応用化学基礎

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 応用化学基礎
科目番号 0004 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 創造工学科(応用化学・生物系共通科目) 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:井村久則・樋上照男編「基礎から学ぶ分析化学」化学同人,古崎毅・奥田弥生・川村靜夫共著「苫小牧工業高等専門学校物質工学科の学生のための無機化学」/参考図書:サイエンスビュー「化学総合資料」実教出版,R.B.Heslop著,斎藤喜彦訳「無機化学 上・下」東京化学同人
担当教員 奥田 弥生

到達目標

1. 有効数字を考慮した計算ができる。
2. 化学量論に基づき正しく反応式を書くことができる。
3. 溶液の濃度を正しく計算することができる。
4. 反応式に対応する平衡定数の式を書くことができる。
5. ブレンステッドーローリーの定義に基づいて物質を酸,塩基,塩およびそれ以外の物質に分類することができる。
6. 溶液中に存在する化学種について電荷均衡式,質量均衡式を書くことができる。
7. 溶液のpHを計算できる。
8. 元素の定義、原子の構成要素、同位体、放射性同位体,原子の構造,多くの元素には同位体が存在することを説明することができる。
9. 電子のエネルギー状態は4つの量子数によって支配されていること,電子が電子軌道に収納される際には原則としてPauliの排他律,Hund則及びAufbauの原理に基づいて配置されていること,さらに電子軌道は定まった形状を有していることを説明できる。
10. 電子配列に基づき,元素の物理的・化学的性質には周期性があることを説明できる。
11. イオン結合・共有結合の特徴,電気陰性度を説明することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1. 有効数字を考慮した計算ができる。有効数字を考慮した計算ができ,演習問題において自ら有効数字を考慮し答えを導くことができる。有効数字を考慮した基礎的な計算ができる。有効数字を考慮した基礎的な計算ができない。
2. 化学量論に基づき正しく反応式を書くことができる。 化学量論に基づき正しく複雑な反応の反応式を書くことができる。 化学量論に基づき正しく単純な反応の反応式を書くことができる。 化学量論に基づき正しく反応式を書くことができない。
3. 溶液の濃度を正しく計算することができる。複雑な溶液の濃度を正しく計算することができる。基本的な溶液の濃度を正しく計算することができる。溶液の濃度を正しく計算することができない。
4. 反応式に対応する平衡定数の式を書くことができる。 複雑な反応式に対応する平衡定数の式を書くことができる。 基本的な反応式に対応する平衡定数の式を書くことができる。 反応式に対応する平衡定数の式を書くことができない。
5. ブレンステッドーローリーの定義に基づいて物質を酸,塩基,塩およびそれ以外の物質に分類することができる。ブレンステッドーローリーの定義に基づいて多くの物質を酸,塩基,塩およびそれ以外の物質に分類することができる。ブレンステッドーローリーの定義に基づいて代表的な物質を酸,塩基,塩およびそれ以外の物質に分類することができる。ブレンステッドーローリーの定義に基づいて物質を酸,塩基,塩およびそれ以外の物質に分類することができない。
6. 溶液中に存在する化学種について電荷均衡式,質量均衡式を書くことができる。複雑な溶液中に存在する化学種について電荷均衡式,質量均衡式を書くことができる。単純な溶液中に存在する化学種について電荷均衡式,質量均衡式を書くことができる。溶液中に存在する化学種について電荷均衡式,質量均衡式を書くことができない。
7. 溶液のpHを計算できる。複雑な溶液のpHを計算できる。酸や塩基などの単純な溶液のpHを計算できる。溶液のpHを計算できない。
8. 元素の定義、原子の構成要素、同位体、放射性同位体,原子の構造,多くの元素には同位体が存在することを説明することができる。元素の定義,原子の構成要素,同位体,放射性同位体,原子の構造,多くの元素には同位体が存在することを説明することができる。元素の定義,原子の構成要素,同位体,放射性同位体,原子の構造,多くの元素には同位体が存在することことの内,半数を説明することができる。元素の定義,原子の構成要素,同位体,放射性同位体,原子の構造,多くの元素には同位体が存在することを説明することができない。
9. 電子のエネルギー状態は4つの量子数によって支配されていること,電子が電子軌道に収納される際には原則としてPauliの排他律,Hund則及びAufbauの原理に基づいて配置されていること及び電子軌道は定まった形状を有していることを説明できる。電子のエネルギー状態は4つの量子数によって支配されていること,電子が電子軌道に収納される際には原則としてPauliの排他律,Hund則及びAufbauの原理に基づいて配置されていること及び電子軌道は定まった形状を有していることを説明できる。電子のエネルギー状態は4つの量子数によって支配されていること,電子が電子軌道に収納される際には原則としてPauliの排他律,Hund則及びAufbauの原理に基づいて配置されていること及び電子軌道は定まった形状を有していることの内、半数を説明することできる。電子のエネルギー状態は4つの量子数によって支配されていること,電子が電子軌道に収納される際には原則としてPauliの排他律,Hund則及びAufbauの原理に基づいて配置されていること及び電子軌道は定まった形状を有していることを説明できない。
10. 電子配列に基づき,元素の物理的・化学的性質には周期性があることを説明できる。電子配列に基づき,元素の物理的・化学的性質には周期性があることが説明できる。元素の物理的・化学的性質には周期性があることの基本的な説明ができる。元素の物理的・化学的性質には周期性があることの基本的な説明ができない。
11. イオン結合・共有結合の特徴,電気陰性度を説明することができる。イオン結合・に基づき,元素の物理的共有結合の特徴,電気陰性度を説明することができる。イオン結合・共有結合の特徴,電気陰性度の基本的な説明ができる。イオン結合・共有結合の特徴,電気陰性度の基本的な説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

