酵素化学(生物化学コース)

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 酵素化学(生物化学コース)
科目番号 117079 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:3
教科書/教材 教科書:R.H.Horton他著「ホートン 生化学 第5版」東京化学同人,自作プリント/参考図書:石倉久之他「第3版 図説生化学」丸善,L.G.Scheve著 駒野 徹他訳「ライフサイエンス 基礎生化学」化学同人,大西正健著「酵素の科学」学会出版センター,鈴木春男「酵素の世界」産業図書,藤本大三郎著「酵素反応のしくみ」講談社(ブルーバックス),西澤一俊他著「新・入門酵素化学(改訂第2版)」南江堂,J.E.BAILEY 著「Biochemical Engineering Fundamentals」McGRAW-HILL International,太田隆久著「暮らしの中の酵素」東京化学同人,野本正雄著「酵素工学」学会出版センター
担当教員 清水 祐一

到達目標

1.酵素の触媒作用,活性の特異性について説明できる。
2.触媒する反応形式に基づき酵素を分類でき,常用名・系統名を説明できる。
3.共同因子の種類と機能を説明できる。
4.ミカエリス、メンテン(MM)が行った実験を説明し,MM式の誘導ができる。LBプロットを利用してミカエリス定数Km,最大速度Vを求めることができる。
5.阻害反応のタイプを列挙し,それぞれの場合のMM式,KmおよびVの変化を説明できる。
6.生体から酵素を分離する方法の原理および具体的方法を説明できる。
7.分離した酵素を精製する方法の原理および精製操作の流れを説明できる。
8.基質の酵素への結合方法および基質の酵素からの作用機構について説明できる。
9.遺伝情報に基づき酵素(タンパク質)が生合成されるメカニズムを説明できる。
10.酵素の生合成の調節(転写レベルの調節)について具体例をあげて説明できる。
11.生体内での酵素活性の調節方法について,それぞれの具体例をあげ,そのメカニズム,特徴を説明できる。
12.日常生活および産業における酵素利用について,主な具体例をあげて説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1酵素の触媒作用,活性の特異性について説明できる。 酵素の触媒作用,活性の特異性について概ね説明できる。 酵素の触媒作用,活性の特異性について説明できない。
到達目標2触媒する反応形式に基づき酵素を分類でき,常用名・系統名を説明できる。 触媒する反応形式に基づき酵素を分類でき,常用名・系統名を概ね説明できる。 触媒する反応形式に基づき酵素を分類できない。常用名・系統名を説明できない。
到達目標3共同因子の種類と機能を説明できる。 共同因子の種類と機能を概ね説明できる。 共同因子の種類と機能を説明できない。
到達目標4ミカエリス、メンテン(MM)が行った実験を説明し,MM式の誘導ができる。LBプロットを利用してミカエリス定数Km,最大速度Vを求めることができる。 ミカエリス、メンテン(MM)が行った実験を概ね説明し,MM式の誘導ができる。LBプロットを利用してミカエリス定数Km,最大速度Vを求めることができる。 ミカエリス、メンテン(MM)が行った実験を説明できず,MM式の誘導ができない。LBプロットを利用してミカエリス定数Km,最大速度Vを求めることができない。
到達目標5阻害反応のタイプを列挙し,それぞれの場合のMM式,KmおよびVの変化を説明できる。 阻害反応のタイプを列挙し,それぞれの場合のMM式,KmおよびVの変化を概ね説明できる。 阻害反応のタイプを列挙できず,MM式,KmおよびVの変化を説明できない。
到達目標6生体から酵素を分離する方法の原理および具体的方法を説明できる。 生体から酵素を分離する方法の原理および具体的方法を概ね説明できる。 生体から酵素を分離する方法の原理および具体的方法を説明できない。
到達目標7分離した酵素を精製する方法の原理および精製操作の流れを説明できる。 分離した酵素を精製する方法の原理および精製操作の流れを概ね説明できる。 分離した酵素を精製する方法の原理および精製操作の流れを説明できない。
到達目標8基質の酵素への結合方法および基質の酵素からの作用機構について説明できる。 基質の酵素への結合方法および基質の酵素からの作用機構について概ね説明できる。 基質の酵素への結合方法および基質の酵素からの作用機構について説明できない。
到達目標9遺伝情報に基づき酵素(タンパク質)が生合成されるメカニズムを説明できる。 遺伝情報に基づき酵素(タンパク質)が生合成されるメカニズムを概ね説明できる。 遺伝情報に基づき酵素(タンパク質)が生合成されるメカニズムを説明できない。
