1.C-C結合形成反応であるマロン酸エステル合成法を通じて,有機・無機試薬の特性に応じた使用法,反応装置の組み立てができ,安全に実験を遂行できる。
2.有機合成実験で一般的な分析法であるガスクロマトグラフィー法で化合物の定性分析と定量分析ができる。
3.基本的実験操作である蒸留,再結晶,融点測定,沸点測定,減圧ろ過などの操作ができる。
4.文章や図表を用いて実験で得たデータを適切にまとめ報告できる。
5.KBr-KCl系の固溶体を作製し,そのX線回折図形より格子定数を算出できる。
6.熱電対の原理を理解し熱電対を用いて測温できる。
7.材料の真密度・嵩密度・見掛け密度を求めることができる。
8.電位差滴定より中和反応の滴定曲線を作成できる。
9.吸光光度法によりBTBの酸解離定数を算出できる。
10.溶解度や溶解熱等の物性値を実測し計算できる。
11.電導度や単極電位等の物性値を実測し計算できる。
12.蒸気圧と温度の関係を実測し計算できる。
13.化学反応速度等を実測し計算できる。
14.糖質,アミノ酸およびタンパク質の定性試験および定量法の原理を理解・説明し実験ができる。
15.酵素反応における至適温度および至適pHを理解・説明し、その測定ができる。
16.脂質の分子構造およびケン化反応について理解・説明し、セッケンの合成ができる。
概要:
化学の基本的分野である有機化学・無機化学・物理化学・生化学の各分野において実験を遂行する上で必要不可欠な実験操作を修得する。また各分野でよく用いられる機器類を使用しての分析・解析の基礎も修得する。
実験はいくつかの班に分けて各テーマをローテーションで行うことがある。
授業の進め方・方法:
各分野の実験内容に付いて説明を行った後、グループ毎に各テーマの実験を行う。実験終了後,期限までに実験レポートの提出を求められる。
実験姿勢及び実験操作方法の修得度は実験中に各担当教員が,実験の理論と得られた結果の解
釈は提出されるレポートの内容からそれぞれ100点法にて採点評価する。成績評価はレポート評価(ノート評価を含む場合がある)70%,実技評価30%として行う。合格点は60点である。ただし,正当な理由なくレポートが提出されない場合には成績評価を60点未満とする。
注意点:
安全に実験を行うために白衣・保護眼鏡等を必ず着用すること。決められた実験テーマ毎にレポートを作成し提出する。実験の遂行およびレポートの作成に当たっては,有機化学,無機化学,物理化学および生化学の知識が不可欠である。ノート提出を課す実験分野があることから,実験ノートは分野毎に用意すること。
実験ノート,電卓・グラフ用紙など実験結果の記録に必要な用具を準備する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
物理化学実験(1) 物理化学実験の内容と注意事項の説明 |
(到達目標10~13をふまえた実験内容等の説明)
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2週 |
物理化学実験(2) 溶解度と溶解熱1 |
溶解度や溶解熱等の物性値を実測し計算できる。
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3週 |
物理化学実験(3) 溶解度と溶解熱2 |
同上
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4週 |
物理化学実験(4) 電導度 |
電導度や単極電位等の物性値を実測し計算できる。
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5週 |
物理化学実験(5) 単極電位 |
同上
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6週 |
物理化学実験(6) 蒸気圧 |
蒸気圧と温度の関係を実測し計算できる。
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7週 |
物理化学実験(7) 反応速度 |
化学反応速度等を実測し計算できる。
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8週 |
無機化学実験(1) 無機化学実験の内容と注意事項の説明 |
(到達目標5~9をふまえた実験内容等の説明)
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2ndQ |
9週 |
無機化学実験(2) KBr-KCl系固溶体の作製とその格子定数の測定1 |
KBr-KCl系の固溶体を作製し,そのX線回折図形より格子定数を算出できる。
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10週 |
無機化学実験(3) KBr-KCl系固溶体の作製とその格子定数の測定2 |
同上
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11週 |
無機化学実験(4) 熱電対の補正及びPb-Sn系合金の状態図の作成1 |
熱電対の原理を理解し熱電対を用いて測温できる。
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12週 |
無機化学実験(5) 熱電対の補正及びPb-Sn系合金の状態図の作成2 |
同上
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13週 |
無機化学実験(6) 密度の測定 |
材料の真密度・嵩密度・見掛け密度を求めることができる。
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14週 |
無機化学実験(7) 電位差滴定 |
電位差滴定より中和反応の滴定曲線を作成できる。
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15週 |
無機化学実験(8) BTBの酸解離定数の測定 |
吸光光度法によりBTBの酸解離定数を算出できる。
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
有機化学実験(1) 有機化学実験の内容と注意事項の説明 |
(到達目標1~4をふまえた実験内容等の説明)
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2週 |
有機化学実験(2) マロン酸エステル合成法による吉草酸の合成 |
1.C-C結合形成反応であるマロン酸エステル合成法を通じて,有機・無機試薬の特性に応じた使用法,反応装置の組み立てができ,安全に実験を遂行できる。 2.有機合成実験で一般的な分析法であるガスクロマトグラフィー法で化合物の定性分析と定量分析ができる。 3.基本的実験操作である蒸留,再結晶,融点測定,沸点測定,減圧ろ過などの操作が出来る。 4.文章や図表を用いて実験で得たデータを適切にまとめ報告できる。
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3週 |
有機化学実験(3) 臭化プロピルの合成とその精製 |
同上
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4週 |
有機化学実験(4) プロピルマロン酸エチルエステルの合成とその同定 |
同上
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5週 |
有機化学実験(5) プロピルマロン酸の合成
