到達目標
・環境の変化と物質の移動には密接な関係があることを理解できる。
・物質移動の傾向を化学平衡論により予測する方法を理解し,計算できる能力を身につける。
・地球的規模での炭酸塩の循環について説明ができる。
・化学平衡論の基礎的な知識をもとにlogC vs.pε図が作成でき,異なる環境条件下での物質の存在状態を推定することができる。
・超微量分析を行う際の基本的な注意事項を説明することができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
1.環境の変化と物質の移動には密接な関係があることを説明できる。 | 環境の変化と物質の移動には密接な関係があることを詳細に説明できる。 | 環境の変化と物質の移動には密接な関係があることを説明できる。 | 環境の変化と物質の移動には密接な関係があることを説明できない。 |
2.物質移動の傾向を化学平衡論により予測する方法を理解し,計算できる | 物質移動の傾向を化学平衡論により予測する方法を理解し,計算できる。 | 物質移動の傾向を化学平衡論により予測する方法の基本を理解し,計算できる。 | 物質移動の傾向を化学平衡論により予測する方法の基本を理解し,計算できない。 |
3.地球的規模での炭酸塩の循環について説明ができる。 | 地球的規模での炭酸塩の循環について詳細な説明ができる。 | 地球的規模での炭酸塩の循環について説明ができる。 | 地球的規模での炭酸塩の循環について説明ができる。 |
4.化学平衡論の基礎的な知識をもとにlogC vs.pε図が作成でき,異なる環境条件下での物質の存在状態を推定することができる。 | 化学平衡論の基礎的な知識をもとにlogC vs.pε図が正確に作成でき,異なる環境条件下での物質の存在状態を推定することができる。 | 化学平衡論の基礎的な知識をもとにlogC vs.pε図が作成でき,異なる環境条件下での物質の存在状態を推定することができる。 | 化学平衡論の基礎的な知識をもとにlogC vs.pε図が作成でき,異なる環境条件下での物質の存在状態を推定することができない。 |
5.超微量分析を行う際の基本的な注意事項を説明することができる。 | 超微量分析を行う際の基本的な注意事項を詳細に説明することができる。 | 超微量分析を行う際の基本的な注意事項を説明することができる。 | 超微量分析を行う際の基本的な注意事項を説明することができない。 |
学科の到達目標項目との関係
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (d)(1) 専門工学(工学(融合複合・新領域)における専門工学の内容は申請高等教育機関が規定するものとする)の知識と能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (e) 種々の科学,技術および情報を利用して社会の要求を解決するためのデザイン能力
物質工学科の学習・教育到達目標 2 ものづくりに関係する工学分野のうち,応用有機化学,高分子化学,品質管理,化学工学Ⅰ・Ⅱ,反応工学,機器分析,環境化学,卒業研究に加え,材料化学コースでは無機材料化学,有機材料化学,材料工学実験,生物化学コースでは遺伝子・タンパク質工学,生物工学実験などを通して,得意とする専門領域を持ち,その技術を実践できる能力を身につける。
学習目標 Ⅱ 実践性
学校目標 D(工学基礎) 数学,自然科学,情報技術および工学の基礎知識と応用力を身につける
本科の点検項目 D-ⅳ 数学,自然科学,情報技術および工学の基礎知識を専門分野の工学的問題解決に応用できる
学校目標 E(継続的学習) 技術者としての自覚を持ち,自主的,継続的に学習できる能力を身につける
本科の点検項目 E-ⅱ 工学知識,技術の修得を通して,継続的に学習することができる
学校目標 F(専門の実践技術) ものづくりに関係する工学分野のうち,得意とする専門領域を持ち,その技術を実践できる能力を身につける
本科の点検項目 F-ⅰ ものづくりや環境に関係する工学分野のうち,専門とする分野の知識を持ち,基本的な問題を解くことができる
教育方法等
概要:
全地球的な環境問題を把握する観点のひとつとして物質移動を取り上げる。また主に水圏について汚染の指標等を解説する。
授業の進め方・方法:
授業は教員による説明と演習,授業内容の理解度を確認する小テスト(複数回)で構成する。理解を深めるためにグラフ作成および問題演習を行わせる。
温室化効果やオゾンホールのような全地球的な問題の他,化学平衡計算に基づく炭酸(塩)化学種の消長に関する事象も扱う。局所的な環境問題としての水質汚染について,汚染の指標となるDO,BOD あるいはCOD 値の定量法を解説する他,超微量成分分析において正確な結果を得るために必要な汚染制御の基本的知識・技術も紹介する。
成績は到達目標に関する期末試験(40%),小テスト(40%)および課題(20%)で評価する。合格点は60点である。成績評価が60点に満たないものについては再試験を行うことがある。再試験の点数は小テストおよび期末試験による評価部分の差し替えのみに用いる。
注意点:
30時間以上の自学自習が必要である。分析化学Ⅰ,Ⅱで習得した知識が基礎となるので十分に復習しておくこと。また図書館やインターネットなどを利用して課題に取り組むこと。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
環境化学とは 物質の動き・正しい結果を得るということ |
環境問題を把握する重要な観点の一つとして,物質移動があることを理解できる。環境問題に的確に対応するためには,正しい情報が必要であることが理解できる。
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2週 |
地球規模の環境問題 温室化効果 |
人間の生産活動にもとづく化学物質の自然界への排出が全地球的規模の環境問題を引き起こした例を理解できる。
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3週 |
オゾンホール |
人間の生産活動にもとづく化学物質の自然界への排出が全地球的規模の環境問題を引き起こした例を理解できる。
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4週 |
酸性雨とオキシダント |
人間の生産活動にもとづく化学物質の自然界への排出が全地球的規模の環境問題を引き起こした例を理解できる。
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5週 |
.酸度,アルカリ度 定義 |
酸度・アルカリ度の定義を説明できる。
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6週 |
測定法,種類 |
酸度・アルカリ度の測定法を説明できる。自然水の 酸度・アルカリ度を支配する主要な化学種を説明でき,濃度項の式として表すことができる。
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7週 |
洞爺湖の酸性化 |
湖水の酸性化の実例を理解できる。
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8週 |
炭酸塩の化学平衡 二酸化炭素の水に対する溶解度 |
大気のCO2 分圧から雨水のpH が計算できる。
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4thQ |
9週 |
炭酸塩を含む系の化学平衡 |
閉鎖系および開放系における炭酸塩溶液の対数濃度図を描いて溶液のpH が推定できる。
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10週 |
炭酸塩鉱物と水の接触 |
炭酸塩鉱物に接触している水のpH を計算できる。
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11週 |
地球の水環境 地球の水量・平均滞留時間 |
地球規模での水環境を理解することができる。大気中の水分や,海洋水の平均滞留時間を計算できる。
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12週 |
水質を示す項目 DO,COD,BOD
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水質を示す代表的な測定項目を述べることができる。 BOD やCOD の値から汚染負荷割合を計算できる。
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13週 |
.酸化・還元状態の表し方 pεの概念,pεと電極電位との関係 |
酸化状態をpεで表わし,pεと酸化電位との関係を示すことができる。
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14週 |
logC VS.pε図の作成と利用法 |
logC vs.pε図を描き,この図から溶液内の支配的な化学種を推定できる。
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15週 |
.環境分析を行う際の諸問題 試料採取と保存法・超微量分析と汚染の制御 |
微量成分分析用の試料採取を行う際の注意事項を述べることができる。超微量成分分析を行う場合の汚染制御の考え方と具体的な方法を説明できる。
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16週 |
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評価割合
| 期末試験 | 小テスト | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 40 | 40 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 40 | 40 | 20 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |