1. 一般的な分野の英文の内容を日本語で説明できる。
2. 専門分野の英文の内容を日本語で説明できる。
3. 英文を通して,言語及び国内外の社会や文化について深く理解できる。
4. 標準的な単語や文法を理解した上で,長文の読解と聴解ができる。
5. 英語で簡単なコミュニケーションをとることができる。
概要:
「応用英語Ⅱ」では高専本科と大きく視点を変えて,「言語とは何か」「英語とはどんな言語か」をテーマに,認知科学の視点も加え,英語の意味や句構造を分析し,言語学的知見がどういう点で科学技術(eg. 翻訳機)に貢献できるかを考える。たとえば,コンピュータが急速に発達した20世紀後半には科学技術系の研究者だけでなく,人文社会科学系の学者たちも大学を辞めて企業での研究開発に従事した。たとえば,変形文法を研究していたPaul M. PostalはMITを辞職してIBMで,認知心理学の立場からユーザビリティを研究していたDonald A. NormanはUCSDを辞職してApple Computerで研究開発に参加した。これらの例からも分かるように,日本の旧制高等学校時代以来の伝統である文系・理系という分類に惑わされることなく,学際的な研究こそが現代に必要とされているものである。本講義で従来とは異なる視点から英語を学ぶことは,今まで当然と思っていたことに新たな切り口で分析を加えることであり,そこに発見があるということを知る機会でもある。なお,本講義はTOEICテストのリーディング・セクションに特に有効である。
授業の進め方・方法:
「学生の輪読」「教授者の解説」「質疑応答」を授業の進め方の基本的柱とする。内容は,(1)言語とは何か(2)言語と文化,言語習得(3)言語の構成部門(4)言語分析と応用(5)言語と認知,という5つの分類から構成されている。本科の5年間では扱われなかったテーマも多いため,言語について本科では光が当たらなかった側面に戸惑うことも予想される。そのため,参考図書などを大いに活用して,内容理解に努める必要がある。なお,本講義は読解力の養成ばかりではなく,学際的な研究の意味,分析の方法,論文の書き方などを習得することも目的とする。再試験については必要により期末に1回実施するが,授業への取り組み姿勢が著しく良くない者は対象から除くものとする。
注意点:
望まれる英語力・理解力を身につけるためには,毎回予習(自学自習)をしなければならない。自学自習は半期60時間に設定してあるが,それ以上の時間を参考図書や関係資料にあたることに費やす必要がある。望ましい講義には,教授者と学習者の双方向の積極的な姿勢が求められる。そのため,講義での取り組み姿勢を重視する。あわせて,特別研究などの英文アブストラクトが書けるように,文構成を意識して読解に取り組むことが望まれる。なお,TOEIC対策については講義で若干触れるが,基本的には市販教材等を用いて各自が進路実現に向けて計画的に取組む必要がある。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
Ch. 1 The Study of Language Ch. 2 British English and American English
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精読ができる。 内容を理解し大意をまとめることができる。
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2週 |
Ch. 3 English as a World Language Ch. 4 Cultural Perspectives of Language |
内容について適切に発表することができる。 文脈を理解し内容について説明できる。
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3週 |
認知言語学1:有界性,イメージ・スキーマ TOEIC模擬試験
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言語研究における認知科学的分析を理解できる。
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4週 |
Ch. 5 Registers Ch. 6 Linguistic Categorization
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内容について適切に発表することができる。 中級段階に向けての英語運用力がある。
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5週 |
Ch. 7 Language Acquisition by Children Ch. 8 The Study of Sounds |
日本語と英語の違いを理解できる。
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6週 |
Ch. 9 Names in English Ch. 10 Borrowing in a Language |
英語の要約を聞いて理解できる。
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7週 |
Ch. 11 Linguistic Diversity Ch. 12 The Study of Meaning |
百科辞典的知識を読解に援用できる。
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8週 |
