セルロース工学

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 セルロース工学
科目番号 0004 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 教科書:磯貝 明編集 「セルロースの科学」 朝倉書店 / 参考図書:1)セルロース学会編「セルロースの事典」朝倉書店 2)越島哲夫他著「機能性セルロース(CMCテクニカルライブラリー)」シーエムシー出版 3)磯貝 明著「セルロースの材料科学」東京大学出版会 4)船岡正光監修「木質系有機資源の有効利用技術(地球環境シリーズ)」シーエムシー出版 5)本武明他編著「天然・生体高分子材料の新展開(CMCテクニカルライブラリー)」シーエムシー  6)飯塚尭介監修「ウッドケミカルスの最新技術」シーエムシー出版  7)阿武喜美子,瀬野信子著「糖化学の基礎」講談社  8)浅岡久俊著「化学セミナー14 糖質」丸善株式会社 9)後藤良造他著「単糖類の化学」丸善株式会社 10)E.Sjostrom,“Wood Chemistry:Fundamentals and Applications”,John Wiley & Sons,1987      
担当教員 清水 祐一

到達目標

1.自然界におけるセルロースの所在,存在量およびその精製法について説明できる。
2.セルロースが古くから人間に利用されてきた材料であり,現在も様々な分野で利用されていることを具体例をあげて説明できる。
3.グルコースの分子構造を基本とし,セルロースおよび関連多糖類の分子構造についてその類似性,相違点を説明できる。
4.糖質の光学異性体の種類とその特徴について具体例をあげて説明できる。
5.セルロースおよび関連多糖類の分子構造と高次構造形成について説明できる。
6.セルロースの基本的誘導体の種類および誘導体の置換度について説明できる。
7.セルロース誘導体の調製法,性質および利用分野を説明できる。
8.セルロースおよびセルロース誘導体の高機能的利用形態について具体例をあげ,それらの特徴を説明できる。
9.セルロース性バイオマス資源をその由来,特徴から分類し,それらの特性を説明することができる。
10.バイオマスのエネルギー利用技術および地球環境問題との関連について説明することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1自然界におけるセルロースの所在,存在量およびその精製法について説明できる。 自然界におけるセルロースの所在,存在量およびその精製法について概ね説明できる。 自然界におけるセルロースの所在,存在量およびその精製法について説明できない。
評価項目2セルロースが古くから人間に利用されてきた材料であり,現在も様々な分野で利用されていることを具体例をあげて説明できる。 セルロースが古くから人間に利用されてきた材料であり,現在も様々な分野で利用されていることを具体例をあげて概ね説明できる。 セルロースが古くから人間に利用されてきた材料であり,現在も様々な分野で利用されていることを具体例をあげて説明できない。
評価項目3グルコースの分子構造を基本とし,セルロースおよび関連多糖類の分子構造についてその類似性,相違点を説明できる。 グルコースの分子構造を基本とし,セルロースおよび関連多糖類の分子構造についてその類似性,相違点を概ね説明できる。 グルコースの分子構造を基本とし,セルロースおよび関連多糖類の分子構造についてその類似性,相違点を説明できない。
評価項目4糖質の光学異性体の種類とその特徴について具体例をあげて説明できる。 糖質の光学異性体の種類とその特徴について具体例をあげて概ね説明できる。 糖質の光学異性体の種類とその特徴について具体例をあげることができす説明できない。
評価項目5セルロースおよび関連多糖類の分子構造と高次構造形成について説明できる。 セルロースおよび関連多糖類の分子構造と高次構造形成について概ね説明できる。 セルロースおよび関連多糖類の分子構造と高次構造形成について説明できない。
評価項目6セルロースの基本的誘導体の種類および誘導体の置換度について説明できる。 セルロースの基本的誘導体の種類および誘導体の置換度について概ね説明できる。 セルロースの基本的誘導体の種類および誘導体の置換度について説明できない。
評価項目7セルロース誘導体の調製法,性質および利用分野を説明できる。 セルロース誘導体の調製法,性質および利用分野を概ね説明できる。 セルロース誘導体の調製法,性質および利用分野を説明できない。
評価項目8セルロースおよびセルロース誘導体の高機能的利用形態について具体例をあげ,それらの特徴を説明できる。 セルロースおよびセルロース誘導体の高機能的利用形態について具体例をあげ,それらの特徴を概ね説明できる。 セルロースおよびセルロース誘導体の高機能的利用形態について具体例をあげることができず,それらの特徴を説明できない。
評価項目9セルロース性バイオマス資源をその由来,特徴から分類し,それらの特性を説明することができる。 セルロース性バイオマス資源をその由来,特徴から分類し,それらの特性を概ね説明することができる。 セルロース性バイオマス資源をその由来,特徴から分類できず,それらの特性を説明することができない。
評価項目10バイオマスのエネルギー利用技術および地球環境問題との関連について説明することができる。 バイオマスのエネルギー利用技術および地球環境問題との関連について概ね説明することができる。 バイオマスのエネルギー利用技術および地球環境問題との関連について説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 セルロースは代表的な天然高分子材料の一つであり,紙・パルプ,繊維として大量に使用されているほか,様々な誘導体として幅広い分野で利用されている。また,地球上に大量に存在し,かつ再生産が可能なことから今後も有望な有機資源として期待されている。本講義ではセルロースおよび関連多糖類について,自然界における分布,資源量および構造・物性などの基礎科学から始め,誘導体の種類とその調製法およびそれらの特性と工学的利用形態までを教授する。さらに,セルロース性バイオマスが,その特性から今後のエネルギー資源,化学(炭素)資源としての大きな可能性を持っていることについても触れる。
授業の進め方・方法:
 本科で学んだ有機化学、生化学(特に糖質)および高分子化学の基礎知識を前提に主としてパワーポイントを使用した座学形式で行う。テキストの他に授業の理解を助ける参考プリントを配布する。それぞれの授業項目(1~5)を学習後,各「到達目標」の内容について,各自の視点から整理してまとめる(再確認を行う)こと。このまとめレポートの提出により自学自習時間の一部を確認し,その分の評価を行う。  評価は定期試験80%,まとめレポートへの取組み(提出状況と内容)20%とし,合格点は60点以上である。
注意点:
 プリントを綴じるファイルを用意すること。 まとめレポートの作成および試験の準備等により自学自習を行うこと取り組むこと(60時間の自学自習が必要です)。 再試験は原則行わない。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 セルロース資源とその利用-1-
セルロースの分布と存在量、精製法
自然界におけるセルロースの所在,存在量およびその精製法について説明できる。
2週 セルロース資源とその利用-2-
セルロースの利用とその歴史
セルロースが古くから人間に利用されてきた材料であり,現在も様々な分野で利用されていることを具体例をあげて説明できる。
3週 セルロースの構造と物性-1-
糖質の一次構造と光学異性体
グルコースの分子構造を基本とし,セルロースおよび関連多糖類の分子構造についてその類似性,相違点を説明できる。
糖質の光学異性体の種類とその特徴について例をあげて説明できる。
4週 セルロースの構造と物性-2-
セルロースおよび関連多糖類の一次構造
セルロースおよび関連多糖類の分子構造と高次構造形成について説明できる。
5週 セルロースの構造と物性-3-
セルロースの結晶構造および微細構造
同上
6週 セルロースの化学反応-1-
誘導体の概要
セルロースの基本的誘導体の種類および誘導体の置換度について説明できる。
7週 セルロースの化学反応-2-
エステル誘導体
セルロース誘導体の調製法,性質および利用分野を説明できる。
8週 セルロースの化学反応-3-
エーテル誘導体
同上
4thQ
9週 セルロースの機能化-1-
分離膜
セルロースおよびセルロース誘導体の高機能的利用形態について具体例をあげ,それらの特徴を説明できる。
10週 セルロースの機能化-2-
微結晶セルロース
同上
11週 セルロースの機能化-3-
光学分割剤
同上
12週 セルロースの機能化-4-
その他の誘導体
同上
13週 セルロース性バイオマス資源-1-
種類とその特徴
セルロース性バイオマス資源をその由来,特徴から分類し,それらの特性を説明することができる。
14週 セルロース性バイオマス資源-2-
変換技術
バイオマスのエネルギー利用技術および地球環境問題との関連について説明することができる。
15週 セルロース性バイオマス資源-3-
今後の展望
同上
16週 定期試験

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000