到達目標
多塩基酸溶液pH 計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。対数濃度図を描いてpHを求めることができる。炭酸塩鉱物等の溶解度とpH との関係を説明することができる。副反応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法を理解できる。キレート抽出系での金属イオンの分離の可能性を計算で推定できる。以上の知識を理解し,実際の分析に応用できる能力を身につける。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
1.多塩基酸溶液pH 計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。 | より複雑な系で多塩基酸溶液pH 計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。 | 多塩基酸溶液pH 計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できる。 | 多塩基酸溶液pH 計算や弱酸溶液中の化学種の分率が計算できない。 |
2.対数濃度図を描いてpHを求めることができる。 | より複雑な系で対数濃度図を描いてpHをことができる。 | 対数濃度図を描いてpHを求めることができる。 | 対数濃度図を描いてpHを求めることができない。 |
3.炭酸塩鉱物等の溶解度とpH との関係を説明することができる。 | 炭酸塩鉱物等の溶解求める度とpH との関係を詳細に説明することができる。 | 炭酸塩鉱物等の溶解度とpH との関係を説明することができる。 | 炭酸塩鉱物等の溶解度とpH との関係を説明することができない。 |
4.副反応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法を理解できる。 | 副反応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法を理解できる。 | 副反応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法の基本を理解できる。 | 副反応係数,条件生成定数を用いて反応の進行の程度を予測する方法を理解できない。 |
5.キレート抽出系での金属イオンの分離の可能性を計算で推定できる。 | より複雑なキレート抽出系での金属イオンの分離の可能性を計算で推定できる。 | キレート抽出系での金属イオンの分離の可能性を計算で推定できる。 | キレート抽出系での金属イオンの分離の可能性を計算で推定できない。 |
学科の到達目標項目との関係
物質工学科の学習・教育到達目標 1 数学,自然科学,情報技術および物質工学基礎,無機化学Ⅰ・Ⅱ,有機化学Ⅰ・Ⅱ,分析化学Ⅰ・Ⅱ,物理化学Ⅰ・Ⅱ,生化学Ⅰ・Ⅱ,分子生物学,化学熱力学,応用数学,応用物理,物質工学実験などを通して,工学の基礎知識と応用力を身につける。
学習目標 Ⅱ 実践性
学校目標 D(工学基礎) 数学,自然科学,情報技術および工学の基礎知識と応用力を身につける
本科の点検項目 D-ⅱ 自然科学に関する基礎的な問題を解くことができる
本科の点検項目 D-ⅳ 数学,自然科学,情報技術および工学の基礎知識を専門分野の工学的問題解決に応用できる
教育方法等
概要:
二塩基酸溶液のpH 計算,弱酸や錯体を含む溶液の対数濃度図の作図等を通して,比較的複雑な系について,化学平衡論にもとづく解析法を身につけさせる。条件生成定数を用いて反応前後の物質量の変化を推算する方法を解説する。また錯形成反応の応用例としてキレート系溶媒抽出による分離について解説する。
授業の進め方・方法:
授業は教員による説明と演習,授業内容の理解度を確認する小テスト(複数回)で構成する。概ね教科書に沿って進行するので,シラバスを参考にして予習すること。電卓,定規,テンプレートおよびA4判グラフ用紙を用意すること。
成績は到達目標に関する小テスト40%,期末試験(2回)40%および課題20%で評価する。合格点は60点である。成績評価が60点に満たないものについては再試験を行うことがある。再試験の点数は小テストおよび期末試験による評価部分の差し替えのみに用いる。
注意点:
分析化学Ⅰで習得した知識が基礎となる。必要に応じて分析化学Ⅰのノートを読み返すとよい。授業で配布される演習課題や教科書の章末問題により予習・復習を行い自学自習に取り組むこと。
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
酸・塩基平衡‐より複雑な系‐ 種々の酸・塩基の定義と相互の関係 |
Lewis の定義により物質を酸・塩基等に分類できる。
|
2週 |
弱二塩基酸 溶液の濃度計算法(1) |
弱二塩基酸溶液のpH を計算で求められる。
|
3週 |
弱二塩基酸溶液の濃度計算法(2) |
弱二塩基酸溶液のpH を計算で求められる。
