創造ものづくり設計工学

科目基礎情報

学校 釧路工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 創造ものづくり設計工学
科目番号 0045 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学分野 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:講義形式分は自作テキスト,グループワーク分も自作テキストを配布する.参考書:実教出版機械設計1,2の2冊
担当教員 高橋 剛,小杉 淳

到達目標

1.機械設計の考え方およびそれに関連する実践知識を広く修得し,創造的な設計能力を身につけることができる.
2.設計課題をグループワークにより,実際の企業で実施されているような設計プロセスを踏まえ,創造的な設計提案を行うことができる.その作業を通じて,自分の考えを正しくグループメンバーに伝えるコミュニケーション能力を発揮することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1機械設計およびそれに付随する知識を広く修得し,実践的な設計能力を身につけ説明ができる.機械設計およびそれに付随する知識を広く修得し,実践的な設計能力について理解できる.機械設計およびそれに付随する知識を広く修得できない.
評価項目2創造的な設計提案を行い,自分の考えを正しくグループメンバーに伝えることができる.創造的な設計提案を行い,自分の考えを正しくグループメンバーに伝えることを教員サポートがあればできる.創造的な設計提案を行い,自分の考えを正しくグループメンバーに伝えることを教員サポートがあってもできない.
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 C 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 D 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
現代の機械設計技術者には,機械工学の各種力学や製図以外にも,安全工学や環境問題,生産システムなど多くの知識が必要になり,それらの知識を総合的に用いることによって創造的な設計が可能になる.そこで,この科目の約2/3はこれらの知識と創造力を融合したPBL (Problem Based Learning:課題解決型あるいは課題提案型)型課題をグループワークで取り組み,工学の根底にある既存技術の有機的活用によるものづくり設計能力を身につける.グループワークは,企業技術者にとって最も重要とされるコミュニケーション能力を鍛えることにも繋がる.残りの約1/3はこれら設計者が具備すべき設計周辺の知識を講義形式で修得する.この科目は担当教員2名とも,過去にそれぞれの製造企業で設計を担当した経験を持ち,そのときのノウハウやイデオロギーを積極的に伝授できる背景がある.
授業の進め方・方法:
最初の11週は,グループ単位で与えられた課題に取り組み,設計提案を行う.提案までの設計プロセスは,製造企業において一般的に行われている手順を踏んで行う.成果は個人別レポートとグループ単位で発表会内容による.残りの4週は,ものづくりの設計に関して基礎的事項から最近の思想に至るまでを事例・図表・写真等を豊富に利用して分かりやすく解説し,実践的内容も加え新たな興味をも惹起させる.理解度を確認するため,テーマ毎に小テストを都度行う.
成績評価方法:講義形式分の小テスト素点平均を30点,残りのグループワーク分を70点とする.グループワークの評価は以下の通り.①個人設計を行い,自分の考えをまとめることができた(10%),②グループ設計において最後まで互いを尊重して作業を進めることができた(30%),③わかり易く報告書を書き,期日までに提出できた(20%),④グループ設計での貢献度(他者からの評価も含む(10%).以上,報告書の提出を前提にトータル60点以上を合格とする.不合格者は,上記個別で59%以下の項目に対し,担当教員指示に従って課題に対応し,再評価にて60点以上を超えることを合格条件とする.
関連科目 (2,3年)機械設計法Ⅰ,機械設計法Ⅱ,(3年)機械工作法, (4年)生産工学
注意点:
前半のグループワークのアイデア出しにブレーンストーミングを用いるので,他人任せにせず,積極的に参加すること.レポートは各自,発表はグループ単位で行う.
後半の座学においては,定期試験を実施しないので,都度の小テストが重要な意味を持つ.従って,毎回授業の予習・復習を励行する必要がある.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・シラバス説明
・PBL(コンテナの有効活用・・グループ別発表)
グループワークのガイダンスと課題説明
・PBL(コンテナ有効活用・・・即席発表会)
・地場産業としてのビジネスモデル・・コンテナ活用し事業化のためのアイデア討論_ブレーンストーミング形式
・機械創造設計とグループ設計の重要性が理解でき説明できる.
