有機材料化学(材料コース)

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 有機材料化学(材料コース)
科目番号 S5-5330 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:3
教科書/教材 西村 淳,樋口弘行,大和武彦 共著,「有機合成化学入門 -基礎を理解して実践に備える」丸善株式会社/K. P. C. Vollhardt 他著,古賀憲司他監訳「ボルハルト・ショアー現代有機化学(上・下)」(第3版)」化学同人,吉原正邦他著「有機化学演習」三共出版,稲本直樹著「反応論による有機化学」実教出版株式会社,J. McMarry 著,伊東他訳「マクマリー有機化学(上・中・下)(第3版)」東京化学同人,R. T. Morrison, R. N. Boyd 著,中西他訳「モリソン・ボイド有機化学(上・中・下)(第6版)」東京化学同人,鈴木仁美著,梅澤喜夫・大野公一・竹内敬人編,「化学入門コース5 有機合成化学」岩波書店,その他有機化学関連の参考書
担当教員 橋本 久穂

到達目標

有機合成という枠内で興味深く,かつ重要な化合物について例示できる。反応のタイプと反応機構によって化合物と官能基とを関連づけ,有機合成化学を包括的に理解して整理し,簡単な化合物について反応経路の分析と設計を実行し,その技術を実践できる能力を身につける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1有機合成という枠内で興味深く,かつ重要な化合物について例示できる。有機合成という枠内で興味深く,かつ重要な化合物について概ね例示できる。有機合成という枠内で興味深く,かつ重要な化合物について例示できない。
到達目標2反応のタイプと反応機構によって化合物と官能基とを関連づけ,有機合成化学を包括的に理解して整理できる.反応のタイプと反応機構によって化合物と官能基とを関連づけ,有機合成化学を包括的に理解して概ね整理できる.反応のタイプと反応機構によって化合物と官能基とを関連づけ,有機合成化学を包括的に理解して整理できない。
到達目標3簡単な化合物について反応経路の分析と設計を実行し,その技術を実践できる。簡単な化合物について反応経路の分析と設計を実行し,その技術を概ね実践できる。簡単な化合物について反応経路の分析と設計を実行し,その技術を実践できない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE基準1 学習・教育到達目標 (c) 数学及び自然科学に関する知識とそれらを応用できる能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (d)(1) 専門工学(工学(融合複合・新領域)における専門工学の内容は申請高等教育機関が規定するものとする)の知識と能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (d)(4) (工学)技術者が経験する実務上の問題点と課題を解決し,適切に対応する基礎的な能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (e) 種々の科学,技術および情報を利用して社会の要求を解決するためのデザイン能力
物質工学科の学習・教育到達目標 2 ものづくりに関係する工学分野のうち,応用有機化学,高分子化学,品質管理,化学工学Ⅰ・Ⅱ,反応工学,機器分析,環境化学,卒業研究に加え,材料化学コースでは無機材料化学,有機材料化学,材料工学実験,生物化学コースでは遺伝子・タンパク質工学,生物工学実験などを通して,得意とする専門領域を持ち,その技術を実践できる能力を身につける。
学習目標 Ⅱ 実践性
学校目標 E(継続的学習) 技術者としての自覚を持ち,自主的,継続的に学習できる能力を身につける
本科の点検項目 E-ⅱ 工学知識,技術の修得を通して,継続的に学習することができる
学校目標 F(専門の実践技術) ものづくりに関係する工学分野のうち,得意とする専門領域を持ち,その技術を実践できる能力を身につける
本科の点検項目 F-ⅰ ものづくりや環境に関係する工学分野のうち,専門とする分野の知識を持ち,基本的な問題を解くことができる

