合理化が期待できる。一方、木材は耐久性が鋼と比較して劣るが、一時的な使用に限定される応急橋に用いれば、適用範囲が大きく広がる可能性がある。自然災害が多発する日本において、木製応急橋の必要性が高まると考えられる。
4週 宮武誠 「前浜浸透流を考慮に入れた波打ち帯漂砂の定量的評価法に関する研究」
 これまでの波打ち帯漂砂に関する既往研究で考慮されてこなかった前浜浸透流を考慮した模型実験及び現地実験のデータをもとにして,新しい数値解析モデルを構築する.また構築したモデルに対し,波打ち帯での前浜勾配の急峻化や浜がけの形成といった侵食現象の再現性や妥当性を定量的に検証し,地形変化モデルの高精度化に資する知見を得る.
5週 小玉齊明 「岩盤の風化と地形の関係に関する研究」
 山地の地形は,長い年月をかけて岩盤が風化・浸食されながら変化するが,その過程で周辺の住民に対して落石や土石流などの災害をもたらす.本研究では寒冷地を対象として原位置載荷試験を行って岩石の風化状況を調査し,その結果ならびにDEM,地質,リモートセンシングデータ等の地理情報を元に,災害に至る危険性の高い地形条件の特定方法を考察する.
6週 越智聖志 「気候変動に伴う沿岸防災の高度化に関する研究」                     
近年,地球温暖化に伴う低気圧の大型化が顕著となっている.本研究では,こうした高波浪来襲時の漁港・港湾をはじめ海岸道路・鉄道などの沿岸施設における被災事例等をもとに,水理模型実験および数値シミュレーションを用い,被災現象の解明やその対策工法など海岸・沿岸施設における減災・防災の一助となる知見を得る.
7週
8週
2ndQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週
後期
3rdQ
1週
2週
3週
4週
5週
6週
7週
8週
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。4
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。4
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。4
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。4
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。4
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。4
他者の意見を聞き合意形成することができる。4
合意形成のために会話を成立させることができる。4
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。4
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。4
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。4
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。4
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。4
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。4
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。4
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる4
複数の情報を整理・構造化できる。4
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。4
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。4
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。4
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。4
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。4
事実をもとに論理や考察を展開できる。4
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。4
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。4
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。4
目標の実現に向けて計画ができる。4
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。4
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。4
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。4
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。4
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。4
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。4
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。4
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。4
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。4
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている4
法令やルールを遵守した行動をとれる。4
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。4
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。4
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。4
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。4
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。4
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。4
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。4
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。4
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。4
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。4
企業には社会的責任があることを認識している。4
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。4
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。4
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。4
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。4
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。4
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。4
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。4
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。4
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。4
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。4
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。4
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。4
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。4
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。4
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。4
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。4

評価割合

継続的な研究活動発表会合計
総合評価割合5050100
基礎的能力000
専門的能力000
分野横断的能力5050100