分析化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 分析化学Ⅲ
科目番号 0019 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 創造工学科(応用化学・生物系共通科目) 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 本水 他共著「基礎教育シリーズ 分析化学(基礎編)」(東京教学社)/H.Freiser,Q.Fernando 著,藤永太一郎,関戸栄一共訳「イオン平衡」(化学同人),Allen J.Bard 著,松田好晴,小倉興太郎共訳「溶液内イオン平衡」-理論と計算-(化学同人),日本分析化学会北海道支部・東北支部共編「分析化学反応の基礎」改訂版(培風館)
担当教員 奥田 弥生

到達目標

多塩基酸溶液pH 計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。
対数濃度図を描いてpHを求めることができる。
炭酸塩鉱物等の溶解度とpH との関係を説明することができる。
副反応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法を理解できる。
キレート抽出系での金属イオンの分離の可能性を計算で推定できる。以上の知識を理解し,実際の分析に応用できる能力を身につける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.多塩基酸溶液pH 計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。より複雑な系で多塩基酸溶液pH 計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。多塩基酸溶液pH 計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。多塩基酸溶液pH 計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できない。
2.対数濃度図を描いてpHを求めることができる。より複雑な系で対数濃度図を描いてpHを求めることができる。対数濃度図を描いてpHを求めることができる。対数濃度図を描いてpHを求めることができない。
3.炭酸塩鉱物等の溶解度とpH との関係を説明することができる。炭酸塩鉱物等の溶解度とpH との関係を詳細に説明することができる。炭酸塩鉱物等の溶解度とpH との関係を説明することができる。炭酸塩鉱物等の溶解度とpH との関係を説明することができない。
4.副反応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法を理解できる。副反応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法を理解できる。副反応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法の基本を理解できる。副反応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法を理解できない。
5.キレート抽出系での金属イオンの分離の可能性を計算で推定できる。より複雑なキレート抽出系での金属イオンの分離の可能性を計算で推定できる。キレート抽出系での金属イオンの分離の可能性を計算で推定できる。キレート抽出系での金属イオンの分離の可能性を計算で推定できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
二塩基酸溶液のpH 計算,弱酸や錯体を含む溶液の対数濃度図の作図等を通して,比較的複雑な系について,化学平衡論にもとづく解析法を身につけさせる。条件生成定数を用いて反応前後の物質量の変化を推算する方法を解説する。また錯形成反応の応用例としてキレート系溶媒抽出による分離について解説する。
授業の進め方・方法:
授業は教員による説明と演習,授業内容の理解度を確認する小テスト(複数回)で構成する。概ね教科書に沿って進行するので,シラバスを参考にして予習すること。電卓,定規,テンプレートおよびA4判グラフ用紙を用意すること。
成績は到達目標に関する小テスト40%,定期試験40%および課題20%で評価する。合格点は60点である。成績評価が60点に満たないものについては再試験を行うことがある。再試験の点数は小テストおよび定期試験による評価部分の差し替えのみに用いる。
注意点:
分析化学Ⅰ・Ⅱで習得した知識が基礎となる。必要に応じて分析化学Ⅰ・Ⅱのノートを読み返すとよい。授業で配布される演習課題や教科書の章末問題により予習・復習を行い自学自習に取り組むこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 酸・塩基平衡‐より複雑な系‐
種々の酸・塩基の定義と相互の関係
Lewis の定義により物質を酸・塩基等に分類できる。
2週 弱二塩基酸溶液の濃度計算法 弱二塩基酸溶液のpH を計算で求められる。
3週 分布図,対数濃度図
分率(α)の定義と計算
酸溶液中の化学種の分率が計算できプロトン均衡式を書ける。
4週 弱酸のαvs.pH と対数濃度図の作成と応用 酸や塩溶液のαvs.pH図,対数濃度図を描ける。対数濃度図から溶液のpH を求めることができる。
5週 多塩基酸のα vs.pH 図と対数濃度図の作成(1) 多塩基酸のα vs.pH図,対数濃度図を描ける。
6週 多塩基酸のα vs.pH 図と対数濃度図の作成(2) 多塩基酸のα vs.pH図,対数濃度図を描ける。
7週 沈殿平衡
溶解度に及ぼすpH の影響
溶解度に対する水素イオン濃度の影響を説明できる。
8週 炭酸カルシウムの溶解度とpH の関係 炭酸塩の溶解度を水素イオン濃度の関数で表せる。
2ndQ
9週 炭酸カルシウムの溶解度曲線の作成 炭酸塩の溶解度曲線を描くことができる。炭酸塩の溶解度が炭酸イオンの分率の逆数に比例することを示すことができる。
10週 錯形成平衡
錯形成平衡における分布図の作成
錯形成平衡の分布図を描ける。
11週 条件生成定数と副反応係数 熱力学的生成定数と条件生成定数の違いを説明できる。
副反応係数を定義し,関係する諸定数で表すことができる。
12週 EDTA の副反応係数vs.pH 図の作成 副反応係数vs.pH 図を作成できる。また副反応係数を用いて反応の進行の程度を予測できる。
13週 分配平衡
分配則,分配定数,分配比
分配則を理解し分配定数,分配比の定義が分かる。
ある系について分配定数,分配比を書き表すことができる。
14週 キレート系溶媒抽出 キレート系溶媒抽出の平衡定数(抽出定数)を分配定数,生成定数,酸解離定数で表すことができる。
抽出定数の値から実用的な分離が可能となる抽出回数を求めることができる。抽出定数の値から実用的な分離が可能となる抽出回数を求めることができる。
15週 抽出曲線の作成
抽出挙動の解析
分配比と抽出率の関係が分かる。
分離係数と分配比の関係を表せる。
抽出定数から複数成分の分離の可能性を推定できる。
16週 定期試験

評価割合

定期試験小テスト課題合計
総合評価割合404020100
基礎的能力404020100
専門的能力0000
分野横断的能力0000