無機化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 無機化学Ⅱ
科目番号 S3-5042 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 教科書:古崎 毅・奥田弥生著「苫小牧工業高等専門学校物質工学科の学生のための無機化学」,実教出版編集部編「増補新訂版 サイエンスビュー化学総合資料」実教出版,泉 美治・小川雅彌・加藤俊二・塩川二朗・芝 哲夫 監修「第2版 機器分析のてびき」化学同人/参考図書:R.B.Heslop著,斎藤喜彦訳「無機化学(上・下)」東京化学同人,R.B.Heslop著,齋藤善彦訳「演習無機化学 計算問題とその解き方」東京化学同人,B.D.Cullity著,松村源太郎訳「新版X線回折要論」アグネ,R.M.Silverstein他著,荒木俊・益子洋一郎訳「有機化合物のスペクトルによる同定法」東京化学同人
担当教員 清水 祐一,古崎 毅

到達目標

1.結晶固体の単位格子の構造を正しく表記でき,X線の回折とBraggの法則を説明できる。
2.結晶の基本構造を描き,充填率の計算ができる。
3.イオンの大きさと配位数の関係を説明できる。
4.代表的なイオン結晶の構造を描くことができる。
5.イオン結晶における欠陥構造の特徴を説明できる。
6.その他の結合からなる結晶の代表的な構造と特性を説明できる。
7.X線回折による結晶構造の解析法を理解して測定結果を解析できる。
8.Lambert-Beerの法則を導くこと,および分光光度法の測定原理を理解して測定結果を解析できる。
9.赤外線吸収スペクトル法の測定原理を理解し、簡単なスペクトルの解析ができる。
10.原子吸光分析法の測定原理を理解し,測定結果を解析できる。
11.蛍光X線分析の測定原理を理解し,測定結果を解析できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.結晶固体の単位格子の構造を正しく表記でき,X線の回折とBraggの法則を説明できる。結晶固体の単位格子の構造を正しく表記でき,X線の回折とBraggの法則を説明できる。結晶固体の単位格子の構造を正しく表記でき,X線の回折とBraggの法則の基本的な説明ができる。結晶固体の単位格子の構造を正しく表記できず,X線の回折とBraggの法則の基本的な説明ができない。
2.結晶の基本構造を描き,充填率の計算ができる。結晶の基本構造を描き,充填率の計算ができる。結晶の基本構造を描き,充填率の基本的な計算ができる。結晶の基本構造を描けず,充填率の基本的な計算ができない。
3.イオンの大きさと配位数の関係を説明できる。イオンの大きさと配位数の関係を説明できる。イオンの大きさと配位数の関係の基本的な説明ができる。イオンの大きさと配位数の関係の基本的な説明ができない。
4.代表的なイオン結晶の構造を描くことができる。代表的なイオン結晶の構造を描くことができる。代表的なイオン結晶の基本的な構造を描くことができる代表的なイオン結晶の基本的な構造を描くことができない。
5.イオン結晶における欠陥構造の特徴を説明できる。イオン結晶における欠陥構造の特徴を説明できる。イオン結晶における欠陥構造の特徴の基本的な説明ができる。イオン結晶における欠陥構造の特徴の基本的な説明ができない。
6.その他の結合からなる結晶の代表的な構造と特性を説明できる。その他の結合からなる結晶の代表的な構造と特性を説明できるその他の結合からなる結晶の代表的な構造と特性の基本的な説明ができるその他の結合からなる結晶の代表的な構造と特性の基本的な説明ができない。
7.X線回折による結晶構造の解析法を理解して測定結果を解析できる。X線回折による結晶構造の解析法を理解して測定結果を解析できる。X線回折による結晶構造の解析法を理解して測定結果の基本的な解析ができる。X線回折による結晶構造の解析法を理解して測定結果の基本的な解析ができない。
8.Lambert-Beerの法則を導くこと,および分光光度法の測定原理を理解して測定結果を解析できる。Lambert-Beerの法則を導くことができ,分光光度法の測定原理を理解して測定結果を解析できる。Lambert-Beerの法則を導くことができ,分光光度法の測定原理を理解して測定結果の基本的な解析ができる。Lambert-Beerの法則を導くことができず,分光光度法の測定原理を理解して測定結果の基本的な解析ができない。
9.赤外線吸収スペクトル法の測定原理を理解し、簡単なスペクトルの解析ができる。赤外線吸収スペクトル法の測定原理を理解し、簡単なスペクトルの解析ができる。赤外線吸収スペクトル法の測定原理を理解し、簡単なスペクトルの基本的な解析ができる。赤外線吸収スペクトル法の測定原理を理解できず、簡単なスペクトルが解析ができない。
10.原子吸光分析法の測定原理を理解し,測定結果を解析できる。原子吸光分析法の測定原理を理解し,測定結果を解析できる。原子吸光分析法の測定原理を理解し,測定結果の基本的な解析ができる。原子吸光分析法の測定原理を理解できず,測定結果の基本的な解析ができない。
11.蛍光X線分析の測定原理を理解し,測定結果を解析できる。蛍光X線分析の測定原理を理解し,測定結果を解析できる。蛍光X線分析の測定原理を理解し,測定結果の基本的な解析ができる。蛍光X線分析の測定原理が理解できず,基本的な解析ができない。

