物理化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 物理化学Ⅱ
科目番号 S3-5062 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 教科書: 福地賢治著 「物理化学」 実教出版 / 教材: 1)P.W.Atkins著 千原秀昭・中村亘男訳「アトキンス 物理化学 第6版」東京化学同人,2)David W.Ball著 田中一義・阿竹徹監訳「ボール 物理化学」化学同人, 3)W.J.Moore著 細矢治夫・湯田坂雅子訳「ムーア 基礎物理化学」東京化学同人, 4)D.A.McQuarrie, J.D.Simon著 千原英昭・齊藤一弥・江口太郎訳「物理化学-分子論的アプローチ」東京化学同人, 5)米山宏著「電気化学」大日本図書.
担当教員 甲野 裕之

到達目標

化学反応を熱力学を用いてその熱収支に基づいて、その進行方向を判断できること。また反応速度論を把握し、反応次数や速度定数を決定できること。コロイド粒子についてその種類を把握した上で、コロイド界面での現象を理解できること。電池反応について各電極における酸化・還元反応を理解し、ネルンストの式に基づいて起電力を求めることができること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1) 気体の法則について正しく理解できる。気体の法則について正しく理解できる。気体の法則について理解できる。気体の法則について理解できない。
2) 熱力学第一法則を理解し、エネルギー保存則により、エンタルピー、仕事、内部エネルギーを求めることができる。熱力学第一法則を理解し、エネルギー保存則により、エンタルピー、仕事、内部エネルギーを求めることができる。熱力学第一法則を理解し、エネルギー保存則により、エンタルピー、仕事、内部エネルギーを求めることができる。熱力学第一法則を理解できない。エネルギー保存則が理解できない。
3) 熱力学第二・第三法則を説明でき、エントロピーと化学変化の方向について説明できる。熱力学第二・第三法則を説明でき、エントロピーと化学変化の方向について計算から正しく求めることができる。熱力学第二・第三法則を説明でき、エントロピーと化学変化の方向について計算ができる。熱力学第二・第三法則を説明できない。エントロピーと化学変化の方向について計算から求めることができない。
4) 化学平衡についいて理解し、ギブズエネルギーと平衡定数を求めることができる。化学平衡について理解し、ギブズエネルギーと平衡定数を求めることができる。化学平衡の基本的な事項について理解し、ギブズエネルギーと平衡定数を求めることができる。化学平衡について理解できない。ギブズエネルギーと平衡定数を求めることができない。
5) コロイド粒子の基礎について理解し、説明できる。コロイド現象について正しく説明でき、運動的性質を説明できる。コロイド現象について理解でき、運動的性質を説明できる。コロイド現象について説明できない。またその運動的性質を説明できない。
6) 電池反応を理解し、ルンストの式から起電力を求めることができる。電池反応を理解し、ルンストの式から起電力を求めることができる。ネルンストの式から起電力を求めることができる。ルンストの式から起電力を求めることができない。
7) 反応次数、反応速度定数、半減期を計算することができる。アレニウスの式から活性化エネルギーを求めることができる。反応次数、反応速度定数、半減期を計算することができる。アレニウスの式から活性化エネルギーを求めることができる。反応次数、反応速度定数、半減期を計算することができる。アレニウスの式と活性化エネルギーの関係を理解できる。反応次数、反応速度定数、半減期を計算することができない。活性化エネルギーを求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

物質工学科の学習・教育到達目標 1 数学,自然科学,情報技術および物質工学基礎,無機化学Ⅰ・Ⅱ,有機化学Ⅰ・Ⅱ,分析化学Ⅰ・Ⅱ,物理化学Ⅰ・Ⅱ,生化学Ⅰ・Ⅱ,分子生物学,化学熱力学,応用数学,応用物理,物質工学実験などを通して,工学の基礎知識と応用力を身につける。
学習目標 Ⅱ 実践性
学校目標 D(工学基礎) 数学,自然科学,情報技術および工学の基礎知識と応用力を身につける
本科の点検項目 D-ⅱ 自然科学に関する基礎的な問題を解くことができる

