化学熱力学

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 化学熱力学
科目番号 116916 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 教科書 福地賢治 他著「物理化学」実教出版 / 参考図書 W.J.Moore著,細矢 治夫 他訳「ムーア基礎物理化学」東京化学同人 D.W.Ball 著,阿竹 徹 監訳「ボール物理化学」東京化学同人 D.A.McQuarrie,J.D.Simon 著,千原 秀昭 他訳「物理化学―分子論的アプローチ」東京化学同人 P.W.Atkins著,千原 秀明 他訳「アトキンス物理化学」東京化学同人 大竹 伝雄 他著「演習化学工学熱力学」丸善株式会社 杉原 剛介 他著「化学熱力学中心の基礎物理化学」学術図書出版社 D.A.McQuarrie,J.D.Simon,Physical Chemistry: A Molecular Approach,Univ Science Books,(1997) D.A.McQuarrie,J.D.Simon,Physical Chemistry: A Molecular Approach,Univ Science Books,(1997)
担当教員 樫村 奈生

到達目標

工学において重要な物質の振る舞いを決めるエネルギーの保存の法則とエントロピー増大の法則を基礎とした化学熱力学を修得することを目標とする。特に以下の事柄を理解,修得する。
1) 気体分子運動論
2) 実在気体の状態方程式
3) 臨界現象
4) 対応状態の原理
5) 熱力学の第1,第2および第3法則
6) 内部エネルギー,エンタルピー,エントロピー,自由エネルギー,化学ポテンシャルなどの各熱力学関数の定義,算出方法
7) 標準反応エンタルピー,標準反応ギブズエネルギーの算出
8) 相律における自由度の算出
9) 1成分系および2成分系の蒸気圧と沸点,凝固点の算出方法
10) 理想溶液および理想希薄溶液,活量の定義とこれらを用いた蒸気圧の算出と状態図の作図方法
11) 束一的性質の定義,束一的性質を用いた分子量の算出方法
12) 化学平衡における化学組成,平衡定数の算出方法