2週 グループ分け,設計テーマの提示と説明,質疑応答,知的財産権の重要性と授業内特許の説明 設計テーマの意図が理解できる.知的財産権の重要性と授業内特許制度が理解できる.
3週 グループ設計作業-1【ピンポン玉を運搬する機械】 与えられたテーマと解決すべき問題について説明できる.知的財産権の重要性と授業内特許のルールが説明できる.
4週 グループ設計作業-2 グループ内の役割分担が明確になり,各自の作業準備と課題の洗い出しができる.
5週 グループ設計作業-3(1stチェック) グループで設計した機構について,設計レギュレーションを満たし,機構等に問題点がないか一回目の教員チェックに向けたプレゼン資料を作成でき,論理だった説明を行うことができる.
6週 グループ設計作業-4 グループ設計作業を通し,自分の意見を明確に相手に伝えられる.また,簡単な実験を通し考えた機構の確証実験や問題点の抽出・確認などを行い,設計にフィードバックできる.
7週 グループ設計作業-5 グループ設計作業を通し,自分の意見を明確に相手に伝えられる.また,簡単な実験を通し考えた機構の確証実験や問題点の抽出・確認などを行い,設計にフィードバックできる.
8週 グループ設計作業-6 グループ設計作業を通し,自分の意見を明確に相手に伝えられる.また,簡単な実験を通し考えた機構の確証実験や問題点の抽出・確認などを行い,設計にフィードバックできる.
2ndQ
9週 前期中間試験 実施しない
10週 グループ設計作業-7 グループ設計作業を通し,自分の意見を明確に相手に伝えられる.また,簡単な実験を通し考えた機構の確証実験や問題点の抽出・確認などを行い,設計にフィードバックできる.
11週 プレゼンテーション 最終プレゼンに向けた資料作成を行うことができる.プレゼンにあたって資料やVTRなどにわかりやすい工夫を行うことができる.
12週 報告書の作成 グループで取組んだ設計テーマの結果について,文章と図面でわかり易く報告書にまとめることができる.プレゼンテーションの質疑応答で改善を求められた設計の改良提案を行うことができる.
13週 ・ものつくりの始めに設計がある
・ その物の形をまず安全に作る
○物つくりの最初にある「設計」の概念を整理して,本コースにおける各レッスンの位置付けを明らかにする.○機械設計で最も基本となるのは,各部の強さを適切に保持できるか否かであり,設計者の大きな責任の一つである. 設計の基礎として, 負荷の種類と材料の強さとの関係を各種データと図解で理解できる.
14週 ・壊れた機械から教わる. ○大小を問わず、建造物から移動体に至るまで、その設計には種々の配慮がなされている。しかしそれらが使用されている間に故障、破壊、損傷などを起こし、事故に至る事例が数多くある。これらを文献から掘り下げ、解析し、再発防止のための改良設計がいかに成されて来たかを解説する.
15週 ・設計技術者は次代へ向かう ○設計者は単なる図面作成者(製図作業者)ではない.物つくりの最前線で営業・生産・開発などと連携して信頼おける製品開発に努める.そのため設計技術者は,技術知識に留まらず内外社会と強く係りを持ち,高度な技術倫理を持つ必要がある.近年の動きと視点を整理できる.
16週 ・作り易い製品にするために ○製造に配慮した設計の進め方と,これを支援する設計評価法の考え方と使い方を理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野製図図面の役割と種類を適用できる。4
製図用具を正しく使うことができる。4
線の種類と用途を説明できる。4
物体の投影図を正確にかくことができる。4
機械設計標準規格の意義を説明できる。4
許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。4
標準規格を機械設計に適用できる。4
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。4
ボルト・ナット結合における締め付けトルクを計算できる。4
ボルトに作用するせん断応力、接触面圧を計算できる。4
軸の種類と用途を理解し、適用できる。4
軸の強度、変形、危険速度を計算できる。4
キーの強度を計算できる。4
軸継手の種類と用途を理解し、適用できる。4
滑り軸受の構造と種類を説明できる。4
転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。4
歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。4
すべり率、歯の切下げ、かみあい率を説明できる。4
標準平歯車と転位歯車の違いを説明できる。4
標準平歯車について、歯の曲げ強さおよび歯面強さを計算できる。4
歯車列の速度伝達比を計算できる。4
リンク装置の機構を理解し、その運動を説明できる。4
代表的なリンク装置の、変位、速度、加速度を求めることができる。4
カム装置の機構を理解し、その運動を説明できる。4
主な基礎曲線のカム線図を求めることができる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合30201010300100
基礎的能力0000000
専門的能力30201010300100
分野横断的能力0000000