1. 力学的エネルギー保存則について理解し,運動に関わる物理量を算出できる.
2. 剛体が静止する条件を理解し,力のつり合い・力のモーメントのつり合いを立式できる.
3. 放物運動,円運動,単振動,万有引力に関わる物理現象を基本法則に基づいて理解できる.
4. 熱と温度に関する諸現象を基本法則に基づいて理解し,気体の比熱・温度・体積・圧力を算出できる.
5. 正しく安全な実験操作を行い,実験方法・過程・結果を適切に報告書にまとめることができる.
概要:
物理現象を実体験として理解し,それを数量的,数式的にとらえる能力を養う.
科学的思考力を養うとともに,学ぶことの楽しさを実感してほしい.
物理A(2年生)では物理(1年生)の継続として主に力学,後期後半は応用物理(3年生)への接続として熱力学を扱う.
*この科目は釧路工業高等専門学校数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)構成科目のひとつである.
授業の進め方・方法:
教師からの説明を最小限に行い,各自が演習問題を解くことを通して物理法則の理解・定着を図ります.
問題を解き,質問し,教え,相談する姿勢が必要とされますので,日常から安心して語り合える人間関係を築くように生活してください.
授業で扱った問題をその日のうちに再度解き直すことで,知識・計算技術の定着を図ってください.
【準備するもの】教科書,ノート,ファイル・バインダー(演習プリントの整理),関数電卓
【合否判定】定期試験(4回)75%,その他の課題(レポート,小テスト等)25%で評価し,満点の6割以上を合格とする.
各定期試験100点満点のうち20点分は物理量(名称・量記号・単位記号,その英綴り)に関する小テストを事前に行う.
ただし,実験レポートが提出されていない場合については他の評価項目に関わらず不合格とする.
【再試験】得点率が6割未満の範囲の試験を受け,60点以上を合格とする.
【最終評定】合否判定点と同じ.ただし再試験で合格した者は60点とする.
注意点:
【前関連科目】物理(1年生) 【関連科目】物理B(2年生) 【後関連科目】応用物理(3,4年生)
【コミュニケーション】誤った理解・先入観に気づくためには,他者とのコミュニケーションが不可欠です.授業やその他の機会を使って,級友との学び合い,先輩や先生へ質問をしてください.
【日々の勉強】学問の約束事や公式は「暗記・活用・理解」を繰り返すことで知識として定着します.専門用語の英単語を覚えることで量記号や公式を覚えやすくなります.図書館やインターネット上の教材も積極的に活用してコツコツと繰り返し勉強してください.
【試験で必要な力】状況設定を読み取る「言葉の力」,どの法則を用いるべきかを「選択する力」,法則に沿って立式し解を求める「計算する力」が必要となります.自分の弱点を意識して勉強してください.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 仕事・仕事率の確認 pp.94-99 力学的エネルギー pp.100-107 |
仕事と仕事率を算出できる. 運動エネルギー,位置エネルギー(重力,弾性力)を算出できる.
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2週 |
力学的エネルギー保存則 pp.108-116 |
力学的エネルギー保存則を立式し,さまざまな物理量を求めることができる. 摩擦力による熱エネルギーを計算することができる.
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3週 |
◆演習◆ 前期1ー2週 |
前期1ー2週に関連する問題を解くことができる.
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4週 |
ベルトル(位置,速度,力) pp.20-24, 35-37 |
物理量をベクトル(図,成分)として表記できる. ベクトルの加減算により相対速度を求めることができる.
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5週 |
力のつり合い pp.38-55 |
力のつり合いをベクトル(図,成分)として計算できる.
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6週 |
力のつり合い pp.38-55 |
力のつり合いをベクトル(図,成分)として計算できる.
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7週 |
◆演習◆ 前期4−6週 |
前期4−6週に関連する問題を解くことができる.
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8週 |
《《《《 前期中間試験 》》》》実施する |
50分試験
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2ndQ |
9週 |
答案返却・解説 力のモーメント(資料配布) |
力のモーメントを求めることができる.
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10週 |
剛体のつり合い(資料配布) |
剛体における力のつり合いを立式することができる.
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11週 |
重心(資料配布) |
幾何学的な図形の重心を算出できる.
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12週 |
◆演習◆ 前期9−11週
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前期9−11週に関連する問題を解くことができる.
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13週 |
等速度・等加速度運動の確認 pp.8-19 自由落下・鉛直投射 pp.25-28 |
1次元の等速度・等加速度運動に関する計算ができる. 自由落下,鉛直投げ上げ運動での物体の座標・速度・時間に関する計算ができる.
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14週 |
水平投射・斜方投射 pp.28-32 |
水平投射・斜方投射での物体の座標・速度・時間に関する計算ができる.
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15週 |
◆演習◆ 前期13−14週 |
前期13−14週に関連する問題を解くことができる.
