環境化学

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 環境化学
科目番号 117075 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 なし/安原,小田共著「地球の環境と化学物質」,日本分析化学会北海道支部編「演習で学ぶ環境」,及川編著,北野,久保田,川田共著「環境と生命」,野中,村石共著「人と環境」以上,三共出版,B.メイスン著,松井義人,一国雅巳共訳「一般地球化学」岩波書店,半谷,小倉共著「水質調査法」第3 版,丸善,「苫小牧工業高等専門学校物質工学科の学生のための無機化学」,Stanley E. Manaham, “Environmental Chemistry”, Lewis Publishers, 1990,Lawrence H. Keith, “Environmental Sampling and Analysis”, Lewis Publishers, 1991,
担当教員 奥田 弥生

到達目標

・環境の変化と物質の移動には密接な関係があることを理解できる。
・物質移動の傾向を化学平衡論により予測する方法を理解し,計算できる能力を身につける。
・地球的規模での炭酸塩の循環について説明ができる。
・化学平衡論の基礎的な知識をもとにlogC vs.pε図が作成でき,異なる環境条件下での物質の存在状態を推定することができる。
・超微量分析を行う際の基本的な注意事項を説明することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.環境の変化と物質の移動には密接な関係があることを説明できる。環境の変化と物質の移動には密接な関係があることを詳細に説明できる。環境の変化と物質の移動には密接な関係があることを説明できる。環境の変化と物質の移動には密接な関係があることを説明できない。
2.物質移動の傾向を化学平衡論により予測する方法を理解し,計算できる物質移動の傾向を化学平衡論により予測する方法を理解し,計算できる。物質移動の傾向を化学平衡論により予測する方法の基本を理解し,計算できる。物質移動の傾向を化学平衡論により予測する方法の基本を理解し,計算できない。
3.地球的規模での炭酸塩の循環について説明ができる。地球的規模での炭酸塩の循環について詳細な説明ができる。地球的規模での炭酸塩の循環について説明ができる。地球的規模での炭酸塩の循環について説明ができる。
4.化学平衡論の基礎的な知識をもとにlogC vs.pε図が作成でき,異なる環境条件下での物質の存在状態を推定することができる。化学平衡論の基礎的な知識をもとにlogC vs.pε図が正確に作成でき,異なる環境条件下での物質の存在状態を推定することができる。化学平衡論の基礎的な知識をもとにlogC vs.pε図が作成でき,異なる環境条件下での物質の存在状態を推定することができる。化学平衡論の基礎的な知識をもとにlogC vs.pε図が作成でき,異なる環境条件下での物質の存在状態を推定することができない。
5.超微量分析を行う際の基本的な注意事項を説明することができる。超微量分析を行う際の基本的な注意事項を詳細に説明することができる。超微量分析を行う際の基本的な注意事項を説明することができる。超微量分析を行う際の基本的な注意事項を説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
全地球的な環境問題を把握する観点のひとつとして物質移動を取り上げる。また主に水圏について汚染の指標等を解説する。
授業の進め方・方法:
授業は教員による説明と演習,授業内容の理解度を確認する小テスト(複数回)で構成する。理解を深めるためにグラフ作成および問題演習を行わせる。
温室化効果やオゾンホールのような全地球的な問題の他,化学平衡計算に基づく炭酸(塩)化学種の消長に関する事象も扱う。局所的な環境問題としての水質汚染について,汚染の指標となるDO,BOD あるいはCOD 値の定量法を解説する他,超微量成分分析において正確な結果を得るために必要な汚染制御の基本的知識・技術も紹介する。
成績は到達目標に関する定期試験(40%),小テスト(40%)および課題(20%)で評価する。合格点は60点である。成績評価が60点に満たないものについては再試験を行うことがある。再試験の点数は小テストおよび定期試験による評価部分の差し替えのみに用いる。

注意点:
30時間以上の自学自習が必要である。分析化学Ⅰ,Ⅱで習得した知識が基礎となるので十分に復習しておくこと。また図書館やインターネットなどを利用して課題に取り組むこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 環境化学とは
  物質の動き・正しい結果を得るということ
環境問題を把握する重要な観点の一つとして,物質移動があることを理解できる。環境問題に的確に対応するためには,正しい情報が必要であることが理解できる。
2週 地球規模の環境問題
  温室化効果  
人間の生産活動にもとづく化学物質の自然界への排出が全地球的規模の環境問題を引き起こした例を理解できる。
3週 オゾンホール 人間の生産活動にもとづく化学物質の自然界への排出が全地球的規模の環境問題を引き起こした例を理解できる。
4週 酸性雨とオキシダント 人間の生産活動にもとづく化学物質の自然界への排出が全地球的規模の環境問題を引き起こした例を理解できる。
5週 .酸度,アルカリ度
  定義
酸度・アルカリ度の定義を説明できる。
6週 測定法,種類 酸度・アルカリ度の測定法を説明できる。自然水の
酸度・アルカリ度を支配する主要な化学種を説明でき,濃度項の式として表すことができる。
7週 洞爺湖の酸性化 湖水の酸性化の実例を理解できる。
8週 炭酸塩の化学平衡
  二酸化炭素の水に対する溶解度
大気のCO2 分圧から雨水のpH が計算できる。
4thQ
9週 炭酸塩を含む系の化学平衡 閉鎖系および開放系における炭酸塩溶液の対数濃度図を描いて溶液のpH が推定できる。
10週  炭酸塩鉱物と水の接触 炭酸塩鉱物に接触している水のpH を計算できる。
11週 地球の水環境
 地球の水量・平均滞留時間 
地球規模での水環境を理解することができる。大気中の水分や,海洋水の平均滞留時間を計算できる。
12週 水質を示す項目
  DO,COD,BOD
水質を示す代表的な測定項目を述べることができる。
BOD やCOD の値から汚染負荷割合を計算できる。
13週 .酸化・還元状態の表し方
  pεの概念,pεと電極電位との関係
酸化状態をpεで表わし,pεと酸化電位との関係を示すことができる。
14週 logC VS.pε図の作成と利用法 logC vs.pε図を描き,この図から溶液内の支配的な化学種を推定できる。
15週 .環境分析を行う際の諸問題
   試料採取と保存法・超微量分析と汚染の制御
微量成分分析用の試料採取を行う際の注意事項を述べることができる。超微量成分分析を行う場合の汚染制御の考え方と具体的な方法を説明できる。
16週 定期試験

評価割合

定期試験小テスト課題合計
総合評価割合404020100
基礎的能力0000
専門的能力404020100
分野横断的能力0000