学科の到達目標項目との関係

物質工学科の学習・教育到達目標 1 数学,自然科学,情報技術および物質工学基礎,無機化学Ⅰ・Ⅱ,有機化学Ⅰ・Ⅱ,分析化学Ⅰ・Ⅱ,物理化学Ⅰ・Ⅱ,生化学Ⅰ・Ⅱ,分子生物学,化学熱力学,応用数学,応用物理,物質工学実験などを通して,工学の基礎知識と応用力を身につける。
学習目標 Ⅱ 実践性
学校目標 D(工学基礎) 数学,自然科学,情報技術および工学の基礎知識と応用力を身につける
本科の点検項目 D-ⅱ 自然科学に関する基礎的な問題を解くことができる

教育方法等

概要:
前期は固体の構造(空間格子,イオン結晶,共有結合結晶,金属結晶,分子結晶,水素結合結晶など)についての基礎知識を教授する。後期は無機化学等で使用される粉末X線回折,紫外可視分光分析,赤外分光分析,原子吸光分析及び蛍光X線分析の分析原理・結果の解釈等についての基礎知識を教授する。
授業の進め方・方法:
講義は,2年生の無機化学Ⅰで習得した知識を元に,座学方式で行う。課題及び小テストを課すことにより理解を深めるようにする。到達目標を達成できているかどうかを試験及び課題により総合評価する(中間時期の達成度確認40%,定期試験45%,及び課題・小テスト15%の割合)。合格点は60点である。成績評価が40点から60点に満たない学生については再試験を行うことがあり,試験分(85%分)の再評価をするものとする。なお,再試験を受けた学生の評価点は60点を越えないものとする。
注意点:
講義には,電卓,定規,テンプレートを用意すること。授業で課される課題・予習は自学自習により取り組むこと。課題は添削後,返却する。到達目標が達成されていない場合には再提出を求める。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 固体の構造(1):結晶構造の表し方,ミラー指数 結晶固体の単位格子の構造を正しく表記できる。
2週 固体の構造(2):X線の回折,Braggの法則 X線の回折原理とBraggの法則を説明できる。
3週 固体の構造(3):剛体球モデルに基づく単純立方構造と体心立方構造 結晶の基本構造を描き,充填率を計算できる。
4週 固体の構造(4):剛体球モデルに基づく立方最密充填構造と六方最密充填構造 同上
5週 固体の構造(1):イオン結晶構造におけるイオン半径比と配位数の関係 イオンの大きさと配位数の関係を説明できる。
6週 イオン結晶の構造(2):CsCl型結晶構造 代表的なイオン結晶の構造を描くことができる。
7週 イオン結晶の構造(3):NaCl型結晶構造 同上
8週 イオン結晶の構造(4):閃亜鉛鉱型結晶構造 同上
2ndQ
9週 イオン結晶の構造(5):ウルツ鉱型結晶構造 同上
10週 イオン結晶の構造(6):蛍石型結晶構造 同上
11週 イオン結晶の構造(7):ルチルl型結晶構造とペロブスカイト型結晶構造 同上
12週 結晶の欠陥構造(Schottky欠陥,Frenkel欠陥等) イオン結晶における欠陥構造の特徴を説明できる。
13週 共有結合結晶 共有結合結晶の構造と特性を説明できる。
14週 金属結晶,分子結晶 金属結晶及び分子結晶の構造と特性を説明できる。
15週 水素結合結晶,固溶体と合金 水素結合結晶の構造と特性,固溶体と合金を説明できる。
16週
後期
3rdQ
1週 粉末X線回折法(1):X線回折法で何が分かるか,測定の原理 粉末X線回折による結晶構造の測定原理を説明できる。
2週 粉末X線回折法(2):測定方法 同上
3週 粉末X線回折法(3):回折図形の解釈,演習 粉末X線回折法のによる測定結果を解析できる。
4週 紫外可視分光光度法(1):Lambert-Beer の法則 Lambert-Beer の法則を導くことができる。
5週 紫外可視分光光度法(2):分光装置の測定原理 分光光度法の測定原理を説明できる。
6週 紫外可視分光光度法(3):分析結果の解釈,演習 分光光度法の測定結果を解析できる。
7週 赤外線吸収スペクトル法(1):赤赤外分光分析で何が分かるか,測定の原理 赤外線吸収スペクトル法の測定原理を理解できる。
8週 赤外線吸収スペクトル法(2):測定方法,吸収と構造 同上
4thQ
9週 赤外線吸収スペクトル法(3):スペクトルの解釈,演習 赤外線吸収スペクトルの簡単なスペクトルの解析ができる。
10週 原子吸光分析法(1):原子吸光で何が分かるか,測定の原理 原子吸光分析法の測定原理を説明できる。
11週 原子吸光分析法(2):測定方法 同上
12週 原子吸光分析法(3):原子吸光分析結果の解釈 原子吸光分析法の測定結果を解析できる。
13週 蛍光X線分析法(1):蛍光X線で何が分かるか,測定の原理 蛍光X線の測定原理を説明できる。
14週 蛍光X線分析法(2):測定方法 同上
15週 蛍光X線分析法(3):分析結果の解釈,演習 蛍光X線分析の測定結果を解析できる。
16週

評価割合

中間時期の達成度確認定期試験課題・小テスト合計
総合評価割合4045150100
基礎的能力303015075
専門的能力10150025
分野横断的能力00000