|
4週 |
分布図,対数濃度図 分率(α)の定義と計算 |
酸溶液中の化学種の分率が計算できプロトン均衡式を書ける。
|
5週 |
弱酸のαvs.pH と対数濃度図の作成と応用(1) |
酸や塩溶液のαvs.pH図,対数濃度図を描ける。
|
6週 |
弱酸のαvs.pH と対数濃度図の作成と応用(2) |
対数濃度図から溶液のpH を求めることができる。
|
7週 |
多塩基酸のαvs.pH 図と対数濃度図の作成(1) |
多塩基酸のαvs.pH図,対数濃度図を描ける。
|
8週 |
多塩基酸のαvs.pH 図と対数濃度図の作成(2) |
多塩基酸のαvs.pH図,対数濃度図を描ける。
|
2ndQ |
9週 |
多塩基酸のαvs.pH 図と対数濃度図の作成(3) |
多塩基酸のαvs.pH図,対数濃度図を描ける。
|
10週 |
沈殿平衡 溶解度に及ぼすpH の影響(1) |
溶解度に対する水素イオン濃度の影響を説明できる。
|
11週 |
溶解度に及ぼすpH の影響(2) |
溶解度に対する水素イオン濃度の影響を説明できる。
|
12週 |
炭酸カルシウムの溶解度とpH の関係(1) |
炭酸塩の溶解度を水素イオン濃度の関数で表せる。
|
13週 |
炭酸カルシウムの溶解度とpH の関係(2) |
炭酸塩の溶解度を水素イオン濃度の関数で表せる。
|
14週 |
炭酸カルシウムの溶解度曲線の作成(1) |
炭酸塩の溶解度曲線を描くことができる。
|
15週 |
炭酸カルシウムの溶解度曲線の作成(2) |
炭酸塩の溶解度が炭酸イオンの分率の逆数に比例することを示すことができる。
|
16週 |
|
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
錯形成平衡 錯形成平衡における分布図の作成(1) |
錯形成平衡の分布図を描ける。
|
2週 |
錯形成平衡における分布図の作成(2) |
錯形成平衡の分布図を描ける。
|
3週 |
生成定数に関する問題演習 |
生成定数に関する計算ができる。
|
4週 |
条件生成定数と副反応係数(1) |
熱力学的生成定数と条件生成定数の違いを説明できる。
|
5週 |
条件生成定数と副反応係数(2) |
副反応係数を定義し,関係する諸定数で表すことができる。
|
6週 |
副反応係数の算出法と実際の系への適用 |
実際の系について副反応係数を算出できる。
|
7週 |
EDTA の副反応係数vs.pH 図の作成(1) |
副反応係数vs.pH 図を作成できる。また副反応係数を用いて反応の進行の程度を予測できる。
|
8週 |
EDTA の副反応係数vs.pH 図の作成(2) |
副反応係数vs.pH 図を作成できる。また副反応係数を用いて反応の進行の程度を予測できる。
|
4thQ |
9週 |
分配平衡 分配則,分配定数,分配比(1) |
分配則を理解し分配定数,分配比の定義が分かる。
|
10週 |
分配則,分配定数,分配比(2) |
ある系について分配定数,分配比を書き表すことができる。
|
11週 |
キレート系溶媒抽出(1) |
キレート系溶媒抽出の平衡定数(抽出定数)を分配定数,生成定数,酸解離定数で表すことができる。
|
12週 |
キレート系溶媒抽出(2) |
抽出定数の値から実用的な分離が可能となる抽出回数を求めることができる。
|
13週 |
抽出曲線の作成 |
分配比と抽出率の関係が分かる。
|
14週 |
抽出挙動の解析法,抽出(1) |
分離係数と分配比の関係を表せる。
|
15週 |
抽出挙動の解析法,抽出(2) |
抽出定数から複数成分の分離の可能性を推定できる。
|
16週 |
|
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 分析化学 | 溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。 | 4 | 前10,前11,前12,前13,前14,前15 |
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。 | 4 | |
錯体の生成について説明できる。 | 4 | 後1,後2,後3 |
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。 | 4 | 後7,後8 |
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。 | 4 | 後11,後12,後13,後14,後15 |
評価割合
| 期末試験 | 小テスト | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 40 | 40 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 40 | 40 | 20 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |