機械設計製図Ⅱ

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 機械設計製図Ⅱ
科目番号 0008 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 創造工学科(機械系共通科目) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 岡田昌樹 [著]: Excelで解く機械設計計算(オーム社)
担当教員 浅見 廣樹

到達目標

1) 設計仕様に基づいた,ねじ式ジャッキおよび手巻きウインチの設計ができ,設計計算書について機械工学の基礎・専門知識を使って解説することができる.
2)  設計仕様書の作成およびSolidWorksを用いた部品図の作成ができる.


ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1設計の流れと仕様の概要について説明することができる。また、日程計画を立てることができる。 設計の流れと仕様の概要について基本的な説明ができる。また、日程計画を立てることができる。 設計の流れと仕様について説明することができない。また、日程計画を立てることもできない。
評価項目2与えられた性能の設計仕様書を作成できる。 与えられた性能の基本的な設計仕様書を作成できる。 与えられた性能の設計仕様書を作成できない。
評価項目3基本設計および設計仕様書に基づいて各部品の詳細設計を行い、部品図を作成できる。 基本設計および設計仕様書に基づいて各部品の詳細設計を行い、基本的な部品図を作成できる。 基本設計および設計仕様書に基づいて各部品の詳細設計を行い、基本的な部品図を作成できない。
評価項目4基本設計、設計仕様書、各部品図に基づいて、設計書を作成することができる。 基本設計、設計仕様書、各部品図に基づいて、基本的な設計書を作成することができる。 基本設計、設計仕様書、各部品図に基づいて、基本的な設計書を作成することができない。

学科の到達目標項目との関係

 Ⅰ 人間性  1 Ⅰ 人間性
 Ⅱ 実践性  2 Ⅱ 実践性
 Ⅲ 国際性  3 Ⅲ 国際性
 CP2 各系の工学的専門基盤知識,および実験・実習および演習・実技を通してその知識を社会実装に応用・実践できる力  5 CP2 各系の工学的専門基盤知識,および実験・実習および演習・実技を通してその知識を社会実装に応用・実践できる力
 CP4 他者を理解・尊重し,協働できるコミュニケーション能力と人間力  7 CP4 他者を理解・尊重し,協働できるコミュニケーション能力と人間力

教育方法等

概要:
この科目は機械設計製図手法について実習形式で授業を行うものである。 第1,2 学年において修得した製図技法に加え,第 3 学年では,ねじ式ジャッキおよび手巻きウインチの設計製図の演習を通して,設計計算書,部品図を作成することにより,設計仕様書の書き方から図面の纏め方までを修得することを目標とする。また,提出期限を厳守することによって,機械エンジニアとして最も重要である納期を厳守する習慣を身につける。
授業の進め方・方法:
第1,2学年で学んだ機械設計製図,工業力学,生産加工実習,材料力学,情報処理などをベースに基礎的力学の知識や概念に基づきねじ式ジャッキおよび手巻きウインチを設計製図する。前期は,ねじ式ジャッキの構造を理解し,設計条件に基づき各種設計計算および部品図を作成する。後期は,手巻きウインチ設計の力学的基本概念を学んだ後,主要部品であるロープ、巻胴,歯車装置,ブレーキ装置,軸,軸受けなど各項目についての計算書および部品図を作成する。ねじ式ジャッキおよび手巻きウインチの設計製図を通じて設計の基本を理解し,簡単な機械の設計を進められる能力を養う。
前期は,2次元図面および3Dモデルの提出物50%,アセンブリモデルに関する課題20%,設計計算書30%として100点法で評価する.
前期は,2次元図面および3Dモデルの提出物60%,アセンブリモデルに関する課題10%,設計計算書30%として100点法で評価する.
学年末評価は,前期評価点と後期評価点の平均とする.
注意点:
電卓・筆記用具・教科書を用意すること。設計仕様書及び部品図の作成については,Officeソフト及びSolidWorksを用いる.これらの扱いについては,これまでの授業で学んだ知識をもとに,自主的に研鑽すること.
なお,授業時間内で終了することができなかった作業については,自学自習にて進める必要がある.
提出期限外の課題成果物については,基本的に受理しない.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
SolidWorksを用いた3Dモデリングと2次元図面作成演習Ⅰ
授業の目的を理解できる.
図面を見て,SolidWorksで3Dモデリングをすることができる.また,3Dモデルから2次元図面を作成することができる.
2週 SolidWorksを用いた3Dモデリングと2次元図面作成演習Ⅱ

図面を見て,SolidWorksで3Dモデリングをすることができる.また,3Dモデルから2次元図面を作成することができる.
3週 ねじ式ジャッキの設計:ジャッキの可動範囲計算とねじ棒の設計 ねじ式ジャッキ機構の原理・構造を理解することができる.
幾何学的にジャッキの可動範囲の計算ができる.ねじ棒に生じる力について計算し,適切な部材寸法を選定できる.
4週 ねじ式ジャッキの設計:ブラケットの設計
ねじ棒,ブラケット,各種部品の図面作成演習
ねじ棒やブラケットに生じる力について計算し,適切な部材寸法を設計できる.
SolidWorksを用いて,各種部材の2次元図面を作成できる.
5週 ねじ棒,ブラケット,各種部品の図面作成演習 SolidWorksを用いて,各種部材の2次元図面を作成できる.
6週 アームおよび関連部品の設計 アーム部分の部品構成を理解し,取付ピンの直径やアームの幅と厚さについて計算で求めることができる.
7週 アームおよび関連部品の図面作成演習 SolidWorksを用いて,各種部材の2次元図面を作成できる.

