到達目標
1) 光子の物質波としての性質を理解し、物質波と定常波の関係からシュレディンガー方程式を導くことができる。
2) 水素原子核におけるシュレディンガー方程式を解き、その解である波動関数と各量子数の意味を理解し、正しく説明することができる。
3) 原子価結合法と分子軌道法を理解し、原子軌道から分子軌道を導出することができる。
4) 分子軌道法から水素分子の分子軌道を正しく説明することができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
1) 光が波と粒子の性質を持つことを事例を挙げて説明することができる。ド・ブロイの物質波と定常波の考えから、シュレディンガー方程式の意味を理解し説明できる。 | 光が波と粒子の性質を持つことを事例を挙げて説明することができる。ド・ブロイの物質波と定常波の考えから、シュレディンガー方程式の意味を理解し説明できる。 | 光が波と粒子の性質を持つことを説明することができる。ド・ブロイの物質波と定常波の考えから、シュレディンガー方程式の意味を説明できる。 | 光が波と粒子の性質を持つことを事例を挙げて説明することができない。ド・ブロイの物質波と定常波の考えから、シュレディンガー方程式の意味を説明できない。 |
2) 水素原子の軌道を書き、3つの量子数と関連付けて説明することができる。パウリの排他原理とフントの規則により、多電子原子の基底状態における電子配置を説明することができる。 | 水素原子の軌道を書き、3つの量子数と関連付けて説明することができる。パウリの排他原理とフントの規則により、多電子原子の基底状態における電子配置を説明することができる。 | 水素原子の軌道を書き、3つの量子数と関連付けることができる。パウリの排他原理とフントの規則により、多電子原子の基底状態における電子配置を説明できる。 | 水素原子の軌道を書き、3つの量子数と関連付けて説明することができない。パウリの排他原理とフントの規則により、多電子原子の基底状態における電子配置を説明することができない。 |
3) 分子軌道法による水素分子とヘリウム分子の分子軌道を説明することができる。 | 分子軌道法による水素分子とヘリウム分子の分子軌道を説明することができる。 | 分子軌道法による水素分子とヘリウム分子の分子軌道を理解できる。 | 分子軌道法による水素分子とヘリウム分子の分子軌道を理解できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
個々の原子や分子の構造を理解するには現在まで学習した古典力学では説明がつかない。量子力学は原子核等を構成する各素粒子の挙動に関する学問であり、本講義ではこの量子力学における基礎的概念と原子および分子構造を理解する上での基礎的知識を学習する。
※実務との関係
この科目は企業で核磁気共鳴装置とその応用開発を担当していた教員が、その経験を活かし、核スピン・電子スピン共鳴の基礎となる量子化学について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
無機化学、物理化学、化学熱力学で教授した知識を前提として講義を実施する。本講義受講前に無機化学において学習したニールス・ボーアや長岡半太郎の原子モデルについて十分に理解しておくこと。授業中に配布される演習問題等を用いて自学自習に取り組むこと(本科目の単位修得には30時間以上の自学自習を必須とする)。演習問題(レポート形式)は提出、添削の上返却する。到達目標に到達できていない場合には再提出を求める。
この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポートを実施します。
注意点:
成績評価が60点未満のものに対し再試験は原則実施しない。但し授業態度、授業への取組みを考慮して実施する場合もある。再試験受験者の成績は60点とする。また、課題未提出の学生は再試験を受験することができない。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
量子化学の基礎(1) 波と粒子の二重性 |
光の波動性と粒子性、エネルギースペクトルについて説明できる。
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2週 |
量子化学の基礎2) 電子エネルギーの量子化 |
電子エネルギーが量子化されていることを説明できる。
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3週 |
量子化学の基礎(3) ド・ブロイの式と定常波 |
ド・ブロイの物質波と定常波の考え方を説明できる。
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4週 |
量子化学の基礎(4) シュレディンガーの波動方程式 |
ド・ブロイの物質波と定常波の考えからシュレディンガー方程式を導出できる。
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5週 |
量子化学の基礎(5) 一次元箱型ポテンシャルと波動方程式 |
一次元波動方程式を解くことができる。
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6週 |
原子核の構造(1) 水素原子核における波動関数 |
三次元シュレディンガー方程式を解釈し、3つの量子数と関連付けて説明ができる。
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7週 |
原子核の構造(2) 電子スピン |
電子スピン量子数の概念を説明できる。
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8週 |
原子核の構造(3) ヘリウム原子核の波動関数 |
4つの量子数によって定義される電子軌道とその形状を説明できる。
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4thQ |
9週 |
原子核の構造(4) 多電子原子の波動方程式と電子軌道 |
4つの量子数によって定義される電子軌道とその形状を説明できる。
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10週 |
原子核の構造(5) パウリの排他原理とフントの法則 |
多電子原子の電子配置を説明できる。
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11週 |
原子核の構造(6) 混成軌道の形成 |
混成軌道の形成について説明できる。
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12週 |
原子核の構造(7) 混成軌道とエネルギー順位 |
混成軌道の種類とそのエネルギー順位について説明できる。
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13週 |
分子軌道法(1) 水素分子イオン |
水素分子イオンのシュレディンガー方程式を立て、分子軌道を説明できる。
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14週 |
分子軌道法(2) 水素分子とヘリウム 分子 |
水素分子およびヘリウム分子についてシュレディンガー方程式を立て、分子軌道を説明できる。
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15週 |
分子軌道(3) 分子軌道法 |
分子軌道法から共有結合を説明できる。
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16週 |
定期試験 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | σ結合とπ結合について説明できる。 | 4 | 後12,後15 |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 4 | 後12,後15 |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 4 | 後12,後15 |
無機化学 | 主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。 | 4 | 後7,後8,後9,後10 |
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 4 | 後7,後8,後9,後10 |
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 4 | 後10,後11,後12 |
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。 | 4 | 後9 |
イオン結合と共有結合について説明できる。 | 4 | 後14,後15 |
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。 | 4 | 後13,後14,後15 |
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。 | 4 | 後15 |
評価割合
| 中間試験 | 定期試験 | 課題レポート | 合計 |
総合評価割合 | 40 | 40 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 28 | 28 | 14 | 70 |
専門的能力 | 12 | 12 | 6 | 30 |