弾性学

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 弾性学
科目番号 AE3620 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 井上達雄著,弾性力学の基礎,日刊工業新聞社/Timoshenko,S.P. and Goodier,J.N., Theory of Elasticity, McGRAW-HILL
担当教員 淺野 政之

到達目標

1) 設計,研究で遭遇する工学問題を認識し,弾性学の必要性を理解できる.
2) 応力,ひずみとそれらが満たすべき条件を理解できる.
3) 有限要素法の原理,工学問題への適用法,結果を理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1:3次元2階のテンソル成分の座標変換(直角座標,円柱座標,球座標間)をできるか.諸量(力,応力,変位,ひずみ成分)に加え平衡方程式を座標変換できる.与えられた座標系の諸量(力,応力,変位,ひずみ成分)を他の座標系の成分に変換できる.与えられた座標系の力,応力,変位,ひずみ成分を他の座標系の成分に変換できない.
評価項目2:微小体積の力の釣合いから応力の平衡方程式を誘導できるか.直角座標系における応力の平衡方程式を誘導し,Navierの方程式に変換できる.直角座標系における応力の平衡方程式を誘導できる.直角座標系における応力の平衡方程式を誘導できない.
評価項目3:変位ベクトルからひずみテンソルを誘導できるか.直角座標系における微小変形理論のひずみテンソルを誘導でき,その工学的意味を説明できる.直角座標系における微小変形理論のひずみテンソルを誘導できる.直角座標系における微小変形理論のひずみテンソルを誘導できない.
評価項目4:等方弾性材料の応力とひずみの関係を説明できるか. 線形弾性体における応力,ひずみ関係の弾性係数が81個から等方弾性体で2個になることを説明できる. 線形弾性体における応力,ひずみの関係を弾性係数(E,n)と(m,l)を用いて説明できる. 線形弾性体における応力,ひずみの関係を弾性係数(E,n)と(m,l)を用いて説明できない.
評価項目5:仮想仕事の原理を説明し、式表示できるか. 仮想仕事の原理から最小ポテンシャルエネルギーの原理を導き,境界値問題との関係を説明できる. 仮想仕事の原理を説明し,外部仮想仕事から内部仮想仕事の式を誘導できる. 仮想仕事の原理を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

JABEE基準1 学習・教育到達目標 (d)(1) 専門工学(工学(融合複合・新領域)における専門工学の内容は申請高等教育機関が規定するものとする)の知識と能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (e) 種々の科学,技術および情報を利用して社会の要求を解決するためのデザイン能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (g) 自主的,継続的に学習できる能力
JABEE基準1 学習・教育到達目標 (h) 与えられた制約の下で計画的に仕事を進め,まとめる能力
学習目標 Ⅱ 創造性
専攻科の点検項目 D-4 数学,自然科学,情報技術および工学の基礎知識を応用し,設計・システム系,情報・論理系,材料・バイオ系,力学系,社会技術系の工学的問題を解決できる
専攻科の点検項目 E-2 工学知識,技術の修得を通して,自主的・継続的に学習することができる
専攻科の点検項目 F-1 ものづくりや環境に関係する工学分野のうち,選択した領域の専門分野の知識を持ち,基本的な問題を解くことができる

教育方法等

概要:
 本科で材料力学や構造力学を履修したことのない学生をも対象としているため,古典的な二次限弾性論の適用例を割愛し,研究,開発,設計に不可欠な解析力養成のためエネルギー原理とその有限要素法による弾性解析への適用に対する理解に重点を置く.まず応力,ひずみなどのテンソル量を扱うためのテンソル解析を概括し,応力,ひずみの厳密な定義,構成式,ひずみエネルギー,仮想仕事の原理,最小ポテンシャルエネルギーの原理と境界値問題,有限要素法の原理を講義する.また,SOLidWorksによる解析実習で理解を深める.
授業の進め方・方法:
 弾性学は実際の設計で広く使用されている有限要素法を理解するために不可欠である.まず,材料力学とは異なる観点から応力,ひずみを定義し,境界条件,平衡条件,適合条件,応力とひずみの関係,エネルギー原理,有限要素法の原理について講義する.また,応力解析,構造設計の実践力を養うため,有限要素法による応力解析演習を行う.講義は板書を基本とし,理解を深めて解析力を養うため,基礎式や原理の誘導,展開などは課題とする.
注意点:
 物理,力学,線形代数,微分・積分,偏微分方程式,ベクトル解析の基礎知識が必要である.講義は基礎から始めるが,本科で学習した数学の知識を総合的に使用するので,理解には自学自習による基礎式の誘導,展開,例題解法が不可欠で,課題を課す.課題は添削して目標を達成したことを確認し,評価法に従って成績に反映する.
JABEE学習・教育到達目標評価 : 定期試験(D-4,E-2,F-1,60%),課題・演習(D-4,E-2,F-1,40%)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 1. 弾性学序論
2-1 総和規約
2週 2-2 座標変換
3週 2-3 スカラー,ベクトル,テンソル
2-4 商法則と縮約
テンソルを用いた方程式の表記法を理解し,直角座標のテンソルを円柱座標,球座標のテンソルに変換できる.
4週 3-1 応力
3-2 平衡方程式
5週 3-2 平衡方程式
3-3 コーシーの関係
応力テンソルの定義を理解し,微小体積の力の釣合いから応力の平衡方程式を誘導できる.
6週 4-1 変形
4-2 ひずみ
7週 4-3 ひずみの適合方程式
5-1 弾性材料と線形理論
変形の定義を理解し,ひずみテンソルとそれが満たすべき方程式(適合方程式)を誘導できる.
8週 5-2 等方弾性体の構成式
4thQ
9週 5-3 変位で表した平衡方程式
5-4 応力で表した適合方程式
等方線形弾性材料の応力とひずみの関係を誘導できる.
10週 6-1 ひずみエネルギ
6-2 仮想仕事の原理
11週 6-2 仮想仕事の原理
6-3 最小ポテンシャルエネルギの原理
12週 6-3 最小ポテンシャルエネルギーの原理
7-1 有限要素法の原理
ひずみエネルギーを理解し,仮想仕事の原理と最小ポテンシャルエネルギーの原理を説明できる.
13週 7-1 有限要素法の原理
7-2 方程式の離散化と剛性方程式
14週
7-2 方程式の離散化と剛性方程式
仮想仕事の原理から有限要素法の剛性方程式が導かれることを理解し,説明できる.
15週 7-3 有限要素法による応力解析
16週 定期試験

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60400000100
基礎的能力3020000050
専門的能力3020000050
分野横断的能力0000000