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1気体分子運動論から,気体分子の速度と温度の関係を導出し,数式で説明できる。気体分子の速度と温度の関係を数式で説明できる。気体分子の速度と温度の関係を数式で表すことができない。
到達目標2実在気体と理想気体の違いから,van der Waalsの状態方程式を説明できる。実在気体と理想気体の違いを説明できる。実在気体と理想気体の違いを説明できる。
到達目標3臨界点付近の圧力-体積の関係を書いて,気体の臨界現象を説明できる。臨界点付近の圧力-体積の関係を図示されていると,気体の臨界現象について説明できる。臨界点付近の圧力-体積の関係が図示されても,気体の臨界現象について説明できない。
到達目標4臨界条件と対応状態原理を説明し,実在気体の密度をZ線図から推算できる。対応状態原理を説明し,実在気体の体積をZ線図から推算できる。対応状態原理を説明し,実在気体の体積をZ線図から推算できない。
到達目標5種々の物理現象を,熱力学の第一,第二,第三法則の観点から議論できる。熱力学の第一,第二,第三法則を説明できる。熱力学の第一,第二,第三法則を説明できない。
到達目標6複雑な過程における理想気体などの種々の熱力学関数を算出できる。単純な過程における理想気体の熱力学関数を算出できる。単純な過程における理想気体の熱力学関数を算出できない。
到達目標7複雑な反応の標準反応エンタルピー,標準反応ギブズエネルギーを算出しできる。簡単な反応の標準反応エンタルピー,標準反応ギブズエネルギーを算出できる。 簡単な反応の標準反応エンタルピー,標準反応ギブズエネルギーを算出できない。
到達目標8 相平衡の条件から相律を導出し,自由度を算出できる。 相律から自由度を算出できる。 相律から自由度を算出できない。
到達目標9 蒸気圧,沸点を算出し,1成分系の状態図を作図できる。 蒸気圧,沸点を算出できる。 蒸気圧,沸点を算出できない。
到達目標10 理想溶液,理想希薄溶液,活量を説明し,蒸気圧を算出し,2成分系の状態図を作図できる。 理想溶液,理想希薄溶液,活量を説明し,蒸気圧を算出できる。 理想溶液,理想希薄溶液,活量を説明し,蒸気圧を算出できない。
到達目標11 平衡条件から束一的性質を導出し,例を挙げて束一的性質を説明し,溶質の分子量を推算できる。 例を挙げて束一的性質を説明し,溶質の分子量を推算できる。 例を挙げて束一的性質を説明し,溶質の分子量を推算できない。
到達目標12 化学平衡時における組成,平衡定数を推算し,圧力・温度生変化による平衡の組成の変化とルシャトリエの原理との関係を説明できる。 化学平衡時における組成,平衡定数を推算できる。 化学平衡時における組成,平衡定数を推算できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
この講義は化学熱力学に関する知識を教授する。エンジン内での燃焼は化学エネルギーの仕事への変換であるが,熱力学はエネルギー変換を定量的に扱う学問である。
授業の進め方・方法:
理想気体の気体分子運動論,実在気体の方程式と臨界現象,熱力学の第1・第2・第3法則の概念,それを用いた熱力学諸量の算出方法を教授する。また,熱力学の化学への応用として,相平衡と束一的性質,化学平衡について教授する。Webで講義用資料,演習問題およびその解答を公開する。授業前は資料をノートに写すこと。授業には,事前に予習したノート,電卓を用意すること。授業直後に回想カードを記入して提出すること。授業後は演習問題をノートに写して,解き自己採点すること。講義と演習のノートは所定の期日に提出すること。
注意点:
2,3年の物理化学で学習した内容を前提とする。特に理想気体の状態方程式,ドルトンの分圧の法則,状態図の読み方は重要である。また,微分・積分を扱うので,不得手な学生は微分・積分の定義を読み返し,簡単な微分・積分の演習問題を解くこと。評価が60点に満たなかった学生を対象に再試験を実施することがあるが,所定の期日までに手書きの講義ノートと演習および回想カードが提出しなかった学生はその対象とはならない。この科目を履修するにあたり,15時間の自学自習時間を要する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
3章 理想気体
・理想気体の性質
・気体分子運動論
理想気体の諸法則を理解して,圧力,温度,体積を算出できる。
2週 ・気体分子運動論
・分子速度の分布
気体分子運動論から,圧力を定義し,温度と分子運動の関係を説明できる。
気体分子のエネルギーおよび速度分布を説明できる。
3週 4章 実在気体
・実在気体からの偏倚
・状態方程式
・対応状態の原理
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。
臨界現象と対応状態を説明できる。
4週 5章 熱力学第一法則
・過程
等温過程の仕事を計算できる。
5週 ・熱力学第一法則 第一法則の定義と適用方法を説明できる。
種々の過程の仕事,熱,内部エネルギー,エンタルピーを計算できる。
6週 ・熱化学 標準生成エンタルピーおよび反応のエンタルピーを用いて,別な反応のエンタルピーを計算できる。
異なる温度の反応エンタルピーから反応エンタルピーを計算できる。
7週 中間試験
8週 6章 熱力学第二法則
・熱力学第二法則
カルノーサイクルを説明し,その計算ができる。
熱力学の第二法則の定義と適用方法を説明できる。
エントロピーを計算できる。
2ndQ
9週 ・熱力学第三法則
・自由エネルギーと変化の方向
熱力学の第三法則を説明できる。
ギブスエネルギーの定義,特性を説明し,計算ができる。
10週 ・熱力学の関係式
・化学ポテンシャル
マクスウェルの関係式から熱力学関数の関係式を導出できる。
化学ポテンシャルの定義を説明できる。
11週 7章 相平衡と溶液
・相転移と相律
・純物質の相平衡
相の平衡条件を説明できる。
相律から自由度を計算できる。
純物質の状態図を理解できる。
蒸気圧および沸点を計算できる。
12週 ・2成分系の気相-液相平衡条件と溶液の性質 理想溶液と理想希薄溶液の定義を説明し,蒸気圧を算出できる。
13週 ・2成分系の気相-液相平衡条件と溶液の性質
・2成分系の気相-液相状態図
活量の定義を説明し,蒸気圧を算出できる。
理想溶液の2成分系の状態図を理解できる。
14週 ・束一的性質 例を挙げて束一的性質を説明できる。
束一的性質から溶質の分子量を計算できる。
15週 8章 化学平衡
・化学平衡
・平衡組成の計算
・化学平衡への諸条件の影響
・不均一反応
化学平衡時における組成を推算できる。
異なる温度の化学平衡定数を計算できる。
16週 定期試験

評価割合

中間試験定期試験課題合計
総合評価割合354520100
基礎的能力0000
専門的能力354520100