応用化学・生物実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 応用化学・生物実験Ⅱ
科目番号 0025 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 6
開設学科 創造工学科(応用化学・生物系共通科目) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:6 後期:6
教科書/教材 教科書:自作テキスト,化学同人編集部編「続実験を安全に行うために」化学同人,泉美治他監修「化学のレポートと論文の書き方」化学同人,津波古充朝他著「わかりやすい化学実験―基礎操作とチェックポイント」廣川書店  参考図書:バード著,松田好晴・小倉興太郎共訳「溶液内イオン平衡―理論と計算―」化学同人,後藤廉平著「物理化学実験法」共立出版
担当教員 甲野 裕之

到達目標

1.C-C結合形成反応であるマロン酸エステル合成法を通じて,有機・無機試薬の特性に応じた使用法,反応装置の組み立てができ,安全に実験を遂行できる。
2.有機合成実験で一般的な分析法であるガスクロマトグラフィー法で化合物の定性分析と定量分析ができる。
3.基本的実験操作である蒸留,再結晶,融点測定,沸点測定,減圧ろ過などの操作ができる。
4.文章や図表を用いて実験で得たデータを適切にまとめ報告できる。
5.KBr-KCl系の固溶体を作製し,そのX線回折図形より格子定数を算出できる。
6.熱電対の原理を理解し熱電対を用いて測温できる。
7.材料の真密度・嵩密度・見掛け密度を求めることができる。
8.電位差滴定より中和反応の滴定曲線を作成できる。
9.吸光光度法によりBTBの酸解離定数を算出できる。
10.溶解度や溶解熱等の物性値を実測し計算できる。
11.電導度や単極電位等の物性値を実測し計算できる。
12.蒸気圧と温度の関係を実測し計算できる。
13.化学反応速度等を実測し計算できる。
14.糖質,アミノ酸およびタンパク質の定性試験および定量法の原理を理解・説明し実験ができる。
15.酵素反応における至適温度および至適pHを理解・説明し、その測定ができる。
16.脂質の分子構造およびケン化反応について理解・説明し、セッケンの合成ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1C-C結合形成反応であるマロン酸エステル合成法を通じて,有機・無機試薬の特性に応じた使用法,反応装置の組み立てができ,安全に実験を遂行できる。 助言を得ながらC-C結合形成反応であるマロン酸エステル合成法を通じて,有機・無機試薬の特性に応じた使用法,反応装置の組み立てができ,安全に実験を遂行できる。 助言を得てもC-C結合形成反応であるマロン酸エステル合成法を通じて,有機・無機試薬の特性に応じた使用法,反応装置の組み立てができず,安全に実験を遂行できない。
評価項目2有機合成実験で一般的な分析法であるガスクロマトグラフィー法で化合物の定性分析と定量分析ができる。 助言を得ながら有機合成実験で一般的な分析法であるガスクロマトグラフィー法で化合物の定性分析と定量分析ができる。 助言を得ても有機合成実験で一般的な分析法であるガスクロマトグラフィー法で化合物の定性分析と定量分析ができない。
評価項目3基本的実験操作である蒸留,再結晶,融点測定,沸点測定,減圧ろ過などの操作ができる。 助言を得ながら基本的実験操作である蒸留,再結晶,融点測定,沸点測定,減圧ろ過などの操作ができる。 助言を得ても基本的実験操作である蒸留,再結晶,融点測定,沸点測定,減圧ろ過などの操作ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 化学の基本的分野である有機化学・無機化学・物理化学・生化学の各分野において実験を遂行する上で必要不可欠な実験操作を修得する。また各分野でよく用いられる機器類を使用しての分析・解析の基礎も修得する。
 実験はいくつかの班に分けて各テーマをローテーションで行うことがある。
授業の進め方・方法:
 各分野の実験内容に付いて説明を行った後、グループ毎に各テーマの実験を行う。実験終了後,期限までに実験レポートの提出を求められる。
 実験姿勢及び実験操作方法の修得度は実験中に各担当教員が,実験の理論と得られた結果の解
