到達目標
1. 錯体化学を学ぶ上で重要な用語(配位子、配位数、配座など)について説明することができる。
2. IUPAC法に基づいて錯体の命名ができる。
3. 静電的モデルおよび共有結合を用いて金属イオン-配位子の組み合わせから錯体の安定性を説明できる。
4. 2つの化学結合理論(原子価結合理論、分子軌道理論)に関する基礎的な知識を持ち,錯体の電子配置が説明できる。
5. 結晶場理論を応用して配位子場の強さから錯体の構造や磁性の傾向、色が推定できる。
6. 配位子の置換反応を用いて錯体の反応速度を説明することができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
1. 錯体化学を学ぶ上で重要な用語(配位子、配位数、配座など)について説明することができる。 | 錯体化学を学ぶ上で重要な用語(配位子、配位数、配座など)について全て説明することができる。 | 錯体化学を学ぶ上で重要な用語(配位子、配位数、配座など)のうち内、半数の用語について説明することができる。 | 錯体化学を学ぶ上で重要な用語(配位子、配位数、配座など)の内、半数の用語について説明することができない。 |
2. IUPAC法に基づいて錯体の命名ができる。 | IUPAC法に基づいて、複雑な構造の錯体を命名することができる。 | IUPAC法に基づいて、簡単な構造の錯体を命名することができる。 | IUPAC法に基づいて、簡単な構造の錯体を命名することができない。 |
3. 静電的モデルおよび共有結合を用いて金属イオン-配位子の組み合わせから錯体の安定性を説明できる。 | 静電的モデルおよび共有結合を用いて金属イオン-配位子の組み合わせから錯体の安定性を説明できる。 | 静電的モデルおよび共有結合を用いた錯体の安定性を説明できる。 | 静電的モデルおよび共有結合を用いた錯体の安定性を説明できない。 |
4. 2つの化学結合理論(原子価結合理論、分子軌道理論)に関する基礎的な知識を持ち,錯体の電子配置が説明できる。 | 2つの化学結合理論(原子価結合理論、分子軌道理論)に関する基礎的な知識を持ち,錯体の電子配置が説明できる。 | 2つの化学結合理論(原子価結合理論、分子軌道理論)の違いを説明できる。 | 2つの化学結合理論(原子価結合理論、分子軌道理論)の違いを説明できない。 |
5. 結晶場理論を応用して配位子場の強さから錯体の構造や磁性の傾向、色が推定できる。 | 結晶場理論を応用して配位子場の強さから錯体の構造や磁性の傾向、色が推定できる。 | 結晶場理論、配位子場理論を説明できる。 | 結晶場理論、配位子場理論を説明できない。 |
6. 配位子の置換反応を用いて錯体の反応速度を説明することができる。 | 配位子の置換反応を用いて錯体の反応速度を説明することができる。 | 2つの配位子置換反応の機構について違いを説明できる。 | 2つの配位子置換反応の機構について違いを説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (d)(1) 専門工学(工学(融合複合・新領域)における専門工学の内容は申請高等教育機関が規定するものとする)の知識と能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (d)(4) (工学)技術者が経験する実務上の問題点と課題を解決し,適切に対応する基礎的な能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (e) 種々の科学,技術および情報を利用して社会の要求を解決するためのデザイン能力
物質工学科の学習・教育到達目標 2 ものづくりに関係する工学分野のうち,応用有機化学,高分子化学,品質管理,化学工学Ⅰ・Ⅱ,反応工学,機器分析,環境化学,卒業研究に加え,材料化学コースでは無機材料化学,有機材料化学,材料工学実験,生物化学コースでは遺伝子・タンパク質工学,生物工学実験などを通して,得意とする専門領域を持ち,その技術を実践できる能力を身につける。
学習目標 Ⅱ 実践性
学校目標 D(工学基礎) 数学,自然科学,情報技術および工学の基礎知識と応用力を身につける
本科の点検項目 D-ⅳ 数学,自然科学,情報技術および工学の基礎知識を専門分野の工学的問題解決に応用できる
学校目標 E(継続的学習) 技術者としての自覚を持ち,自主的,継続的に学習できる能力を身につける
学校目標 F(専門の実践技術) ものづくりに関係する工学分野のうち,得意とする専門領域を持ち,その技術を実践できる能力を身につける
本科の点検項目 F-ⅰ ものづくりや環境に関係する工学分野のうち,専門とする分野の知識を持ち,基本的な問題を解くことができる
教育方法等
概要:
・金属錯体を対象とし,錯体を構成する金属や配位子の種類と錯体の安定度について理解する。
・2つの化学結合理論について初歩的なことを理解する。
・錯体の中心原子の電子配置と配位子置換の反応速度との関係を理解する。
授業の進め方・方法:
