遺伝子・タンパク質工学(生物化学コース)

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 遺伝子・タンパク質工学(生物化学コース)
科目番号 117080 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:3
教科書/教材 教科書:ホートン著 鈴木紘一・笠井献一他訳「ホートン 生化学 第5版」東京化学同人,自作プリント/参考図書:浜島 晃著「ニューステージ 新生物図表 生物基礎+生物対応」(株)浜島書店,萩原清文著 「好きになる分子生物学」講談社,丸山工作著 「生化学」裳華房,大藤道衛著 「意外に知らない,いまさら聞けないバイオ実験超基本Q&A」羊土社,OUTLINES OF BIOCHEMISTRY 5th Edition E.E.Conn et. al.1987,松澤洋編 「タンパク質工学の基礎」 東京化学同人,有坂文雄著 「バイオサイエンスのための蛋白質科学入門」裳華房,鈴木春男著 「酵素の世界」産業図書,岡田吉美著 「プロテインエンジニアリング」東京化学同人,藤本大三郎 「タンパク質とは何か」講談社(ブルーバックス)
担当教員 岩波 俊介,清水 祐一

到達目標

1.分子生物学の発展を背景に,遺伝子工学が生まれてきた要因を説明できる。
2.遺伝子組換え技術の全体的な流れおよび遺伝子組換えに関わる倫理問題について説明できる。
3.制限酵素が特定の塩基配列を認識して切断する様式を説明できる。
4.化学的方法および酵素的方法による塩基配列の決定法を説明できる。
5.DNA断片とベクターの連結について説明できる。
6.組換えDNA分子が導入された宿主細胞を検出する方法の原理を説明できる。
7.ベクターに導入する外来遺伝子の調製法について説明できる。
8.原核生物および真核生物における外来遺伝子によるタンパク質の発現ついて説明できる。
9.植物,細菌および動物における組換えDNA技術の応用について概説できる。
10.プロテインエンジニアリングの目的および概要を説明できる。
11.アミノ酸の分子構造およびペプチド結合の構造を理解し,ポリペプチド鎖の高次構造を説明できる。
12.タンパク質の生体中での主な役割を理解し,それに該当するタンパク質の例を挙げることができる。
13.タンパク質の一次構造決定法,分子量測定法および分離精製法の例を挙げ,その原理を説明できる。
14.階層性に基づきタンパク質の立体構造が形成される過程を説明でき,二次構造の予測方法についてその原理を説明できる。
15.遺伝子を操作した人工的変異の導入について,その方法および原理が説明できる。
16.プロテインエンジニアリングを用いた天然酵素改変の具体例をあげ,その内容説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1分子生物学の発展を背景に,遺伝子工学が生まれてきた要因を説明できる。 分子生物学の発展を背景に,遺伝子工学が生まれてきた要因を概ね説明できる。分子生物学の発展を背景に,遺伝子工学が生まれてきた要因を説明できない。
到達目標2遺伝子組換え技術の全体的な流れおよび遺伝子組換えに関わる倫理問題について説明できる。 遺伝子組換え技術の全体的な流れおよび遺伝子組換えに関わる倫理問題について概ね説明できる。遺伝子組換え技術の全体的な流れおよび遺伝子組換えに関わる倫理問題について説明できない。
到達目標3制限酵素が特定の塩基配列を認識して切断する様式を説明できる。 制限酵素が特定の塩基配列を認識して切断する様式を概ね説明できる。制限酵素が特定の塩基配列を認識して切断する様式を理解できない。
到達目標4化学的方法および酵素的方法による塩基配列の決定法を説明できる。 化学的方法および酵素的方法による塩基配列の決定法を概ね説明できる。化学的方法および酵素的方法による塩基配列の決定法を説明できない。
到達目標5DNA断片とベクターの連結について説明できる。 DNA断片とベクターの連結について概ね説明できる。DNA断片とベクターの連結について説明できない。
到達目標6組換えDNA分子が導入された宿主細胞を検出する方法の原理を説明できる。 組換えDNA分子が導入された宿主細胞を検出する方法の原理を概ね説明できる。組換えDNA分子が導入された宿主細胞を検出する方法の原理を説明できない。
到達目標7ベクターに導入する外来遺伝子の調製法について説明できる。 ベクターに導入する外来遺伝子の調製法について概ね説明できる。ベクターに導入する外来遺伝子の調製法について説明できない。
到達目標8原核生物および真核生物における外来遺伝子によるタンパク質の発現ついて説明できる。 原核生物および真核生物における外来遺伝子によるタンパク質の発現ついて概ね説明できる。原核生物および真核生物における外来遺伝子によるタンパク質の発現ついて説明できない。
到達目標9植物,細菌および動物における組換えDNA技術の応用について概説できる。 植物,細菌および動物における組換えDNA技術の応用について概ね概説できる。植物,細菌および動物における組換えDNA技術の応用について概説できない。
到達目標10プロテインエンジニアリングの目的および概要を説明できる。 プロテインエンジニアリングの目的および概要の基本的内容を説明できる。 プロテインエンジニアリングの目的および概要の基本的内容を説明できない。
到達目標11アミノ酸の分子構造およびペプチド結合の構造を理解し,ポリペプチド鎖の高次構造を説明できる。 アミノ酸の分子構造およびペプチド結合の構造の基本を理解し,ポリペプチド鎖の高次構造を説明できる。 アミノ酸の分子構造およびペプチド結合の構造の基本を理解できず,ポリペプチド鎖の高次構造を説明できない。