8週 アームおよび関連部品の図面作成演習 SolidWorksを用いて,各種部材の2次元図面を作成できる.
2ndQ
9週 ハンドルの設計
ハンドルの図面作成演習
ハンドルを回す力のモーメントを理解し,トルクや回転半径,棒の直径を計算で求めることができる.
SolidWorksを用いて,各種部材の2次元図面を作成できる.
10週 ネジ式ジャッキのアセンブリモデル作成演習 各種部品の構成を理解し,SolidWorks上で組み立てることができる.

11週 ネジ式ジャッキのアセンブリモデル作成演習 各種部品の構成を理解し,SolidWorks上で組み立て動作確認や質量評価をすることができる.
12週 ネジ式ジャッキの設計計算書の作成
授業内で学んだ設計計算を,報告書としてまとめることができる.
13週 ネジ式ジャッキの設計計算書の作成


授業内で学んだ設計計算を,報告書としてまとめることができる.
14週 ネジ式ジャッキの設計計算書の作成 授業内で学んだ設計計算を,報告書としてまとめることができる.
15週 ネジ式ジャッキの設計計算書の作成 授業内で学んだ設計計算を,報告書としてまとめることができる.
16週
後期
3rdQ
1週 4.1.3 ワイヤロープ
[1] 破断荷重,安全率の計算
[2] ロープの選定
巻上げ部分の機構を理解し,ロープの破断荷重の計算結果からロープを選定することができる.
2週 4.2 巻胴
4.2.1 巻胴本体の計算
4.2.2 止め金具と歯車取付ボルト
巻胴本体の構造を理解し,巻胴の直径や長さと厚さおよび止め金具の直径を計算で求めることができる.
3週 4.2.3 巻胴の構成部品図
[1] 巻胴
[2] ロープ止め金具
巻胴本体の構造を理解し,巻胴やロープ止め金具の部品図を作成することができる.
4週 4.3 歯車
4.3.1 3種類の歯車の計算
減速比,歯数,モジュール,歯車の寸法
歯車の伝導機構を理解し,3種類の歯車の諸元量を計算で求めることができる.
5週 4.3.2 歯車の部品図
[2] A,C歯車,[3] B歯車
[4] D歯車

歯車の伝導機構を理解し,原軸と中間軸(大・小),巻胴軸用歯車の要目表及び部品図を作成することができる.
6週 4.4 軸
4.4.1 3本の軸の計算
[1] 軸の配置,[2] 巻胴軸
本装置の軸構造を理解し,原軸と中間軸,巻胴軸の径を計算で求めることができる.
7週 4.4.2 軸の部品図
[1] 原軸
[2] 中間軸,[3] 巻胴軸
本装置の軸構造を理解し,原軸と中間軸,巻胴軸の部品図を作成することができる.
8週 4.5 軸受
4.5.1 軸受とブッシュの計算
本装置の軸構造を理解し,原軸と中間軸,巻胴軸の軸受を計算で選定することができる.
4thQ
9週 4.5.2 軸受とブッシュの部品図
[1] フランジ軸受
[2] 原軸と中間軸のブッシュ
本装置の軸構造を理解し,原軸と中間軸,巻胴軸の軸受及びブッシュの部品図を作成することができる.
10週 4.6 クランクハンドル
4.6.1 クランクハンドルの計算
4.6.2 クランクハンドルの部品図
クランクハンドルにかかる曲げ応力を理解し,ハンドルの基本寸法を計算し,部品図を作成することができる.
11週 4.7 ベルトブレーキ装置
4.7.1 ブレーキドラムの計算
4.7.2 ブレーキレバーの計算
4.7.3 ベルト取付金具の計算
ベルトブレーキ方式の構造を理解し,ブレーキドラム,ブレーキレバーの寸法やベルト取付金具の寸法を計算で求めることができる.
12週 4.7.4 ベルトブレーキ装置の部品図
[1] ブレーキドラム
[2] ブレーキレバー
[3] ベルト金具類,[4] ベルト
ベルトブレーキ方式の構造を理解し,ブレーキドラム,ブレーキレバー,ベルト金具類,ベルトの部品図を作成することができる.
13週 4.8 つめ車装置
4.8.1 つめ車の計算
4.8.2 つめの計算
4.8.3 つめ車装置の部品図
つめ車装置の構造を理解し,つめ車,つめ,つめ軸の各寸法を計算し,部品図を作成することができる.
14週 4.9 フレーム
4.9.1 フレームの計算
4.9.2 フレームの部品図
装置の筐体であるフレームの構造を理解し,その強度と各寸法を計算し,部品図を作成することができる.
15週 後期設計計算演習
手巻きウインチの各種設計計算式を理解し,諸量を計算で求めることができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野製図歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプ、ねじジャッキなどを題材に、その主要部の設計および製図ができる。4前2
機械設計標準規格の意義を説明できる。4後1
標準規格を機械設計に適用できる。4前2
許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。4前1
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。4後4
ボルト・ナット結合における締め付けトルクを計算できる。4後5
ボルトに作用するせん断応力、接触面圧を計算できる。4後6
軸の種類と用途を理解し、適用できる。4後1,後2,後3
軸の強度、変形、危険速度を計算できる。4後1,後2,後3
キーの強度を計算できる。4後1,後2,後3
軸継手の種類と用途を理解し、適用できる。4後1,後2,後3
滑り軸受の構造と種類を説明できる。4後4,後5,後6
転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。4後4,後5,後6
歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。4前12,前13
すべり率、歯の切下げ、かみあい率を説明できる。4前12,前13
標準平歯車と転位歯車の違いを説明できる。4前12,前13
標準平歯車について、歯の曲げ強さおよび歯面強さを計算できる。4前12,前13
歯車列の速度伝達比を計算できる。4前12,前13

評価割合

課題成果物合計
総合評価割合100100
基礎的能力3030
専門的能力5050
分野横断的能力2020