機械力学

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 機械力学
科目番号 0021 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科(機械系共通科目) 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 演習で学ぶ機械力学 小寺 忠・矢野 澄雄共著(森北出版株式会社)<参考書>基礎と演習 理工系の力学 高橋 正雄著 (共立出版)
担当教員 當摩 栄路

到達目標

1) 運動の法則や仕事とエネルギについて説明できる。
2) 機械の力学モデルについて基本的な事項を説明できる。   
3) 質点や剛体に作用する力を把握してシステムの運動方程式を記述できる。
4) 1自由度系の調和振動と減衰振動の特性を解析して一般解を数理的に説明できる。
5) 1自由度系の強制振動における基本解と特解を求め,エネルギー共鳴を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 運動の法則や仕事とエネルギについて,静力学動力学全体をとおして説明ができる。機械の力学モデルを理解できる。 運動の法則や仕事とエネルギについて説明できる。基本的な機械の力学モデルを理解できる。 運動の法則や仕事とエネルギについて説明できない。基本的な機械の力学モデルを理解できない。
評価項目2質点にどのような力が働くかを理解し,質点の運動方程式を記述でき,その解を求めることができる。質点にどのような力が働くかを理解し,質点の運動方程式を記述できる。質点にどのような力が働くかを理解し,質点の運動方程式を記述できない。
評価項目3剛体の慣性モーメントと平面運動を説明できる。剛体に作用する力を把握し,剛体の運動方程式から応用的な問題を解くことができる。剛体の慣性モーメントと平面運動を説明できる。剛体に作用する力を把握し,剛体の運動方程式から基本的な問題を解くことができる。剛体の慣性モーメントと平面運動を説明できる。剛体に作用する力を把握し,剛体の運動方程式から基本的な問題を解くことができない。
種々の1自由度系の自由振動と減衰振動現象を数理的に解析して,運動方程式からその一般解を求めることができる。種々の1自由度不減衰系の自由振動を数理的に解析して,運動方程式からその一般解を求めることができる。種々の1自由度系の自由振動と減衰振動現象を数理的に解析して,運動方程式からその一般解を求めることができない。
種々の1自由度減衰系振動モデルに調和外力が作用した時の一般解を求めることができる。調和外力の周波数依存性に関する共振現象を理解し,エネルギー共鳴を説明できる。種々の1自由度不減衰系振動モデルに調和外力が作用した時の一般解を求めることができる。調和外力の周波数依存性に関するエネルギー収支を説明できる。種々の1自由度不減衰系振動モデルに調和外力が作用した時の一般解を求めることができない。調和外力の周波数依存性に関するエネルギー収支を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

Ⅰ 人間性
Ⅱ 実践性
Ⅲ 国際性
CP2 各系の工学的専門基盤知識,および実験・実習および演習・実技を通してその知識を社会実装に応用・実践できる力
CP4 他者を理解・尊重し,協働できるコミュニケーション能力と人間力

教育方法等

概要:
この科目は企業で自動車部品の設計・生産技術分野を担当していた教員がその経験を活かし,機械運動の基礎事項である運動の法則と機械の力学モデルについて講義形式で授業を行うものである。前半は,質点系・剛体の力学を学習し,特にニュートンの運動の法則を応用した運動方程式を立てて数学的手法を適用した力学諸問題を解く演習を重点的に学習する。その理論的背景のもとで質点および剛体の運動方程式の導出について説明する。後半は,単振動の基本を理解した上で,単振動の運動方程式(線形2階微分方程式)とその一般解を数理的に解法して,1自由度の自由振動と減衰振動のエネルギー収支を含めた特性および強制振動における共振現象とエネルギー共鳴を重点的に学習する。
授業の進め方・方法:
講義を中心に授業を進めるが,適宜演習を行う。 各自予習を前提にして,授業は理論式の定義と演習問題の解法を中心に進める。この科目は学修単位科目のため,事前・事後学習として演習課題を課す。この他,日常の授業(30 時間)のための予習復習時間,定期試験の準備のための勉強時間を総合し,60時間の自学自習時間が必要である。
注意点:
学習目標に関する内容の試験および演習・レポートにより総合的に評価する。評価割合は定期試験40%,中間到達度試験40%,演習・レポート20%を基準とし,合格点は60点である。 なお,状況により再試験等を行うことがある.
授業を展開する中の適切な時期に演習・レポートの課題を配布するので自学自習により取り組むこと。提出された課題の目標が達成されていない場合には,再提出を求めます。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
専門/必修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 1.力学と運動
・ニュートンの運動の法則
・位置・速度・加速度の時間変化
・物体の運動とは,物体の位置の時間的な変化であり,運動の法則を説明できる。
・質点の運動を数式で捉えて,物体の運動がニュートンの運動方程式で決まることを説明できる。
2週 微積分を用いた運動の解析Ⅰ
・自由落下運動(重力のみ)
・放物運動(重力のみ)
・落下運動や放物運動などの時間に依存した力を受けて運動する質点の運動方程式を立てて,数理的にその解を求めることができる。
3週 微積分を用いた運動の解析Ⅱ
・空気抵抗のある運動
・空気抵抗を受ける落下運動
・落下運動で空気抵抗などの時間に依存した力を受けて運動する質点の運動方程式を立てて,数理的にその解を求めることができる。
4週 エネルギー原理と力学的エネルギー保存則
・位置エネルギーと仕事
・弾性力による位置エネルギー
・質点の満たす基本法則である運動方程式を変形(積分)することにより,力の種類によっては非保存力が作用する場合の仕事と力学的エネルギーの関係について理解することができる。
5週 2. 剛体の運動
2.1 回転運動の運動方程式
・回転軸の力学
・剛体に作用する力のモーメントとつり合いの条件式を導出することが出来る。
・剛体の回転運動方程式を理解し記述することが出来る。
6週 2.2 いろいろな物体の慣性モーメント
・慣性モーメントの計算
・剛体の回転軸に関する慣性モーメントを論理的に定義することで,一様な棒等の慣性モーメントを計算できる。
7週 2.3 剛体の平面運動
・斜面の転がり運動
・滑車の回転運動
・剛体の平面運動における運動方程式を立てることができる。
・剛体の運動方程式から,斜面を転がる運動や滑車の回転運動について論理的に記述することができる。
8週 中間到達度試験 ・質点系・剛体の運動に関する基本的な問題を運動方程式を立てて解くことができる。
4thQ
9週 3.自由度系の振動
・単振動と諸定数
・単振動の運動方程式とその解
・単振動は最も基本的な周期性のある振動であり,複雑な振動の基礎となるものである。単振動の諸定数を取り上げて,その特徴を理解した上で,その運動方程式を導くこと
ができる。
・単振動の運動方程式とその解について数学的に理解でき
10週 ・単振動の一般解とその解の求め方
・2階線形微分方程式の解法
・単振動のエネルギー
・単振動の運動方程式(2階微分方程式)から、演算子法(複素数の展開)や三角関数の微積分法などを適用して、その一般解を数理的に導くことができる。
・単振動のエネルギー・ばねの保存力が物体に働く場合には、力学的エネルギー保存則が成り立つことを数理的に導くことができる。
11週 ・減衰振動の運動方程式とその解 ・減衰振動の運動方程式を立てて、その一般解を導くことができる。
12週 ・減衰振動のエネルギー収支 ・減衰振動におけるエネルギー収支について、説明できる。
13週 ・強制振動の運動方程式とその解 ・減衰振動をしている物体に周期的な外力を加えた時の振動に関する運動方程式を立てて、その一般解を導くことができる。
14週 ・強制振動のエネルギー収支
・エネルギー共鳴
・強制振動のエネルギー収支について、説明できる。
・外力の仕事率は振動子のエネルギー吸収率であり,角振動数ωに依存することを理解し,エネルギー共鳴(エネルギー吸収率の最大)について説明できる。
15週 問題演習Ⅰ
(単振動,減衰振動,強制振動)
・単振動,減衰振動,強制振動に関する基本的な問題を数理的に解くことができる。
16週 定期試験 ・質点系の1自由度振動系に関する基本的な問題を論理的に解くことができる。

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ演習課題合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力4000001050
専門的能力4000001050
分野横断的能力0000000