流体工学II

科目基礎情報

学校 釧路工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 流体工学II
科目番号 0074 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学分野 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:単位が取れる流体力学ノート 著者:武居昌宏 発行所:講談社 ,参考書: ①水力学(改訂・SI版) 著者:生井武文ほか 発行所:森北出版 ,②水力学(基礎と演習) 著者:北川能監修ほか 発行所:パワー 社 ,③例題と演習・水力学  著者:中村克孝ほか 発行所:パワー社
担当教員 小杉 淳

到達目標

流体工学Ⅰで学んだ知識をベースとして,境界層の概念および流体抵抗の原因,翼に楊力が生じる理由について理解できる. また,渦運動や渦が強くかかわる流体現象を説明できる.さらに流体の相似則および次元解析について理解し説明できる.教科書・演習問題の65%以上の問題を解くことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1境界層の重要性,流体抵抗および揚力の発生機構について理解・説明でき,それぞれ応用的な計算問題を解くことができる.境界層,流体抵抗および揚力について理解でき,それぞれ基本的な計算問題を解くことができる.境界層,流体抵抗および揚力について理解できず,簡単な計算問題を解くことができない.
評価項目2渦の作用および種類について理解・説明でき,自由渦および強制渦,さらにはそれらを組み合わせた応用的な計算問題を解くことができる. 渦の作用および種類について理解でき,自由渦および強制渦の基本的な計算問題を解くことができる. 渦の作用および種類について理解できず,評価に必要な計算をおこなうことができない.
評価項目3重要な無次元数および次元解析について理解・説明でき,それらを用いた応用的な計算問題を解くことができる. 重要な無次元数および次元解析について理解でき,それらを用いた基本的な計算問題を解くことができる.無次元数および次元解析について理解できず,簡単な計算問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 D 説明 閉じる
JABEE d-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
流体工学は,機械系力学の基礎科目であり、現在、産業界のあらゆる範囲で活用される応用範囲の 広い学問である.流体工学Ⅰの継続授業として,流体工学で重要となる基礎事項とし,各種流体現象とその背景にある物理的法則の理解,さらにそれらの応用問題を解くことができる能力を養う.
授業の進め方・方法:
授業は教科書に沿った自作のプリント配布し,プロジェクターを利用して行う.資料には空欄があり,プロジェクター見ながらそして話し聞きながら適宜必要なことを書き込んでいく.ほぼ毎回授業に沿った演習を別途配布する問題用紙で行う.演習の際には必要に応じ,グループを作りアクティブラーニング的に行うこともある.
合否判定:2回の定期試験の平均点が60点以上を合格とする。
最終評価:(前期中間+前期末) /2 +演習問題レポート(max10点)
再試験:前期で学習する全範囲が対象となる.前期末再試験および学年末再試験を行う.   
合否は受験しなければならない試験すべてが60点以上であること.
注意点:
4年生の流体工学Ⅰの内容を十分理解していることが望ましい.授業では頻繁に演習問題を解くので関数電卓は必ず用意しておくこと.授業で出される演習問題については予習復習を行い,理解を高めること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 境界層-1(境界層の概念とダランドールのパラドックスおよび流体力の関係) 境界層の概念と工学上の重要性および,ダランベールのパラドックスと流体力の関係を説明できる.
2週 境界層-2(平板境界層上の境界層暑さ) 99%境界層暑さ,排除暑さ,運動量暑さの違いと必要性を理解でき,速度分布からそれぞれの厚さを計算で求めることができる.
3週 境界層-3(境界層による摩擦応力) 摩擦応力の発生について説明でき,層流と乱流に分けて計算で求めることができる.
4週 境界層-4(境界層の剥離とその制御方法) 境界層の剥離のメカニズムと剥離がもたらす現象について説明できる.また,剥離を防止する技術について説明できる.
5週 物体周りの流れ-1(抗力と揚力) 流体から物体が受ける抗力と揚力について説明でき,揚力・抗力係数を使い,揚力や抗力を計算で求めることができる.
6週 物体周りの流れ-2(円柱周りの流れとカルマン渦) 円柱周りの流れをレイノルズ数を変数に説明できる.また,カルマン渦の工学上の重要性について説明できる.
7週 総合演習-1 学習した範囲の演習問題を解くことjができる.
8週 前期中間試験を実施する
2ndQ
9週 物体周りの流れ-3(球に作用する流体力) 球の周りの流れと流体力についてレイノルズ数の変化から説明できる.
10週 物体周りの流れ-4(翼に発生する揚力とマグナス効果および変化球) 翼に生じる揚力について,循環の概念を使いクッタ・ジューコフスキーの原理から説明できる.マグナス効果から変化球の仕組みについて説明できる
11週 渦流れ-1(渦の効果,循環と渦度) 渦の作用とその効果について説明でき,渦を表す物理量である,循環と渦度について説明できる.
12週 渦流れ-2(自然渦,強制渦,組合せ渦) 自然渦,強制渦,組合せ渦の違いや速度分布,圧力分布の違いについて説明できる.渦の速度変化を計算で求めることができる.
13週 流れの相似則 レイノルス数,マッハ数,フルード数の物理的な意味と相似則の関係について説明でき,それらを計算で求めることができる.
14週 次元解析 次元解析の利用方法と基礎的な計算方法が説明できる.簡単な次元解析計算をおこなうことができる.
15週 総合演習-2 学習した範囲の演習問題を解くことjができる.
16週 前期末試験を実施する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。4
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。4
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。4
パスカルの原理を説明できる。4
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。4
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。4
物体に作用する浮力を計算できる。4
定常流と非定常流の違いを説明できる。4
流線と流管の定義を説明できる。4
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。4
オイラーの運動方程式を説明できる。4
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。4
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。4
層流と乱流の違いを説明できる。4
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。4
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。4
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。4
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。4
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合100000100110
基礎的能力0000000
専門的能力100000100110
分野横断的能力0000000