物理化学特論

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物理化学特論
科目番号 0007 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:教員自作資料を使用/参考図書:1)日本放射線技術協会「放射化学」オーム社、2)窪田宣夫編、岩波茂ら著「放射線生物学」医療科学社、3)多田順一郎著「わかりやすい放射線物理学」オーム社、4)日本ラジオアイソトープ協会「密封線源の基礎第4版」丸善、5)NHK取材班「被曝治療83日間の記録」岩波出版、6)Gregory Choppin, et al., Radiochemistry and Nuclear Chemistry, Academic Press, 2013.
担当教員 甲野 裕之

到達目標

1. ラジオアイソトープの物理,化学および生物の知識・技術を身につけることでその利用の意義を述べることができる。
2. 放射線測定器の原理、測定方法を理解し、地球環境におけるラジオアイソトープの存在を正しく認識することができる。
3. ラジオアイソトープの取り扱いについて,地球環境の保持および法令に基づいた手続きなど利用における諸問題を整理しそれぞれに対応して必要な解決策を導くことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ラジオアイソトープの物理,化学および生物の知識・技術を身につけることでその利用の意義を説明できる。ラジオアイソトープの物理,化学および生物の知識・技術を身につけることでその利用の意義を概ね説明できる。ラジオアイソトープの物理,化学および生物の知識・技術を身につけることでその利用の意義を説明できない。
評価項目2放射線測定器の原理、測定方法を理解し、地球環境におけるラジオアイソトープの存在を正しく説明できる。放射線測定器の原理、測定方法を理解し、地球環境におけるラジオアイソトープの存在を概ね説明できる。放射線測定器の原理、測定方法を理解し、地球環境におけるラジオアイソトープの存在を説明できない。
評価項目3ラジオアイソトープの取り扱いについて,地球環境の保持および法令に基づいた手続きなど利用における諸問題を整理しそれぞれに対応して必要な解決策を導くことができる。 ラジオアイソトープの取り扱いについて,地球環境の保持および法令に基づいた手続きなど利用における諸問題を整理しそれぞれに対応して必要な解決策を概ね導くことができる。 ラジオアイソトープの取り扱いについて,地球環境の保持および法令に基づいた手続きなど利用における諸問題を整理しそれぞれに対応して必要な解決策を導くことができない。

学科の到達目標項目との関係

Ⅰ 人間性
Ⅱ 創造性
Ⅲ 国際性

教育方法等

概要:
この科目は企業で分析機器とその応用開発を担当していた教員が、その経験を活かし、各種分析手法の基礎となる物理化学について講義形式で授業を行うものである。
放射線や放射性同位元素は、医療、製造、製薬、化学工業、農業、園芸などのさまざまな応用分野で利用されている。この講義では、物理化学視点に基づき放射化学の基礎知識を身につけ、放射化学に関する基礎学力を習得することを目標とする。