到達目標12タンパク質の生体中での主な役割を理解し,それに該当するタンパク質の例を挙げることができる。 タンパク質の生体中での主な役割の基本を理解し,それに該当するタンパク質の例を挙げることができる。 タンパク質の生体中での主な役割の基本を理解できず,それに該当するタンパク質の例を挙げることができない。
到達目標13タンパク質の一次構造決定法,分子量測定法および分離精製法の例を挙げ,その原理を説明できる。 タンパク質の一次構造決定法,分子量測定法および分離精製法の例を挙げ,その基本でき原理を説明できる。 タンパク質の一次構造決定法,分子量測定法および分離精製法の例を挙げることができない。
到達目標14階層性に基づきタンパク質の立体構造が形成される過程を説明でき,二次構造の予測方法についてその原理を説明できる。 階層性に基づきタンパク質の立体構造が形成される過程の基本を説明でき,二次構造の予測方法についてその基本原理を説明できる。 階層性に基づきタンパク質の立体構造が形成される過程の基本を説明できない。二次構造の予測方法についてその基本原理を説明できない。
到達目標15遺伝子を操作した人工的変異の導入について,その方法および原理が説明できる。 遺伝子を操作した人工的変異の導入について,その方法および基本的原理が説明できる。 遺伝子を操作した人工的変異の導入について,その方法および基本的原理が説明できない。
到達目標16プロテインエンジニアリングを用いた天然酵素改変の具体例をあげ,その内容説明できる。プロテインエンジニアリングを用いた天然酵素改変の具体例をあげ,その基本的内容説明できる。プロテインエンジニアリングを用いた天然酵素改変の具体例をあげることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
前半は細胞の遺伝的成分を操作し,細胞の機能あるいは産物を改変するための様々な方法論(遺伝子クローニング,遺伝子配列の解析,人工変異DNAの作成法,発現プラスミドによる生産,in vitro 系による遺伝子機能検定法,細胞への遺伝子導入法,発生過程への遺伝子の導入法,遺伝子クローンを用いた遺伝子の解析)を中心に解説する。 後半は生体内で種々の重要な機能を担っているタンパク質について,構造の階層性,アミノ酸配列の決定法,分子構造とその機能との相関,遺伝子操作によるタンパク質分子の改変などタンパク質工学の概要について解説する。
授業の進め方・方法:
講義は3,4学年の生化学および4学年の分子生物学で習得した基礎知識を元に座学方式で行う(一部,パワーポイント使用)。 各授業項目を学習後にその理解を深めるための課題および小テストを実施する。 到達目標の達成度は中間試験40%,定期試験40%,課題・小テスト20%割合で総合評価する。 合格点は60点である。 評価が50点以上60点未満の場合に再試験(試験分80%)を行うことがある。課題の未提出がある者,出席状況および授業態度等が著しく不良な者は再試験を受験できない事があるので注意すること。なお,再試験を受けた場合の評価は60点を超えないものとする。
注意点:
生化学,分子生物学の基礎知識を十分理解しておくこと。また,授業内容を理解するためには十分な予習復習,特に復習(自学自習)が必要である。 授業の予習及び復習,理解を深めるための課題演習への取組み及び各試験の準備等により自学自習に取り組むこと(60時間の自学自習が必要です)。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 遺伝子工学とは 遺伝子工学の目的および概要を説明できる。
2週 組換えDNA実験ガイドラインと倫理問題 遺伝子組換え技術の全体的な流れを理解し,遺伝子組換えに関わる倫理問題について説明できる。
3週 遺伝子の取り扱い 制限酵素が特定の塩基配列を認識して切断する様式を説明できる。DNA断片の増幅手法について説明できる。
4週 DNA塩基配列の決定法 サンガージデオキシシークエンス法による塩基配列決定法について説明できる。
5週 遺伝子クローニング 遺伝子クローニングの全体的な流れを理解し,遺伝子のクローン化技術について説明できる。
6週 遺伝子クローニングと宿主−ベクター系 組換えDNA分子の宿主細胞への導入方法について理解し,ベクターに導入する外来遺伝子の調製法について説明できる。
7週 原核細胞,真核細胞での遺伝子発現 原核生物および真核生物における外来遺伝子によるタンパク質の発現ついて理解し,植物,細菌および動物における組換えDNA技術の応用について説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 プロテインエンジニアリングとは プロテインエンジニアリングの目的および概要を説明できる。
10週 アミノ酸とタンパク質 アミノ酸の分子構造およびペプチド結合の構造を理解し,ポリペプチド鎖の高次構造を説明できる。
11週 タンパク質の多様性 タンパク質の生体中での主な役割を理解し,それに該当するタンパク質の例を挙げることができる。
12週 タンパク質の解析 タンパク質の一次構造決定法,分子量測定法および分離精製法の例を挙げ,その原理を説明できる。
13週 タンパク質の高次構造の予測 階層性に基づきタンパク質の立体構造が形成される過程を説明でき,二次構造の予測方法についてその原理を説明できる。
14週 遺伝子の人工的変異 遺伝子を操作した人工的変異の導入について,その方法および原理が説明できる。
15週 プロテインエンジニアリングの実際 プロテインエンジニアリングを用いた天然酵素改変の具体例をあげ,その内容説明できる。
16週

評価割合

定期試験中間試験課題・小テスト合計
総合評価割合404020100
基礎的能力002020
専門的能力4040080
分野横断的能力0000