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16週 |
《《《《 前期期末試験 》》》》実施する |
50分試験
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後期 |
3rdQ |
1週 |
答案返却・解説 等速円運動 pp.118-126 |
等速円運動の速度・角速度・周期・回転数を相互変換できる.
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2週 |
等速円運動 pp.118-126 |
等速円運動の加速度・向心力を計算できる.
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3週 |
万有引力の法則 pp.140-156 |
万有引力の大きさ・位置エネルギーを計算できる. 惑星・衛星の運動を等速円運動として計算できる
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4週 |
単振動 pp.127-138 |
単振動の変位・速度・加速度・力の関係を説明できる. 単振子,ばね振子の周期を求めることができる.
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5週 |
◇実験◇ 単振動(単振子,ばね振子) p.132, pp.136-137 |
単振子の周期を測定し,重力加速度を求める. ばね振子の周期を測定し,ばね定数を求める.
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6週 |
単振動 pp.127-138 |
単振動の変位・速度・加速度・力の関係を説明できる. 単振子,ばね振子の周期を求めることができる.
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7週 |
◆演習◆ 後期1−6週 |
後期1−6週に関連する問題を解くことができる.
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8週 |
《《《《 後期中間試験 》》》》実施する |
50分試験
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4thQ |
9週 |
答案返却・解説 熱と温度,比熱と熱容量 pp.10-16 |
原子・分子の熱運動と熱・温度の関連を説明できる. 比熱・熱容量を用いた計算ができる.
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10週 |
熱量保存則 pp.17-18 |
熱量保存則の式を立てて,比熱測定の原理を説明できる.
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11週 |
◇実験◇ 比熱の測定 pp.14-18 |
金属試料の比熱・密度を測定し,金属の種類を推定する.
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12週 |
熱膨張,熱の伝導の仕方 pp.22-28 |
熱膨張立を用いた計算がきる. 熱伝導・熱放射・対流を説明できる.
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13週 |
圧力 pp.30-32 浮力 |
圧力の定義式を用いた計算ができる. 水に沈めた物体の浮力を求めることができる.
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14週 |
ボイル・シャルルの法則 pp.33-37 理想気体の状態方程式 pp.37-39 |
ボイル・シャルルの法則,状態方程式を用いて,気体の温度・圧力・体積・物質量を計算できる.
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15週 |
◆演習◆ 後期9−14週 |
後期9−14週に関連する問題を解くことができる.
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16週 |
《《《《 後期期末試験 》》》》実施する |
50分試験
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 速度と加速度の概念を説明できる。 | 3 | 前4,前7,前13,前15 |
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。 | 3 | 前13,前15 |
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。 | 3 | 前4,前7 |
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | 前13,前15 |
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | 前14,前15 |
物体に作用する力を図示することができる。 | 3 | 前5,前6,前7 |
力の合成と分解をすることができる。 | 3 | 前5,前6,前7 |
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。 | 3 | 前5,前6,前7 |
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。 | 3 | 前5,前6,前7 |
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。 | 3 | 前5,前6,前7 |
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。 | 3 | 前5,前6,前7 |
最大摩擦力に関する計算ができる。 | 3 | 前5,前6,前7 |
仕事と仕事率に関する計算ができる。 | 3 | 前1,前2,前3 |
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | 前1,前2,前3 |
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | 前1,前2,前3 |
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | 前1,前2,前3 |
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | 前2,前3 |
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。 | 3 | 後4,後7 |
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。 | 3 | 後4,後7 |
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。 | 3 | 後1,後2,後7 |
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる. | 3 | 後3,後7 |
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | 後3,後7 |
力のモーメントを求めることができる。 | 3 | 前9,前10,前12 |
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。 | 3 | 前10,前12 |
重心に関する計算ができる。 | 3 | 前11,前12 |
熱 | 原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。 | 3 | 後9,後12,後15 |
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。 | 3 | 後10,後12,後15 |
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。 | 3 | 後10,後15 |
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。 | 3 | 後9,後10,後15 |
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。 | 3 | 前2,前3,後15 |
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。 | 3 | 後13,後14,後15 |
物理実験 | 物理実験 | 測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。 | 3 | 後5,後11 |
安全を確保して、実験を行うことができる。 | 3 | 後5,後11 |
実験報告書を決められた形式で作成できる。 | 3 | 後5,後11 |
有効数字を考慮して、データを集計することができる。 | 3 | 後5,後11 |
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | 後5 |
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | 後11 |
工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 2 | 後5,後11 |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 2 | 後5,後11 |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 2 | 後5,後11 |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 2 | 後5,後11 |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 2 | 後5,後11 |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 2 | 後5,後11 |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 2 | 後5,後11 |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 2 | 後5,後11 |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 2 | 後5,後11 |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 2 | 後5,後11 |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 2 | 後5,後11 |