教育方法等

概要:
物理化学をにおける「気体の性質」、「熱力学第一法則」、「熱力学第二・第三法則」、「化学平衡」、「コロイドと界面化学」、「反応速度論」についてその基本について教授する。
授業の進め方・方法:
「物理化学Ⅰ」で学習した基礎知識を基に、より実践的な内容について説明する。主に座学形式で実施し、適宜演習と課題により、その内容の理解度を高める。講義前には教科書の該当部分を予習し、授業終了後には学習内容について復習を心がけること。講義時にはノート、筆記用具、関数電卓を持参すること。ルーブリックへの評価は評価割合に従って決定する(各到達目標にについて演習・課題(20%)、中間試験(40%)、定期試験(40%)で評価し、合格点は60点以上とする)。
注意点:
評価が60点に満たない者について再試験は原則実施しないが、授業態度、授業への取組みを考慮した上で実施する場合がある。なお再試験受験者の評価は60点を越えないものとする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 気体の性質(1) 気体の法則 気体の法則を理解できる。
2週 気体の法則(2) 気体の法則と分子速度 気体の分子速度を求めることができる。
3週 気体の法則(3) 混合気体 混合気体の分圧の計算ができる。
4週 熱力学第一法則(1) 熱と仕事 熱と仕事について説明できる。
5週 熱力学第一法則(2) 熱と仕事 熱エネルギーと仕事が交換可能なことを説明できる。
6週 熱力学第一法則(3) 内部エネルギー 内部エネルギーについて説明できる。
7週 熱力学第一法則(4) エネルギー保存の法則 熱・仕事・内部エネルギーに関して、熱力学第一法則に基づいて計算から求めることができる。
8週 熱力学第一法則(5) 反応熱と熱容量 熱容量の定義と反応熱について理解できる。
2ndQ
9週 熱力学第二・第三法則(1) エントロピー変化量 化学反応におけるエントロピー変化量を計算できる。
10週 熱力学第二・第三法則(2) 第三法則とエントロピー 標準エントロピーとエントロピー変化について説明できる。
11週 熱力学第二・第三法則(3) ギブズエネルギーの定義 ギブズエネルギーについて説明できる。
12週 熱力学第二・第三法則(4) ギブスエネルギーと変化の方向 ギブスエネルギーから化学変化の方向を予測できる。
触媒の機能を熱力学的視点で説明できる。
13週 熱力学第二・第三法則(5) ギブスエネルギーと変化の方向 触媒の機能を熱力学的視点で説明できる。
14週 化学平衡(1) ルシャトリエの原理 ルシャトリエの原理について説明できる。
15週 化学平衡(2) 化学平衡と平衡定数 平衡定数を求めることができる。
16週
後期
3rdQ
1週 化学平衡(3) 平衡定数と諸条件の影響 各種条件変化に伴う平衡定数を求めることができる。
2週 化学平衡(4) 均一系と不均一系での化学平衡 均一反応、不均一反応の違いとこれら反応における平衡定数を求めることができる。
3週 コロイド界面の化学(1) コロイドとは何か  コロイドの性質を理解できる。
4週 コロイド界面の化学(2) コロイドの分類 コロイドを理解して実例を説明できる。
5週 コロイド界面の化学(3) コロイドの分子運動 コロイドの運動学的性質について説明できる。
6週 コロイドと界面の化学(4) 乳化と界面活性剤 界面活性剤の種類、性質、乳化とぬれについて説明できる。
7週 電気化学(1) ネルンストの式 ネルンストの式を用いて起電力を計算できる。
8週 電気化学(2) 平衡定数とネルンストの式① 起電力、自由エネルギー、平衡定数との関係性を説明できる。
4thQ
9週 電気化学(3) 平衡定数とネルンストの式② 電池反応の起電力、平衡定数、自由エネルギーについて計算できる。
10週 電気化学(4) 電気分解と各種実用電池 電気分解について説明できる。実用電池の種類と特徴について説明できる。
11週 反応速度論(1) 化学反応の定義 反応速度と衝突理論について説明できる。
12週 反応速度論(2) 反応次数とその特徴 各種反応における反応速度を計算から求めることができる。
13週 反応速度論(3) 反応速度とアレニウスの式 アレニウスの式より反応速度を計算することができる。
14週 反応速度論(4) 放射線の種類と半減期 放射線の種類を説明できる。半減期を計算から求めることができる。
15週 反応速度論(5) 核分裂と核融合 核分裂と核融合について説明できる。
16週

評価割合

前期中間試験前期定期試験後期中間試験後期定期試験課題(演習問題)合計
総合評価割合2020202020100
基礎的能力161616161680
専門的能力4444420