材料工学実験(材料化学コース)

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料工学実験(材料化学コース)
科目番号 S4-5810 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 8
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:8 後期:8
教科書/教材 自作テキスト,化学同人編集部編「正・続 実験を安全に行うために」(化学同人),泉 他監修「化学レポートと論文の書き方」(化学同人)/化学工学会編:「新版化学工学-解説と演習」(槙書店),Warren MaCabe, “Unit Operations of Chemical Engineering (Mcgraw-Hill Chemical Engineering Series)”,Mcgraw-Hill,2004.
担当教員 奥田 弥生

到達目標

1.分析に必要な操作が正しく行える。
2.吸光光度法で得られたデータを用いて定量,平衡定数の算出ができる。
3.基本的な高分子化合物を合成できる。
4.懸濁重合と乳化重合を実施し,生成するポリマー性状の違いを確認できる。
5.合成したポリマーの分子量を粘度法で計測し,算出することができる。
6.モノマーとポリマーのH-NMRスペクトルを説明できる。
7.感光性樹脂を合成し,その機能の発現を確認できる。
8.液晶分子を合成し,DSC測定から液晶状態を確認できる。
9.焼結体・ガラス・薄膜を作製し,機器類を用いてそれらの有する誘電特性・熱膨張係数・光触媒特性等を測定し評価できる。
10.化学工学の各テーマにおいて,実験の理論を理解し,実験から得られたデータについて工学的に考察し記述,説明ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1分析に必要な操作が正しく行える。分析に必要な操作を助言を得ながら正しく行える。助言を得ても分析に必要な操作を行えない。
到達目標2吸光光度法で得られたデータを用いて定量,平衡定数の算出ができる。吸光光度法で得られたデータを用いて助言を得ながら定量,平衡定数の算出ができる。助言を得ても吸光光度法で得られたデータを用いて定量,平衡定数の算出ができない。
到達目標3基本的な高分子化合物を合成できる。基本的な高分子化合物を助言を得ながら合成できる。助言を得ても基本的な高分子化合物を合成できない。
到達目標4懸濁重合と乳化重合を実施し,生成するポリマー性状の違いを確認できる。懸濁重合と乳化重合を実施し,生成するポリマー性状の違いを助言を得ながら確認できる。懸濁重合と乳化重合を実施し,生成するポリマー性状の違いを助言を得ても確認できない。
到達目標5合成したポリマーの分子量を粘度法で計測し,算出することができる。合成したポリマーの分子量を助言を得ながら粘度法で計測し,算出することができる。合成したポリマーの分子量を助言を得ても粘度法で計測し,算出することができない。
到達目標6モノマーとポリマーのH-NMRスペクトルを説明できる。モノマーとポリマーのH-NMRスペクトルを簡単に説明できる。助言を得てもモノマーとポリマーのH-NMRスペクトルを説明できない。
到達目標7感光性樹脂を合成し,その機能の発現を確認できる。助言を得ながら感光性樹脂を合成し,その機能の発現を確認できる。助言を得ても感光性樹脂を合成し,その機能の発現を確認できない。
到達目標8液晶分子を合成し,DSC測定から液晶状態を確認できる。助言を得ながら液晶分子を合成し,DSC測定から液晶状態を確認できる。助言を得ても液晶分子を合成し,DSC測定から液晶状態を確認できない。
到達目標9焼結体・ガラス・薄膜を作製し,機器類を用いてそれらの有する誘電特性・熱膨張係数・光触媒特性等を測定し評価できる。助言を得ながら焼結体・ガラス・薄膜を作製し,機器類を用いてそれらの有する誘電特性・熱膨張係数・光触媒特性等を測定し評価できる。助言を得ても焼結体・ガラス・薄膜を作製し,機器類を用いてそれらの有する誘電特性・熱膨張係数・光触媒特性等を測定し評価できない。
到達目標10化学工学の各テーマにおいて,実験の理論を理解し,実験から得られたデータについて工学的に考察し記述,説明ができる。化学工学の各テーマにおいて,助言を得ながら実験の理論を理解し,実験から得られたデータについて工学的に考察し記述,説明ができる。化学工学の各テーマにおいて,助言を得ても実験の理論を理解し,実験から得られたデータについて工学的に考察し記述,説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE基準1 学習・教育到達目標 (d)(2) いくつかの工学の基礎的な知識・技術を駆使して実験を計画・遂行し,データを正確に解析し,工学的に考察し,かつ説明・説得する能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (d)(4) (工学)技術者が経験する実務上の問題点と課題を解決し,適切に対応する基礎的な能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (e) 種々の科学,技術および情報を利用して社会の要求を解決するためのデザイン能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (h) 与えられた制約の下で計画的に仕事を進め,まとめる能力
物質工学科の学習・教育到達目標 2 ものづくりに関係する工学分野のうち,応用有機化学,高分子化学,品質管理,化学工学Ⅰ・Ⅱ,反応工学,機器分析,環境化学,卒業研究に加え,材料化学コースでは無機材料化学,有機材料化学,材料工学実験,生物化学コースでは遺伝子・タンパク質工学,生物工学実験などを通して,得意とする専門領域を持ち,その技術を実践できる能力を身につける。
物質工学科の学習・教育到達目標 4 体育,材料工学実験,生物工学実験,スポーツ社会科学などを通して,自身の専門領域の技術者とは勿論のこと,他領域の技術者ともチームを組み,計画的かつ円滑に仕事を遂行できる能力を身につける。
学習目標 Ⅰ 人間性
学習目標 Ⅱ 実践性
学校目標 F(専門の実践技術) ものづくりに関係する工学分野のうち,得意とする専門領域を持ち,その技術を実践できる能力を身につける
本科の点検項目 F-ⅱ 実験,演習,研究を通して,課題を認識し,問題解決のための実施計画を立案・実行し,その結果を解析できる
学校目標 I(チームワーク) 自身の専門領域の技術者とは勿論のこと,他領域の技術者ともチームを組み,計画的かつ円滑に仕事を遂行できる能力を身につける
本科の点検項目 I-ⅰ 共同作業における責任と義務を認識し,計画的かつ円滑に仕事を遂行できる能力を身につける

