熱統計力学

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 熱統計力学
科目番号 0022 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 阿部龍蔵著 「熱統計力学」 裳華房
担当教員 加藤 初儀

到達目標

1) 統計力学の理解のために必要な熱力学第一法則・第二法則,Gibbs-Helmholtzの関係式等に関する熱力学を理解する。
2) 小正準集団などの古典統計力学を理解し,物理量の初歩的平均計算が行える。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.統計力学の理解のために必要な熱力学第一法則・第二法則,Gibbs-Helmholtzの関係式等に関する熱力学を理解する。統計力学と熱力学をつなぐGibbs-Helmholtzの関係式等を算出できる.熱力学第一法則・第二法則を用いた定量的計算ができる.熱力学第一法則と第二法則を微分形式で表せない.
2.小正準集団などの古典統計力学を理解し,物理量の初歩的平均計算が行える。二準位系や調和振動の量子論的統計力学に関する基礎的計算ができる.小正準集団に関する計算ができる.小正準集団に関する計算ができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
熱力学の基礎的事項を確認した後に,古典統計力学の小正準集団を中心として講義する.また,量子力学的統計力学の概要についても論ずる.
授業の進め方・方法:
はじめに,数学および熱学の基礎を確認し,熱力学第1法則と第2法則を学び,エントロピー等の各種熱力学関数を用いて物理系の巨視的状態とその変化を表現できることを理解する。次に,微視的な古典統計力学に進む。ここでは,小正準集団・正準集団・大正準集団の配置数や分配関数を用いて,気体等に対する物理量の平均値の算出ができることを学ぶ。なお,量子統計力学の古典統計力学との比較にも触れるが,基礎的事項の解説にとどめる。
注意点:
履修前に,偏微分及び全微分等の解析学的数学基礎,および確率・統計学の基礎(場合の数,ガウス分布等)を十分に復習して授業に臨むこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 温度と熱現象 熱学的基礎の確認を行う。
2週 熱力学第一法則 多様な状態方程式が考案されていることを知る。
3週 比熱とMayerの関係式 熱的な状態量と状態変化を知る。
4週 第二法則とエントロピー Clausiusの関係式を知る。
5週 自由エネルギー 熱力学第二法則を定量的に表現でき,理想気体
entropy変化が算出できるようになる。
6週 Maxwellの関係式とエネルギー方程式 偏微分を用いた熱力学の基礎的計算ができるようになる。
7週 Gibbs-Helmholtzの関係式 統計力学で必要になる基本的な関係式を知る.
8週 Lagrangeの未定乗数法 Lagrangeの未定乗数法が熱平衡の古典統計力学でどの様に用いられているか理解する。
2ndQ
9週 小正準集団と分配関数 Gibbs-Helmholtz の関係式など,熱力学と統計力学とを対応づける関係式が算出できるようになる。
10週 小正準集団と分配関数 種々の物理系で物理量の平均値を分配関数から導出できるようになる。
11週 小正準集団と分配関数 種々の物理系で物理量の平均値を分配関数から導出できるようになる
12週 小正準集団と分配関数 種々の物理系で物理量の平均値を分配関数から導出できるようになる
13週 小正準集団と分配関数 種々の物理系で物理量の平均値を分配関数から導出できるようになる
14週 統計力学の発展 正準集団や大正準集団の概念を知る。
15週 統計力学の発展と量子統計力学 量子粒子系の初歩的概念を知る。
16週 定期試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について理解している。4前1
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを理解している。4前4
物体の熱容量と比熱について理解している。4前3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。4前3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを理解している。4前1,前15
ボイルの法則、シャルルの法則を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。4前1
気体の内部エネルギーについて理解している。4前2
熱力学第一法則について理解している。4前2,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを、具体例を挙げて説明できる。4前1
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。4前4
熱機関について理解し、熱効率に関する計算ができる。4前1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60000040100
基礎的能力60000040100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000