 
授業の進め方・方法:
講義を中心に授業を進めるが,適宜演習を行う。
本科で学習した物理化学の知識をベースに、放射線取扱の基礎として、放射化学関連する講義を行う。主に放射性核種、放射崩壊の種類、放射化学分離等の放射化学の講義を行う。理工学、医学、農学への応用について学習する。主としてパワーポイントを用いた座学形式で実施し、テキスト、参考資料はその都度配布する。この科目は学修単位科目のため,事前・事後学習として動画の視聴および課題を課す。この他,日常の授業(30時間)のための予習復習時間を総合し,60時間の自学自習時間が必要である。
注意点:
学業成績が60点未満のものに対して総合レポートを課し,ルーブリックの標準的な到達度レベルを満足していることが確認できた場合60点とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1.放射物理化学序論
1-1.放射線の発見とその歴史
・近代放射物理学の概略について説明できる。
・具体的な放射線の応用例を説明できる。
2週 1.放射物理化学序論
1-2.放射線の種類とその特徴
・各種放射線の種類とその特徴を説明できる。
3週 1.放射物理化学序論
1-3.原子と原子核
1-4.放射線壊変と壊変図表の解釈
・原子核の構造、核力、結合エネルギーについて説明できる。
・中性子、陽子のエネルギー準位を説明できる。
・放射線の壊変機構を理解したうえで、壊変図表を説明できる。
4週 1.放射物理化学序論
1-5.壊変の指数法則と半減期
1-6.放射線と物質の相互作用
・放射性核種の崩壊過程を理解し、その指数法則と半減期を説明できる。
・放射線の減衰挙動について計算、グラフ化できる。
・各放射線と物質の相互作用について説明できる。
5週 2.放射物理化学
2-1.放射線と加速器
2-2.核反応~核分裂と核融合
・核分裂反応と原子炉について説明できる。
・加速器、シンクロトロン、サイクロトロンのしくみとその意義を説明できる。
・核融合反応を理解し、説明できる。
6週 2.放射物理化学
2-3.ラジオアイソトープの製造方法
2-4.ラジオアイソトープの精製分離法
2-5.標的化学と放射性純度
・核反応による原子番号、質量数の増減について説明できる。
・標的化学反応と有機化学反応の違いについて説明できる。
・RIの分離精製法と分析化学手法の違いについて説明できる。
7週 3.放射線生物学
3-1.放射線量
3-2.被ばく
3-3.急性障害と半数致死線量
・医療行為における放射線の応用について説明できる。
・農業分野における放射線の応用について説明できる。
・各種線量の定義ができる。
・外部被ばくによる急性障害、半数致死線量を説明できる。
8週 3.放射線生物学
3-4.放射線障害
3-5.組織・臓器における放射線傷害
3-6.内部被ばくと集積臓器
・放射線量と生物学的影響の関係を説明できる。
・急性障害と晩発製障害の違いを説明できる。
・確定的影響と遺伝的影響を説明できる。
・放射線による各組織と臓器への影響の違いについて説明できる。
・内部被ばくと外部被ばくの半減期、臓器への集積性の違いについて説明できる。
2ndQ
9週 4.放射線検出技術
4-1.放射線モニタリングの重要性
4-2.放射線検出器
・環境放射線とそのモニタリング法について説明できる。
・放射線の検出法の違いについて説明できる。
10週 4.放射線検出技術
4-3.電離箱による検出
4-4.比例計数管と気体増幅
・電離箱の原理を説明できる。
・各比例計数管による増幅度の違いと対象放射線について説明できる。
11週 4.放射線検出技術
4-5.半導体による放射線検出
4-6.蛍光検出
・半導体による放射線高感度検出法を説明できる。
・放射線による蛍光発生について説明できる。
12週 4.放射線検出技術
4-7.シンチレーターとその特徴
4-8.蛍光ガラス検出
4-9.放射線の写真作用と化学作用による検出法
・各種シンチレータの特徴について説明できる。
・輝尽性発光機構について説明できる。
・蛍光ガラスの原理を説明できる。
・フィルムバッジ、化学線量計の検出機構が説明できる。
13週 5.放射線量とその測定法
5-1.照射線量測定
5-2.吸収線量
5-3.実効線量
・各種放射線検出器によって得られるデータから線量を算出できる。
・人体ファントムを用いた吸収線量決定法を説明できる。
14週 5.放射線量とその測定法
5-4.放射線スペクトル
5-5.中性子線スペクトル
・各種放射線スペクトルの特徴を理解し、その解釈を説明できる。
・飛行時間法を用いた中性子スペクトルの特徴を説明できる。
15週 6.放射線管理技術
6-1.密封線源とその管理法
6-2.密封線源利用技術
6-3.法令
・放射線管理技術について、線源の管理、法令から説明できる。
・密封線源の応用について実例を挙げ、説明できる。
16週

評価割合

演習問題・レポートプレゼンテーション合計
総合評価割合8020100
基礎的能力301040
専門的能力501060
分野横断的能力000