教育方法等

概要:
この講義では,有機化学の要点を復習したうえで,逆合成の視点から天然物の全合成を概観し,さらに最近注目されている有機機能物質や構造的に興味深い有機化合物の合成について教授する。
授業の進め方・方法:
次回講義の授業項目をシラバスで確認して,該当項目を教科書で予習すること。また,授業項目毎に演習課題を出すので,それをもとに自学自習により取り組むこと。演習課題は採点後,返却する。夏季休業中にレポートの作成を求める。レポートは添削・採点後に返却する。
定期試験では,達成目標に挙げた知識と能力が身についていることを,社会的に要求される水準(国際的な水準)以上の内容の問題の出題に十分に配慮した,試験で達成度評価を行う。 学習目標に関する内容の定期試験,中間試験,レポートにより総合評価する(定期試験 60%,中間試験 30%,レポート 10%)。合格点は 60 点である。成績評価が 60 点未満の場合は再試験(全授業項目を出題範囲とする)を実施することがある。ただし,再試験の得点は上記の定期試験と中間試験の占める割合(90%)までとし,再試験を受けた者の成績評価は 60 点を超えないものとする。
注意点:
受講にあたってはノート,筆記用具,電卓・定規を準備すること。
自学自習時間として,日常の授業のための予習復習時間,理解を深めるための演習課題,および各試験の準備のための勉強時間を総合したものとする。自学自習時間として60時間必要である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 有機材料化学とは 有機合成が何故必要か?最近の有機機能材料を調査し,説明できる。
2週 有機化合物の構造(立体化学と分子の対称性) 構造有機化学,特に立体化学について基礎的な問題を解ける。
3週 有機合成
反応(戦術)の要点,合成計画(戦略)の要点
有機合成の反応の要点と合成計画,それらを基にした合成スキームについて説明できる。
4週 合成スキームの最適化 有機合成の反応の要点と合成計画,それらを基にした合成スキームについて説明できる。
5週 骨格合成
アルドール縮合とClaisen 縮合のパターン
有機化合物の炭素-炭素結合の形成に有用な反応を例を挙げて説明できる。
6週 Michael 反応とGrignard 反応のパターン 有機化合物の炭素-炭素結合の形成に有用な反応を例を挙げて説明できる。
7週 炭素-炭素二重結合,遷移金属接触カップリング
反応
有機化合物の炭素-炭素結合の形成に有用な反応を例を挙げて説明できる。
8週 特徴的な構造をつくる炭素-炭素結合形成反応,転位反応 有機化合物の炭素-炭素結合の形成に有用な反応を例を挙げて説明できる。
2ndQ
9週 官能基変換・形成
置換反応
標的化合物のもつ官能基を整えるために既存の官能基の変換を置換反応,付加反応,酸化と還元に分類して理解できる。主要な官能基の導入法を列挙できる。
10週 酸化反応と還元反応 標的化合物のもつ官能基を整えるために既存の官能基の変換を置換反応,付加反応,酸化と還元に分類して理解できる。主要な官能基の導入法を列挙できる。
11週 炭素-炭素二重結合の変換 標的化合物のもつ官能基を整えるために既存の官能基の変換を置換反応,付加反応,酸化と還元に分類して理解できる。主要な官能基の導入法を列挙できる。
12週 天然物
エピアンドロステロン
医薬品の製造と関係が深い天然物の合成,現在社会を支える有機機能物質関連の合成を概観し,この考え方を他の有機化合物へ応用できる。
13週 (-)-アクツミン,ミクロコッシンP1,ビタミンB12 医薬品の製造と関係が深い天然物の合成,現在社会を支える有機機能物質関連の合成を概観し,この考え方を他の有機化合物へ応用できる。
14週 有機機能物質
特徴的な芳香族化合物,オリゴチオフェン,ポルフィリン,フタロシアニン
有機機能物質についてその例を挙げ,物性との関連について説明できる。
15週 興味深い構造の有機化合物
シクロファン,フラーレン(C60)誘導体
まとめ
代表的な化合物について,官能基の導入方法・変換方法を説明できる。これを利用して多様な有機分子の合成戦略と分子設計ができる。
16週

評価割合

中間試験定期試験課題・レポート合計
総合評価割合306010100
基礎的能力0000
専門的能力306010100