応用物理

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 応用物理
科目番号 116914 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 3
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:4 後期:2
教科書/教材 小暮陽三編、「高専の応用物理」森北出版、「応用物理実験書」(自作)
担当教員 長澤 智明,柿並 義宏

到達目標

1. ニュートンの運動方程式を微分方程式として理解して、物体の運動を求めることができる。
2. 剛体の運動に関する問題を解くことができる。
3. 熱・圧力・内部エネルギーについて説明できる。
4. 熱機関を用いて、熱・仕事・エントロピーを説明でき、計算ができる。
5. 電場・磁場に関する基本的な用語について説明できる。
6. 電場・磁場の計算ができ、荷電粒子の運動を説明できる。
7. 実験と理論とを結びつけて理解でき、実験結果を考察しレポートとしてまとめることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1. ニュートンの運動方程式を微分方程式として理解して、物体の運動を求めることができる。ニュートンの運動方程式を微分方程式として理解して、物体の運動を求めることができる。いくつかの場合について、ニュートンの運動方程式を解いて、物体の運動を求めることができる。ニュートンの運動方程式を解いて、物体の運動を求めることができない。
2. 剛体の運動に関する問題を解くことができる。剛体の運動に関する問題を解くことができる。剛体の運動に関する基本的な問題を解くことができる。剛体の運動に関する基本的な問題を解くことができない。
3. 熱・圧力・内部エネルギーについて説明できる。熱・圧力・内部エネルギーについて説明できる。熱・圧力・内部エネルギーについてある程度説明できる。熱・圧力・内部エネルギーについて説明できない。
4. 熱機関を用いて、熱・仕事・エントロピーを説明でき、計算ができる。 熱機関を用いて、熱・仕事・エントロピーを説明でき、計算ができる。 熱機関を用いて、熱・仕事・エントロピーをある程度説明でき、基本的な計算ができる。 熱機関を用いて、熱・仕事・エントロピーを説明できず、計算ができない。
5. 電場・磁場に関する基本的な用語について説明できる。 電場・磁場に関する基本的な用語について説明できる。 電場・磁場に関する基本的な用語についてある程度説明できる。 電場・磁場に関する基本的な用語について説明できない。
6. 電場・磁場の計算ができ、荷電粒子の運動を説明できる。 電場・磁場の計算ができ、荷電粒子に働く力を計算できる。 基本的な電場・磁場の計算および荷電粒子に働く力の計算ができる。 電場・磁場の計算ができず、荷電粒子に働く力を計算できない。
7. 実験と理論とを結びつけて理解でき、実験結果を考察しレポートとしてまとめることができる。 実験と理論とを結びつけて理解でき、実験結果を考察しレポートとしてまとめることができる。 実験結果をまとめレポートとしてまとめることができる。 実験結果をまとめレポートとしてまとめることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
科学技術の進歩に対応できる基礎能力を養う。前期では各週座学2時間、実験2時間の計4時間とする。座学では力学を学習する。実験では5つのテーマについて実験を行い、レポートを書いてまとめる力をつけることを目標とする。後期では熱力学と電磁気学を学習する。
授業の進め方・方法:
力学では運動の法則といくつかの保存則(エネルギー、運動量、角運動量),剛体の回転運動の扱い方について学習する。熱力学の分野では準静的変化を扱う際の考え方と、エントロピーについて学習する。電磁気学の分野では、ガウスの法則・アンペールの法則などがマクスウェルの方程式に一般化される構成を学習する。実験では自然現象を物理的側面から考察し理解する能力を養成し,実験誤差の処理および測定機器の操作に習熟する。実験は10班に分かれて応用物理実験室で行う。なお、各班の具体的な実験種目に関するスケジュールは応用物理実験室に掲示する。
注意点:
3学年までに学習した物理や数学(ベクトル,微分積分など)の基礎知識を前提とする。授業中に配布される演習課題に対して,自学自習により取り組むこと。レポート提出については授業中に指示する。目標が達成されていないと判断される場合は,再提出を求める。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 (実験)実験ガイダンス
(力学)速度と加速度
(実験)実験で使用する機器や測定等に関する基礎的事項を理解する。
(力学)ベクトル量としての位置、速度、加速度を理解し、それらベクトル量の合成と分解ができる。
2週 (実験)実験1:液体の密度
(力学)運動方程式1
(実験)各種濃度の溶液試料について求めた密度から、濃度と密度の関係を表す実験式を求めることができる。
(力学)力が一定の場合、力が時間にの依存する場合の物体の運動に関する問題を解くことができる。
3週 (実験)実験1:液体の密度
(力学)運動方程式2
(実験)各種濃度の溶液試料について求めた密度から、濃度と密度の関係を表す実験式を求めることができる。
(力学)力が速度の依存する場合の物体の運動に関する問題を解くことができる。
4週 (実験)実験2:光の干渉と回折
(力学)運動方程式3
(実験)光の波動性について実験を通して理解する。
(力学)力が座標に依存する場合の物体の運動に関する問題を解くことができる。
5週 (実験)実験2:光の干渉と回折
(力学)放物運動、円運動
(実験)光の波動性について実験を通して理解する。
(力学)放物運動と円運動に関する問題を解くことができる。
6週 (実験)実験3:気体温度計
(力学)単振動、単振り子
(実験)シャルルの法則に基づき、気体の温度と体積から未知の水温が計測できることを確認する。
(力学)単振動、単振り子に関する問題を解くことができる。
7週 (実験)実験3:気体温度計
(力学)仕事とエネルギー
(実験)シャルルの法則に基づき、気体の温度と体積から未知の水温が計測できることを確認する。
(力学)仕事とエネルギーの関係を理解する。
8週 (実験)実験4:フランクヘルツの実験
(力学)力学的エネルギー保存則
(実験)フランクヘルツの実験から、原子の定常状態について理解する。
(力学)力学的エネルギー保存を理解し、応用できる。
2ndQ
9週 (実験)実験4:フランクヘルツの実験
(力学)力のモーメントと角運動量
(実験)フランクヘルツの実験から、原子の定常状態について理解する。
(力学)回転運動に関わる力のモーメントと角運動量を理解する。
10週 (実験)実験5:放射線の測定
(力学)角運動量保存則
(実験)放射線の測定を通して放射線の理解を深める。
(力学)角運動量保存則に関する問題を解くことができる。
11週 (実験)実験5:放射線の測定
(力学)固定軸の周りの剛体の回転運動
(実験)放射線の測定を通して放射線の理解を深める。
(力学)固定軸の周りの剛体の回転運動を記述する基礎方程式を理解する。
12週 (実験)レポート指導、追実験
成果発表および追実験
(力学)回転運動1
(実験)レポートの体裁および内容について指導を受け、必要であれば追実験を行う。
(力学)回転の運動方程式に関する問題を解くことができる。
13週 (力学)回転運動2 (力学)回転に関する問題を解くことができる。
14週 (力学)剛体の平面運動1 (力学)剛体の平面運動に関する簡単な問題を解くことができる。
15週 (力学)剛体の平面運動2 (力学)剛体の平面運動に関する問題を解くことができる。
16週 前期定期試験
後期
3rdQ
1週 熱平衡状態と温度 温度・圧力・体積を説明できる。
2週 気体の状態と分子運動 気体の分子運動から内部エネルギーの定義を説明できる。
3週 熱と仕事とエネルギー 熱力学の第一法則を説明できる。
4週 熱機関 準静的過程において系がした仕事,吸収した熱量を計算できる。
5週 エントロピー エントロピー増大の法則を説明できる。
6週 クーロンの法則と電場 電場の概念を説明でき,電気力線が描け,荷電粒子に働く力を計算できる。
7週 ガウスの法則 ガウスの法則を用いて電場を計算できる。
8週 電位 典型例について、電気力線と等電位面を描ける。
4thQ
9週 コンデンサの静電容量と電場のエネルギー 平板コンデンサの静電容量の式を導出でき,電場のエネルギーを計算できる。
10週 ローレンツ力と電流が磁場から受ける力 磁場中を運動する荷電粒子の運動を説明でき,電流が磁場から受ける力を計算できる。
11週 電流のつくる磁場 直線電流、円電流がつくる磁場を理解し、計算できる。
12週 アンペールの法則 アンペールの法則を書けて、内容を説明できる。
13週 電磁誘導 発電の原理を説明できる。
14週 相互誘導と自己誘導 コイルに働く起電力を説明できる。
15週 マクスウェルの方程式 マクスウェルの方程式を書けて、内容を説明できる。
16週 後期定期試験

評価割合

試験小テスト・課題実験レポート合計
総合評価割合602020100
基礎的能力40101060
専門的能力20101040
分野横断的能力0000