Ch. 13 Japanese English Ch. 14 Word Formation |
日本語と英語の違いを理解できる。 中級段階に向けての英語運用力がある。
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4thQ |
9週 |
Ch. 15 Sounds and Spelling in English Ch. 16 The Significance of Language Learning |
文脈を理解し内容について説明できる。 英語の構造について文法的な分析できる。
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10週 |
Ch. 17 Learning a Foreign Language Ch. 18 Slang |
百科辞典的知識を読解に援用できる。 中級段階に向けての英語運用力がある。
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11週 |
認知言語学2:メタファー,図と地 TOEIC模擬試験
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言語研究における認知科学的分析を理解できる。
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12週 |
Ch. 19 Language and Computers Ch. 20 English in Scotland |
内容を理解し大意をまとめることができる。 内容について適切に発表することができる。 文脈を理解し内容について説明できる。
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13週 |
Ch. 21 Pidgin English Ch. 22 English and its Related Languages |
文脈を理解し内容について説明できる。 中級段階に向けての英語運用力がある。
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14週 |
Ch. 23 Modern Linguistics
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精読ができる。 英語の構造について文法的な分析できる。
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15週 |
応用認知言語学
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認知科学の知見を英語学習に応用できる。
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16週 |
後期定期試験
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 英語 | 英語運用能力の基礎固め | 英語のつづりと音との関係を理解できる。 | 4 | |
英語の標準的な発音を聴き、音を模倣しながら発声できる。 | 4 | |
英語の発音記号を見て、発音できる。 | 4 | |
リエゾンなど、語と語の連結による音変化を認識できる。 | 4 | |
語・句・文における基本的な強勢を正しく理解し、音読することができる。 | 4 | |
文における基本的なイントネーションを正しく理解し、音読することができる。 | 4 | |
文における基本的な区切りを理解し、音読することができる。 | 4 | |
中学で既習の1200語程度の語彙を定着させるとともに、2600語程度の語彙を新たに習得する。 | 4 | |
自分の専門に関する基本的な語彙を習得する。 | 4 | |
中学校で既習の文法事項や構文を定着させる。 | 4 | |
高等学校学習指導要領に示されているレベルの文法事項や構文を習得する。 | 4 | |
英語運用能力向上のための学習 | 相手が明瞭に毎分100語程度の速度で、自分や身近なことについて基本的な表現を用いて話す場合、その内容を聴いて理解できる。 | 4 | |
自分や身近なことについて、前もって準備をすれば毎分100語程度の速度で約1分間の口頭説明ができる。 | 4 | |
相手が明瞭に毎分100語程度の速度で、繰り返しや言い換えを交えて話し、適切な助言、ヒント、促しなどが与えられれば、自分や身近なことについて口頭で簡単なやり取りや質問・応答ができる。 | 4 | |
相手が明瞭に毎分120語程度の速度で、自分や身近なこと及び自分の専門に関する簡単な情報や考えを話す場合、その内容を聴いて理解できる。 | 4 | |
自分や身近なこと及び自分の専門に関する情報(例:実験成果など)や考えについて、前もって準備をすれば毎分120語程度の速度で約2分間の口頭説明ができる。 | 4 | |
相手が明瞭に毎分120語程度の速度で、繰り返しや言い換えを交えて話し、適切な助言、ヒント、促しなどが与えられれば、自分や身近なこと及び自分の専門に関する簡単な情報や考えについて口頭でやり取りや質問・応答ができる。 | 4 | |
毎分100語程度の速度で平易な物語文などを読み、その概要を把握できる。 | 4 | |
自分や身近なことについて100語程度の簡単な文章を書くことができる。 | 4 | |
毎分120語程度の速度で物語文や説明文などを読み、その概要を把握できる。 | 4 | |
自分や身近なこと及び自分の専門に関する情報や考えについて、200語程度の簡単な文章を書くことができる。 | 4 | |