・演習問題への取り組みおよび発表,中間・定期試験により総合的に達成度を評価する(課題への取り組みおよび発表:20%,中間試験35%,定期試験45%の割合)。合格点は60点以上である。
・再試験は,学業成績の評価点が40点以上60点未満の者を対象として行うことがあり,試験分(80%分)の再評価をするものとする。再試験を受けた学生の成績評価は60点を超えないものとする。
注意点:
・分析化学および無機化学で習得した知識が基礎となるので,関連科目を復習し講義に臨むこと。図書館やインターネットを活用して関連事項を参照したり,自学自習に取り組むことが必要である(30時間以上の自学自習を必要とする)。
・教科書は用意していないので,自分で作成したノートが教科書代わりとなる。講義を聴き,きちんとノートを取ること。なお,講義の理解を深めるためにプリントは適宜配布する。
・授業中もしくは授業外の課題として演習問題に取り組み、半期を通して最低1人1回は発表する(評価の発表点となる)。
・講義時には,ノート,電卓,定規を準備すること。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
錯体とはー配位子、配位数、配座ー |
錯体化学を学ぶ上で,重要な用語(配位子,配位数,配座)を説明することができる。
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2週 |
錯体の命名 |
IUPAC法に基づいた錯体の命名ができる。
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3週 |
錯体の安定度と金属イオンの種類(1) |
静電的モデルで錯体の安定性について説明することができる。
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4週 |
錯体の安定度と金属イオンの種類(2) |
共有結合を使って錯体の安定性を説明することができる。
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5週 |
錯体の安定度と金属イオンの種類(3) |
エントロピー変化の観点から錯体の安定性を説明できる。
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6週 |
金属錯体の電子構造 |
有効原子番号を計算することができる。
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7週 |
原子価結合理論 |
原子価結合理論を用いて内軌道錯体,外軌道錯体と電子配置の関係が説明できる。
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
結晶場理論(1) |
d電子数からCFSEが計算できる。低スピン錯体,高スピン錯体の電子配置が書ける。
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10週 |
結晶場理論(2) |
結晶場分裂の大きさを決める要因について説明することができる。
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11週 |
配位子場理論 |
分子軌道理論を理解し,配位子場理論を説明できる。
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12週 |
遷移金属錯体の吸収スペクトル(色)と磁性 |
配位子場の強さから錯体の色や磁性について説明することができる。
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13週 |
反応速度の定義 |
活性化エネルギー,反応エネルギーと錯体の反応速度との関連が説明できる。
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14週 |
置換活性と置換不活性錯体 |
置換活性と置換不活性の定義が説明できる。錯体を置換活性,置換不活性に分類できる。
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15週 |
置換反応の機構 |
2つの置換反応(解離、会合)の機構について説明することができる。トランス効果を用いて平面四角形錯体の構造を決定できる。
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16週 |
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評価割合
| 中間試験 | 定期試験 | 発表 | 合計 |
総合評価割合 | 35 | 45 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 25 | 30 | 10 | 65 |
専門的能力 | 10 | 15 | 10 | 35 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |