電気化学

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電気化学
科目番号 S5-5510 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 玉虫伶太・高橋勝緒 著「エッセンシャル電気化学」東京化学同人/アトキンス 著,「アトキンス物理化学上・下」東京化学同人,玉虫伶太 著「電気化学(第2版)」東京化学同人,吉沢四郎・渡辺信淳 編著「電気化学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」共立出版,Peter Atkins, Julio de Paula, “Atkins’Physical Chemistry”, Oxford University Press ,2004,J.Koryta, J.Dvorak, J.Kavan, “Principles of Electrochemistry 2ed”, John Wiley and Sons,1993
担当教員 奥田 弥生

到達目標

自然科学の基礎的知識の1つとして, 電気化学セルの構成を理解すること,複合領域にある化学反応とそれによって得られる電気エネルギーの関係について平衡論および速度論に基づく解釈ができ基本的な問題が解けることを目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.電極の定義を説明できる電極の定義を詳細に説明できる。電極の定義を説明できる。電極の定義を説明できない。
2.自由エネルギー変化を求めて電気化学反応の進行方向を推定することができる自由エネルギー変化を求めて複雑な系の電気化学反応の進行方向を推定することができる。自由エネルギー変化を求めて電気化学反応の進行方向を推定することができる。自由エネルギー変化を求めて電気化学反応の進行方向を推定することができない。
3.電気化学ポテンシャルを説明し見積もることができる電気化学ポテンシャルを詳細に説明し見積もることができる。電気化学ポテンシャルを説明し見積もることができる。電気化学ポテンシャルを説明し見積もることができない。
4.電池の起電力を説明し,また計算することができる電池の起電力を詳細に説明し,また計算することができる。電池の起電力を説明し,また計算することができる。電池の起電力を説明し,また計算することができない。
5.ネルンストの式により電極電位を計算できるネルンストの式により複雑な系の電極電位を計算できる。ネルンストの式により電極電位を計算できる。ネルンストの式により電極電位を計算できない。
6.プールベー図を描き,読み取ることができるプールベー図を正確に描き,読み取ることができる。プールベー図を描き,読み取ることができる。プールベー図を描き,読み取ることができない。
7.電気化学反応の速度について説明し計算ができる電気化学反応の速度について詳細に説明し計算ができる。電気化学反応の速度について説明し計算ができる。電気化学反応の速度について説明し計算ができない。
8.電極表面および溶液内部での電荷担体について説明できる電極表面および溶液内部での電荷担体について詳細に説明できる。電極表面および溶液内部での電荷担体について説明できる。電極表面および溶液内部での電荷担体について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE基準1 学習・教育到達目標 (c) 数学及び自然科学に関する知識とそれらを応用できる能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (d)(1) 専門工学(工学(融合複合・新領域)における専門工学の内容は申請高等教育機関が規定するものとする)の知識と能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (e) 種々の科学,技術および情報を利用して社会の要求を解決するためのデザイン能力
物質工学科の学習・教育到達目標 1 数学,自然科学,情報技術および物質工学基礎,無機化学Ⅰ・Ⅱ,有機化学Ⅰ・Ⅱ,分析化学Ⅰ・Ⅱ,物理化学Ⅰ・Ⅱ,生化学Ⅰ・Ⅱ,分子生物学,化学熱力学,応用数学,応用物理,物質工学実験などを通して,工学の基礎知識と応用力を身につける。
学習目標 Ⅱ 実践性
学校目標 D(工学基礎) 数学,自然科学,情報技術および工学の基礎知識と応用力を身につける
本科の点検項目 D-ⅱ 自然科学に関する基礎的な問題を解くことができる
学校目標 E(継続的学習) 技術者としての自覚を持ち,自主的,継続的に学習できる能力を身につける
本科の点検項目 E-ⅱ 工学知識,技術の修得を通して,継続的に学習することができる
学校目標 F(専門の実践技術) ものづくりに関係する工学分野のうち,得意とする専門領域を持ち,その技術を実践できる能力を身につける
本科の点検項目 F-ⅰ ものづくりや環境に関係する工学分野のうち,専門とする分野の知識を持ち,基本的な問題を解くことができる

教育方法等

概要:
電気と化学の境界領域にある電気化学は,Galvani による生物電気の発見以来200年の歴史を持つ学問である。熱力学や反応速度論を基礎とし,他の分野の技術や知見を取り入れて発展してきた。産業分野での応用も年々拡大している。ここでは電極反応に関する平衡論を中心に,電気二重層や電極反応速度について学ぶ。
授業の進め方・方法:
授業は教員による説明と演習,授業内容の理解度を確認する小テスト(複数回)で構成する。
物理化学の復習をしておくこと。電卓,グラフ用紙を用いることもあるので用意しておくこと。
成績は到達目標に関する期末試験(45%),小テスト(40%)および課題(15%)で評価する。合格点は60点である。成績評価が60点に満たないものについては再試験を行うことがある。再試験の点数は小テストおよび期末試験による評価部分の差し替えのみに用いる。
注意点:
30時間以上の自学自習が必要である。授業で配布される演習課題や予習により取り組むこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 アノード・カソードの定義、ファラデーの法則 電気化学反応の反応場である電極について,その定義を正しく理解できる。
2週 ギブスの自由エネルギーと平衡定数 電気化学反応の進行と自由エネルギー変化の関係がわかる。
3週 化学ポテンシャルと電気化学ポテンシャル 電気化学ポテンシャルの考え方を理解して見積もることができる。
4週 電池の起電力 電池の起電力が何を示すかがわかり,種々の系について計算できる。
5週 電極反応と電極電位 電極電位の考え方を理解して種々の系について計算できる。
6週 ネルンストの式(1) ネルンストの式を導出できる。
7週 ネルンストの式(2) ネルンストの式を用いて種々の系で電極電位の計算ができる。
8週 プールベー図(1) 種々の系で電位とpHの関係図が描ける。
2ndQ
9週 プールベー図(2) プールベー図から反応系の条件と安定な化学種の関連が読み取れる。
10週 電気化学反応の速度 電気化学反応の速度についての考え方が理解できる。
11週 バトラーの理論 電気化学反応の速度について,まとめられた式を利用した計算ができる。
12週 過電圧、ターフェルの式(1) 過電圧の考え方が理解し種々の系について計算できる。
13週 過電圧、ターフェルの式(2) ターフェルの式が分かり,ターフェルプロットが描ける。
14週 電気二重層 電極表面の化学種の分布状態の考え方が理解できる。
15週 電解質溶液の電気伝導性 溶液内部での電荷移動について理解し説明できる。
16週

評価割合

試験小テスト課題合計
総合評価割合454015100
基礎的能力0000
専門的能力454015100
分野横断的能力0000