 Ⅰ 人間性  1 Ⅰ 人間性
 Ⅱ 実践性  2 Ⅱ 実践性
 Ⅲ 国際性  3 Ⅲ 国際性
 CP2 各系の工学的専門基盤知識,および実験・実習および演習・実技を通してその知識を社会実装に応用・実践できる力  5 CP2 各系の工学的専門基盤知識,および実験・実習および演習・実技を通してその知識を社会実装に応用・実践できる力
 CP4 他者を理解・尊重し,協働できるコミュニケーション能力と人間力  7 CP4 他者を理解・尊重し,協働できるコミュニケーション能力と人間力

教育方法等

概要:
前期は分析化学,後期は無機化学分野の基礎的知識を教授する。
・重量分析,容量分析あるいは電気化学的分析等,種々の分析法の基礎となる酸・塩基について,溶液内化学種の濃度を計算で求めるためのイオン平衡の知識を教授し,計算法を解説する。
・元素の定義,原子の電子構造,元素の周期性,化学結合についての基礎的知識を教授する。
授業の進め方・方法:
・授業は資料を提示して説明する座学中心に進めるが,適宜,課題を課すことにより理解を深め,知識定着の状況を点検する。
・教科書,ノート,筆記具および電卓を持参すること。
注意点:
・化学Ⅰ,Ⅱで習得した知識が基礎となるので,関連科目についてはよく復習し受講すること。
・実際に学習した知識を身に付けるためには,単に講義を聴くだけでなく自学自習を行い,繰り返し演習問題に取り組む(復習に力を入れる)こと。
・学習達成目標を達成できているかどうかを,適宜実施する小試験,定期試験および課題により総合評価する(小試験40%,定期試験40%,課題20%の割合)。合格点は60点である。
・学業成績の評価点が60点に満たないものについては再試験を行うことがある。この場合,再試験の結果を定期試験の評点として再評価する。再試験を受けたものの成績評価は60点を超えないものとする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
分析化学とは
数と量,単位
有効数字を考慮した計算ができる。
2週 化合物の名称と反応式の書き方 代表的なイオンや化合物を化学式で表すことができる。
3週 化合物の名称と反応式の書き方2 化学量論に基づき,正しく反応式を書くことができる。
4週 溶液の濃度 濃度の表し方を理解し,正しく計算することができる。
5週 溶液の濃度2 異なる表し方の濃度を換算することができる。
6週 化学反応と化学平衡 質量均衡式,電荷均衡式を書くことができる。
7週 化学反応と化学平衡2 反応式に対応する質量作用の法則(平衡定数の式)を書くことができる。
8週 水の電離,水素イオン濃度と水素イオン指数 水素イオン濃度とpHを相互に変換できる。
2ndQ
9週 酸・塩基の定義 ブレンステッド-ローリーの定義に基づいて,物質を酸・塩基・塩およびそれ以外の物質に分類することができる。
10週 強酸・強塩基の水溶液 希薄な溶液のpHを計算することができる。
11週 弱酸・弱塩基の水溶液
一塩基酸および一酸塩基の水素イオン濃度とpH
弱酸溶液のpHを計算することができる。
12週 弱酸・弱塩基の水溶液2 弱酸溶液のpHを計算することができる。
13週 共役酸塩基対と緩衝溶液 緩衝溶液のpHを計算することができる。
14週 混合溶液 種々の酸・塩基混合溶液のpHを計算することができる。
15週 混合溶液2 種々の酸・塩基混合溶液のpHを計算することができる。
16週 定期試験
後期
3rdQ
1週 元素について(1)
 ~元素の定義,物質の構成~