到達目標10酵素の生合成の調節(転写レベルの調節)について具体例をあげて説明できる。 酵素の生合成の調節(転写レベルの調節)について具体例をあげて概ね説明できる。 酵素の生合成の調節(転写レベルの調節)について具体例をあげて説明できない。
到達目標11生体内での酵素活性の調節方法について,それぞれの具体例をあげ,そのメカニズム,特徴を説明できる。 生体内での酵素活性の調節方法について,それぞれの具体例をあげ,そのメカニズム,特徴を概ね説明できる。 生体内での酵素活性の調節方法について,それぞれの具体例をあげることができない。
到達目標12日常生活および産業における酵素利用について,主な具体例をあげて説明できる。 日常生活および産業における酵素利用について,主な具体例をあげて概ね説明できる。 日常生活および産業における酵素利用について,主な具体例をあげることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生体内触媒としての酵素の特異性,その分類と命名法,反応速度論,阻害反応,作用機構および酵素反応の調節機構など酵素化学の基本的項目について教授する。あわせて,酵素本体であるタンパク質の生体からの分離精製方法および遺伝子に基づく酵素(タンパク質)の生合成機構を解説する。
授業の進め方・方法:
3,4年の生化学Ⅰ,Ⅱおよび4年の分子生物学で学習するアミノ酸,タンパク質,糖質,DNAおよび転写・翻訳に関する基礎知識を前提に主としてパワーポイントを使用した座学形式で行う。テキストの他に授業の理解を助ける参考プリントを配布する。到達目標に関する内容の試験,レポート,小テストの評価から総合的に評価する。割合は定期試験40%,中間試験30%,課題(復習まとめレポート)15%,小テスト15%とし,合格点は60点以上である。なお,特別な理由なく小テストを未受験の場合,その小テストの点数は0点とする。レポートの提出遅れは減点,未提出は0点とする。成績評価が50点以上60点未満の場合は再試験(試験70%分)を実施することがあるが,受講態度等が著しく不良,遅刻・欠課が多い,未提出レポートがある,自学自習時間が不足している場合は再試験を受験できないことがあるので注意する。なお、再試験を受けた場合の評価は60点を超えないものとする。
注意点:
基礎知識が不十分の場合は予め学習して十分に身に付けておくこと。プリントを綴じるファイルを必ず用意すること。授業の予習及び復習,理解を深めるための課題への取組み及び小テスト・各試験の準備等により自学自習に取り組むこと(60時間の自学自習が必要です)。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 酵素とは何か-1-
酵素の働きとその特性
酵素の触媒作用,活性の特異性について説明できる。
2週 酵素とは何か-2-
酵素の分類と命名法
触媒する反応形式に基づき酵素を分類でき,常用名・系統名を説明できる。
3週 酵素とは何か-3-
酵素と共同因子
共同因子の種類と機能を説明できる。
4週 酵素反応の速度式
ミカエリス・メンテン式とLBプロット
ミカエリス、メンテン(MM)が行った実験を説明し,MM式の誘導ができる。LBプロットを利用してミカエリス定数Km,最大速度Vを求めることができる。
5週 酵素の阻害
競争的阻害,非競争的阻害,不競争的阻害
阻害反応のタイプを列挙し,それぞれの場合のMM式,KmおよびVの変化を説明できる。
6週 酵素の分離と精製-1-
生体からの酵素の分離
生体から酵素を分離する方法の原理および具体的方法を説明できる。
7週 酵素の分離と精製-2-
酵素の粗精製,高度精製
分離した酵素を精製する方法の原理および精製操作の流れを説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 酵素の触媒作用機構
活性中心と基質・酵素複合体
基質の酵素への結合方法および基質の酵素からの作用機構について説明できる。
10週 酵素の生合成とその調節-1-
遺伝子とタンパク質(転写,翻訳)
遺伝情報に基づき酵素(タンパク質)が生合成されるメカニズムを説明できる。
11週 酵素の生合成とその調節-2-
酵素の誘導と抑制(転写レベル負の調節)
合成の調節(転写レベルの調節)について具体例をあげて説明できる。
12週 酵素反応の調節-1-
アロステリック酵素
生体内での酵素活性の調節方法について,それぞれの具体例をあげ,そのメカニズム,特徴を説明できる。
13週 酵素反応の調節-2-
修飾反応による調節
同上
14週 酵素反応の調節-3-
ポリペプチド鎖の切断による活性化
同上
15週 酵素の利用 日常生活および産業における酵素利用について,主な具体例をあげて説明できる。
16週 定期試験

評価割合

試験小テストレポート合計
総合評価割合701515100
基礎的能力0000
専門的能力701515100
分野横断的能力0000