釈は提出されるレポートの内容からそれぞれ100点法にて採点評価する。成績評価はレポート評価(ノート評価を含む場合がある)70%,実技評価30%として行う。合格点は60点である。ただし,正当な理由なくレポートが提出されない場合には成績評価を60点未満とする。
注意点:
 安全に実験を行うために白衣・保護眼鏡等を必ず着用すること。決められた実験テーマ毎にレポートを作成し提出する。実験の遂行およびレポートの作成に当たっては,有機化学,無機化学,物理化学および生化学の知識が不可欠である。ノート提出を課す実験分野があることから,実験ノートは分野毎に用意すること。
実験ノート,電卓・グラフ用紙など実験結果の記録に必要な用具を準備する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物理化学実験(1)
物理化学実験の内容と注意事項の説明
(到達目標10~13をふまえた実験内容等の説明)
2週 物理化学実験(2)
溶解度と溶解熱1
溶解度や溶解熱等の物性値を実測し計算できる。
3週 物理化学実験(3)
溶解度と溶解熱2
同上
4週 物理化学実験(4)
電導度
電導度や単極電位等の物性値を実測し計算できる。
5週 物理化学実験(5)
単極電位
同上
6週 物理化学実験(6)
蒸気圧
蒸気圧と温度の関係を実測し計算できる。
7週 物理化学実験(7)
反応速度
化学反応速度等を実測し計算できる。
8週 無機化学実験(1)
無機化学実験の内容と注意事項の説明
(到達目標5~9をふまえた実験内容等の説明)
2ndQ
9週 無機化学実験(2)
KBr-KCl系固溶体の作製とその格子定数の測定1
KBr-KCl系の固溶体を作製し,そのX線回折図形より格子定数を算出できる。
10週 無機化学実験(3)
KBr-KCl系固溶体の作製とその格子定数の測定2
同上
11週 無機化学実験(4)
熱電対の補正及びPb-Sn系合金の状態図の作成1
熱電対の原理を理解し熱電対を用いて測温できる。
12週 無機化学実験(5)
熱電対の補正及びPb-Sn系合金の状態図の作成2
同上
13週 無機化学実験(6)
密度の測定
材料の真密度・嵩密度・見掛け密度を求めることができる。
14週 無機化学実験(7)
電位差滴定
電位差滴定より中和反応の滴定曲線を作成できる。
15週 無機化学実験(8)
BTBの酸解離定数の測定
吸光光度法によりBTBの酸解離定数を算出できる。
16週
後期
3rdQ
1週 有機化学実験(1)
有機化学実験の内容と注意事項の説明
(到達目標1~4をふまえた実験内容等の説明)
2週 有機化学実験(2)
マロン酸エステル合成法による吉草酸の合成
1.C-C結合形成反応であるマロン酸エステル合成法を通じて,有機・無機試薬の特性に応じた使用法,反応装置の組み立てができ,安全に実験を遂行できる。 2.有機合成実験で一般的な分析法であるガスクロマトグラフィー法で化合物の定性分析と定量分析ができる。 3.基本的実験操作である蒸留,再結晶,融点測定,沸点測定,減圧ろ過などの操作が出来る。 4.文章や図表を用いて実験で得たデータを適切にまとめ報告できる。
3週 有機化学実験(3)
臭化プロピルの合成とその精製
同上
4週 有機化学実験(4)
プロピルマロン酸エチルエステルの合成とその同定
同上
5週 有機化学実験(5)
プロピルマロン酸の合成
同上
6週 有機化学実験(6)
プロピルマロン酸の脱炭酸による吉草酸の合成
同上
7週 有機化学実験(7)
吉草酸の同定
同上
8週 生化学実験(1)
生化学実験の内容と注意事項の説明
(到達目標14~16をふまえた実験内容等の説明)
4thQ
9週 生化学実験(2)
還元糖の定性試験
糖質,アミノ酸およびタンパク質の定性試験および定量法の原理を理解・説明し実験ができる。
10週 生化学実験(3)
比色法による還元糖の定量
同上
11週 生化学実験(4)
アミノ酸の定性試験,TLC法によるアミノ酸の分析
同上
12週 生化学実験(5)
TLC法による還元糖の分析
同上
13週 生化学実験(6)
タンパク質の定量
同上
14週 生化学実験(7)
唾液アミラーゼによる酵素反応
酵素反応における至適温度および至適pHを理解・説明し、その測定ができる。
15週 生化学実験(8)
脂肪のケン化
脂質の分子構造およびケン化反応について理解・説明し、セッケンの合成ができる。
16週

評価割合

レポート実技合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100
専門的能力000
分野横断的能力000