教育方法等

概要:
材料(主に無機材料,高分子材料)の「合成」・「物性評価」および「解析・分析」に必要な技術・知識を身に付けることを目的とする。化学工学系実験では,単位操作を中心とした学問分野の知識と実地の製造運転・プラント管理に応用するために基本的な装置および機械を使用し,理論と実測のデータとの評価と解釈に対する判断力を実践する。
授業の進め方・方法:
履修には次のものが必要である:白衣,保護メガネ,手拭い,上履き(運動靴),実験ノート(ルーズリーフは不可。厚めのノートが良い),電卓,定規,テンプレート,グラフ用紙,筆記用具。化学工学実験ではデータの整理にPCを用いることを可とする。
実験に関しては,担当教員の説明をよく聞き,安全に配慮して行うこと。
到達目標に関して実験レポートおよび実技により総合的に評価する。レポート70%、実技30%の割合で評価し,四半期ごとに100点法で採点して平均する。
合格点は60点である。ただし,正当な理由なく未提出のレポートがある場合には成績評価を60点未満とする。また,他者のレポートを写したものは評価しない。
注意点:
外靴やサンダル履きでの実験は禁止とする。携帯電話の使用および装身具類着用は実験の支障となるので禁止する。また女子学生は動き易さと安全確保の点からパンツ等の方が良い。長い髪は必ずまとめておくこと。
自学自習時間は,実験のための予習復習,理解を深めるための課題演習およびレポート作成のために最低限必要とする時間を総合したのもとする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 実験説明 実験に使用する器具・装置を理解できる。実験の方法・目的を理解できる。
2週 分析化学-1
連続変化法による錯体の組織決定
低濃度試料の分析に必要な操作が正しく行える。
3週 分析化学-2
原子吸光光度法によるマグネシウムの定量
吸光光度法で得られたデータを用いて定量・平衡定数の算出ができる。
4週 分析化学-3
溶媒抽出法によるキレート試薬の分配係数および酸解離定数の測定
低濃度試料の分析に必要な操作が正しく行える。
5週 分析化学-4
8-キノリノールによるアルミニウムの定量1
低濃度試料の分析に必要な操作が正しく行える。
6週 分析化学-4
8-キノリノールによるアルミニウムの定量1
低濃度試料の分析に必要な操作が正しく行える。
7週 レポート作成 理論・実験方法・実験結果を正しく記述できる。得られたデータについて考察し記述できる。
8週 実験説明 実験に使用する器具・装置を理解できる。実験の方法・目的を理解できる。
2ndQ
9週 高分子材料-1
ポリマーの合成
高分子化合物を合成できる。
10週 高分子材料-2
酢酸ビニルの懸濁重合と乳化重合
懸濁重合と乳化重合を実施し,生成するポリマーの性状の違いを確認できる。
11週 高分子材料-3
共重合による橋かけポリスチレンの合成
高分子化合物を合成できる。
12週 高分子材料-4
橋かけポリスチレンのスルホン化とイオン交換容量の測定
イオン交換容量を測定し,算出することができる。
13週 高分子材料-5
ポリケイ皮酸ビニルの界面重合と光橋かけ
感光性樹脂を合成し,その機能の発現を確認できる。
14週 高分子材料-6
粘度法による分子量の測定
合成したポリマーの分子量を粘度法で計測し,算出することができる。
15週 レポート作成 理論・実験方法・実験結果を正しく記述できる。得られたデータについて考察し記述できる。
16週
後期
3rdQ
1週 実験説明 実験に使用する器具・装置を理解できる。実験の方法・目的を理解できる。
2週 無機材料-1
液晶分子の合成とその特性評価
液晶分子を合成し,DSC測定から液晶状態を確認できる。
3週 無機材料-2
BaTiO3焼結体の作製,誘電特性測定及び微細構造観察
焼結体・ガラス・薄膜を作製し,機器類を用いてそれらの有する誘電特性・熱膨張係数・光触媒特性等を測定し評価できる。
4週 無機材料-3
ガラスの作製およびその熱膨張係数測定
焼結体・ガラス・薄膜を作製し,機器類を用いてそれらの有する誘電特性・熱膨張係数・光触媒特性等を測定し評価できる。
5週 無機材料-4
無機化合物の熱分析
焼結体・ガラス・薄膜を作製し,機器類を用いてそれらの有する誘電特性・熱膨張係数・光触媒特性等を測定し評価できる。
6週 無機材料-5
TiO2薄膜の光触媒特性
焼結体・ガラス・薄膜を作製し,機器類を用いてそれらの有する誘電特性・熱膨張係数・光触媒特性等を測定し評価できる。
7週 レポート作成 理論・実験方法・実験結果を正しく記述できる。得られたデータについて考察し記述できる。
8週 実験説明 実験に使用する器具・装置を理解できる。実験の方法・目的を理解できる。
4thQ
9週 化学工学単位操作-1
①円管内の対流熱伝達係数
②ボイラーの性能
実験の理論を理解し、正しいデータを得ることができる。
10週 報告会
自らの考えをまとめてプレゼンテーションできる。
11週 化学工学単位操作-2
③恒圧ろ過
④回分精留塔
実験の理論を理解し、正しいデータを得ることができる。
12週 化学工学単位操作-3
⑤固体乾燥
⑥管内の圧力損失
実験の理論を理解し、正しいデータを得ることができる。
13週 化学工学物性測定-1
⑦粉体比表面積の測定
⑧粒度分布測定
実験の理論を理解し、正しいデータを得ることができる。
14週 化学工学物性測定-2
⑨品質管理
⑩次元解析
実験の理論を理解し、正しいデータを得ることができる。
15週 レポート作成 理論・実験方法・実験結果を正しく記述できる。得られたデータについて考察し記述できる。
16週

評価割合

レポート実技合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100