元素の定義、物質の構成(純物質,混合物,単体,化合物)について説明することができる。
2週 元素について(2)
 ~原子構造の解明と歴史的背景,原子の構成要素(原子核,電子,陽子,中性子),原子番号~
原子の構造解明の歴史的背景を説明することができる。原子の構成要素について図示して説明することができる。
3週 元素について(3)
 ~同位体,放射性同位体,放射線,放射性同位体元素の崩壊と半減期~
同位体,放射性同位体,放射線について説明できる。放射性元素の崩壊定数・半減期の算出ができる。
4週 元素について(4)
 ~原子量~
原子の質量から原子の質量欠損が算出できる。
5週 原子の電子構造(1)
 ~水素原子のスペクトル,ラザフォードの原子モデルの量子論的解釈~
電子軌道の不連続性,ラザフォードの原子モデルについて説明できる。
6週 原子の電子構造(2)
 ~ボーアの水素原子モデルとボーア半径,基底状態における水素原子の電子エネルギー~
ボーアの原子モデルについて説明でき,ボーア半径および基底状態における水素原子の電子エネルギーを算出することができる。
7週 原子の電子構造(3)
 ~Rydberg定数の解釈,4つの量子数および電子配置の表示法,Pauliの排他律~
ボーアの原子モデルからRydberg定数を解釈できる。4つの量子数について説明できる。
8週 原子の電子構造(4)
 ~電子軌道,Aufbauの原理,Hundの規則,Aufbauの原理の例外~
各種の電子軌道s軌道,p軌道,d軌道の形状を図を書いて説明できる。Aufbauの原理とHundの規則から電子配置を表示できる。また,例外としてAufbauの原理に基づかない電子配置をとる元素があり,その理由を説明できる。
4thQ
9週 原子の電子構造(5)
 ~有効核電荷および遮蔽定数の定義~
有効核電荷および遮蔽定数について説明できる。
10週 原子の電子構造(6)
 ~Slaterによる遮蔽定数の計算~
元素の周期性(1)
 ~電子配列の周期性と周期表~
Slaterの方法による遮蔽定数および有効核電荷を算出できる。
電子配列に基づいた元素の周期性を説明できる。
11週 元素の周期性(2)
 ~典型元素と遷移元素,イオン化エネルギーの定義と求め方~
典型元素と遷移元素の電子構造の違いを説明できる。イオン化エネルギーの定義を説明でき算出することができる。
12週 元素の周期性(3)
 ~電子親和力の定義~
化学結合(1)
 ~イオン結晶の定義~
電子親和力,イオン結合の定義を説明することができる。
13週 化学結合(2)
 ~イオン結晶の格子エネルギーの定義と求め方~
イオン結晶の格子エネルギーを算出できる。
14週 化学結合(3)
 ~Born-Harberサイクルを用いた電子親和力の求め方,イオン半径の定義~
Born-Haberサイクルを用いて電子親和力を算出できる。Paulingの仮定からイオン半径が算出できる。
15週 化学結合(4)
 ~共有結合の定義,Paulingによる電気陰性度の求め方~
共有結合および電気陰性度の定義を説明でき,Paulingによる電気陰性度を算出できる。
16週 定期試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4
細胞周期について説明できる。4
分化について説明できる。4
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力401050
専門的能力401050