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同上
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6週 |
有機化学実験(6) プロピルマロン酸の脱炭酸による吉草酸の合成
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同上
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7週 |
有機化学実験(7) 吉草酸の同定 |
同上
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8週 |
生化学実験(1) 生化学実験の内容と注意事項の説明 |
(到達目標14~16をふまえた実験内容等の説明)
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4thQ |
9週 |
生化学実験(2) 還元糖の定性試験 |
糖質,アミノ酸およびタンパク質の定性試験および定量法の原理を理解・説明し実験ができる。
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10週 |
生化学実験(3) 比色法による還元糖の定量 |
同上
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11週 |
生化学実験(4) アミノ酸の定性試験,TLC法によるアミノ酸の分析 |
同上
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12週 |
生化学実験(5) TLC法による還元糖の分析 |
同上
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13週 |
生化学実験(6) タンパク質の定量 |
同上
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14週 |
生化学実験(7) 唾液アミラーゼによる酵素反応 |
酵素反応における至適温度および至適pHを理解・説明し、その測定ができる。
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15週 |
生化学実験(8) 脂肪のケン化 |
脂質の分子構造およびケン化反応について理解・説明し、セッケンの合成ができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | 前1,前8,後1,後8 |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | 前1,前8,後1,後8 |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | 前1,前8,後1,後8 |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | 前7,前15,後7,後15 |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | 前7,前15,後7,後15 |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | 前7,前15,後7,後15 |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | 前7,前15,後7,後15 |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | 前7,前15,後7,後15 |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | 前7,前15,後7,後15 |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | 前7,前15,後7,後15 |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | 前7,前15,後7,後15 |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 有機化学実験 | 加熱還流による反応ができる。 | 4 | 後2,後3,後4,後5,後6,後7 |
蒸留による精製ができる。 | 4 | 後2,後3,後4,後5,後6,後7 |
吸引ろ過ができる。 | 4 | 後2,後3,後4,後5,後6,後7 |
再結晶による精製ができる。 | 4 | |
分液漏斗による抽出ができる。 | 4 | 前15,後2,後3,後4,後5,後6,後7 |
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。 | 4 | 前15,後5 |
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。 | 4 | 後2,後3,後4,後5,後6,後7 |
収率の計算ができる。 | 4 | 後2,後3,後4,後5,後6,後7 |
分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 | 4 | 前14 |
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。 | 4 | 前9,前10,前15,後4,後5,後6,後7 |
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。 | 4 | |
物理化学実験 | 各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。 | 4 | 前13 |
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。 | 4 | 前2,前3,後7 |
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。 | 4 | |
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。 | 4 | 前3,前6 |
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。 | 4 | 前4,前5 |
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。 | 4 | 前7 |
生物工学実験 | 光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。 | 4 | |
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。 | 4 | |
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。 | 4 | 後11,後12 |
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。 | 4 | 後10,後13,後14 |
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。 | 4 | 後11,後12 |
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。 | 4 | 後14 |