分析化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 分析化学Ⅰ
科目番号 0016 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 創造工学科(応用化学・生物系共通科目) 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:井村久則・樋上照男編「基礎から学ぶ分析化学」化学同人,古崎毅・奥田弥生・川村靜夫共著「苫小牧工業高等専門学校物質工学科の学生のための無機化学」/ 参考図書:澁谷 他著「分析化学の学び方」三共出版,本水 他著「基礎教育シリーズ分析化学(基礎編)」東京教学社,H.Freiser,Q.Fernando著・藤永他訳「イオン平衡」化学同人,Allen J Bard著・松田ほか訳「溶液内イオン平衡ー理論と計算ー」化学同人,日本分析化学会北海道支部・東北支部共著「分析化学反応の基礎(改訂版)」培風館
担当教員 奥田 弥生

到達目標

1.多塩基酸溶液のpH計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。
2.対数濃度図を描いて溶液のpHを求めることができる。
3.難溶性塩溶液の溶解度積定数式を書くことができる。
4.溶解度積定数と溶解度の相互換算ができる。
5.共通イオンを含む場合の溶解度を計算できる。
6.分別沈殿の可能性を計算により調べることができる。
7.炭酸塩鉱物の溶解度とpHの関係を説明することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1より複雑な系で多塩基酸溶液のpH計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。多塩基酸溶液のpH計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。多塩基酸溶液のpH計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できない。
評価項目2より複雑な系で対数濃度図を描いて溶液のpHを求めることができる。対数濃度図を描いて溶液のpHを求めることができる。対数濃度図を描いて溶液のpHを求めることができない。
評価項目3複雑な難溶性塩溶液の溶解度積定数式を書くことができる。難溶性塩溶液の溶解度積定数式を書くことができる。難溶性塩溶液の溶解度積定数式を書くことができない。
評価項目4複雑な塩の溶解度積定数と溶解度の相互換算ができる。溶解度積定数と溶解度の相互換算ができる。溶解度積定数と溶解度の相互換算ができない。
評価項目5複雑な系において共通イオンを含む場合の溶解度を計算できる。共通イオンを含む場合の溶解度を計算できる。共通イオンを含む場合の溶解度を計算できない。
評価項目6複雑な系において分別沈殿の可能性を計算により調べることができる。分別沈殿の可能性を計算により調べることができる。分別沈殿の可能性を計算により調べることができない。
評価項目7炭酸塩鉱物の溶解度とpHの関係を詳細に説明することができる。炭酸塩鉱物の溶解度とpHの関係を説明することができる。炭酸塩鉱物の溶解度とpHの関係を説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

 Ⅰ 人間性  1 Ⅰ 人間性
 Ⅱ 実践性  2 Ⅱ 実践性
 Ⅲ 国際性  3 Ⅲ 国際性
 CP2 各系の工学的専門基盤知識,および実験・実習および演習・実技を通してその知識を社会実装に応用・実践できる力  5 CP2 各系の工学的専門基盤知識,および実験・実習および演習・実技を通してその知識を社会実装に応用・実践できる力
 CP4 他者を理解・尊重し,協働できるコミュニケーション能力と人間力  7 CP4 他者を理解・尊重し,協働できるコミュニケーション能力と人間力

教育方法等

概要:
重量分析,容量分析等,種々の分析法の基盤になっている酸塩基反応,沈殿生成反応について,平衡論の知識を教授しする。二塩基酸のpH計算,弱酸を含む溶液の対数濃度図の作図等を通して,比較的複雑な系について化学平衡論に基づく解析法を身につけさせる。沈殿平衡については基礎的な項目を学んだ後,酸塩基平衡との関連について学ぶ。
授業の進め方・方法:
・授業は資料を提示して説明する座学中心に進めるが,適宜演習を行って知識の定着を図る。
・教科書,ノート,筆記具および電卓を持参すること。A4判の方眼紙(1 mm)を用意すること。
注意点:
・化学Ⅰ・Ⅱおよび応用化学基礎で習得した基礎知識の理解が前提となるので,関連科目についてはよく復習しておくこと。
・実際に学習した知識を身につけるために,単に講義を聴くだけでなく自学自習により,繰り返し演習課題に取り組む(復習に力を入れる)こと。
・学習達成目標を達成できているかどうかを,適宜実施する小テスト,定期試験および課題により総合的に評価する。小テスト40%,定期試験40%,課題提出20%の割合。合格点は60点である。学業成績が60点に満たないものについては再試験を行うことがある。この場合,再試験の評点を定期試験の評点とする。再試験を受けた者の成績評価は60点を超えないものとする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
酸塩基平衡の基礎(復習)
酸塩基の定義を説明できる。
弱一塩基酸pHを計算で求められる。
2週 弱二塩基酸溶液の濃度計算法 弱二塩基酸溶液のpHを計算で求められる。
3週 分布図,対数濃度図
分率αの定義と計算
酸溶液中の化学種の分率が計算できる。
4週 弱酸のα vs.pH図と対数濃度図の作成と応用 弱酸や塩溶液のα vs.pH図,対数濃度図が描ける。対数濃度図から溶液のpHを求めることができる。
5週 弱酸のα vs.pH図と対数濃度図の作成(1) 多塩基酸のα vs.pH図,対数濃度図が描ける。
6週 弱酸のα vs.pH図と対数濃度図の作成(2) 多塩基酸のα vs.pH図,対数濃度図が描ける。
7週 溶解度と溶解度積(1) 難溶性塩溶液の溶解度積定数式を書くことができる。
8週 溶解度と溶解度積(2) 溶解度積定数と溶解度の相互換算ができる。
2ndQ
9週 共通イオン効果,中性塩効果 共通イオンを含む場合の溶解度を計算できる。
10週 溶解度の差による選択的沈殿 分別沈殿の可能性を計算により調べることができる。
11週 pH 制御による硫化物の選択的沈殿 分別沈殿の可能性を計算により調べることができる。
12週 溶解度に及ぼすpHの影響 溶解度に対する水素イオン濃度の影響を説明できる。
13週 炭酸カルシウムの溶解度とpHの関係 炭酸塩の溶解度を水素イオンの関数で表せる。
14週 炭酸カルシウムの溶解度曲線の作製 炭酸塩の溶解度曲線を描くことができる。炭酸塩の溶解度が炭酸イオンの分率の逆数に比例することを示すことができる。
15週 総合演習 酸塩基平衡,沈殿平衡に関する説明や計算ができる。
16週 定期試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。4
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。4
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。4
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4
物理化学平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4

評価割合

小テスト定期試験課題合計
総合評価割合404020100
基礎的能力20201555
専門的能力2020545
分野横断的能力0000