電磁気学IV(旧カリ)

科目基礎情報

学校 釧路工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 電磁気学IV(旧カリ)
科目番号 0024 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子工学分野 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 テキスト: ”電気磁気学” ,小塚 洋司,森北出版. 参考書: ”詳解 電気磁気学演習” ,後藤 憲一,山崎 修一郎,共立出版; ”マクグロウヒル大学演習電磁気学” ,J. A. Edminister 著,村﨑 憲雄他 共訳,オーム社 など
担当教員 松本 和健

到達目標

1. 電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて説明でき,磁界の基礎知識として応用することができる..
2. 磁界中の電流に作用する力やローレンツ力を説明できる.
3. 磁性体と磁化,及び,磁束密度を説明できる.
4. 自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる.
5. 磁気エネルギーを説明できる.
6. 電磁誘導を説明でき,誘導起電力を計算できる.自己誘導と相互誘導を説明でき,自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて解析でき,有限長の直線導体やループコイルを組み合わせた電流の作る磁界の計算できる.ビオ・サバールの法則を理解でき,有限長の直線導体やループコイルの電流の作る磁界の計算できる.ビオ・サバールの法則を理解できない.
評価項目2複数の電流が作る磁界中の電流に作用する力のベクトルの向きと大きさを解析できる.磁界や電界中の電子の運動・軌道を計算できる.磁界中の電流に作用する力のベクトルの向きと大きさを計算し理解できる.ローレンツ力を説明できる.磁界中の電流や運動電子に作用する力のベクトルの向きや大きさを理解できない.
評価項目3磁性体と磁化,及び磁束密度を,透磁率と磁化率を用いて磁界から計算できる.磁性体における透磁率と磁化率,及び,磁界と磁束密度,磁化の違いを式を用いて説明できる.磁性体と磁化,及び,磁束密度を理解できない.
評価項目4磁界解析を理解して,磁束鎖交数と電流の関係から自己インダクタンス及び相互インダクタンスを計算できる.磁界が作る磁束鎖交数を理解し,インダクタンスを計算できる.インダクタンスを計算できない.
評価項目5インダクタンスに蓄えられる磁気エネルギーを解析できる.磁気エネルギーの計算式を用いて説明することができる.磁気エネルギーを説明できない.
評価項目6電磁誘導の応用を理解でき,磁界が変動する場合や磁気回路が変化する場合,相互インダクタンスを介する場合などの誘導起電力を計算できる.電磁誘導の式が書け,計算することができる.自己誘導と相互誘導の違いに関連付けて自己インダクタンスと相互インダクタンスの違いを理解できる.電磁誘導を計算することができない.電磁誘導とインダクタンスの関係を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 C 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
第4学年までで学習した数学,応用物理,電子回路,電気回路の知識に基づき,特に電磁気学Ⅰ~Ⅲで学んだ電界・磁界の基礎概念を発展させ,電界,磁界といった場の概念を理解する.第5学年以降における電磁波工学,制御工学,半導体工学,電子計測などの応用分野の基礎を修得する.この科目では,主に磁界の力,インダクタンス,電磁誘導について学習する.
授業の進め方・方法:
座学中心である.
半年に五回の小テストによる自己学習を課し,各自ができるだけ多くの問題を解くことで理解を深めてもらう.電磁気学は電子工学を理解する上での基礎教科の一つであり,電気系の技術者としてどのような職種についても必要な知識や,電界と磁界の概念の理解の入門となる.
合否判定:2回の定期試験の結果の平均が60点以上であること.
最終評価:2回の定期試験の結果の平均(90%)と課題(6回の小テスト)提出の結果(10%)の合計.
再試験: 定期試験ごとに合格点に満たない者に再試験を行う.この再試験の受験資格は全ての課題提出を条件とする.再試は合格点を60点とし,最高60点で定期試験に加味し,再試を考慮して合否判定に合格した場合は最終評価を60点とする.合否判定後に合格点に満たない場合の再試験範囲はこの科目の全範囲とし合格点を60点とする.
(関連科目:電気回路,電子回路,電磁気学Ⅰ- Ⅲ,電磁波工学,電子材料,半導体工学,電子計測)
注意点:
第4学年までに習った,キャパシタンスとインダクタンスといった基本的なデバイスは,それぞれ電界と磁界を学習することで,その本質が理解できるようになります.今までに学習したことよりも抽象的な概念について学習することになりますが,電子工学の基礎科目の一つですので,確実に理解するように努力してください.
電磁気学関係では多くの問題集がありますので,レベルに合わせて様々な問題にチャレンジすることもこの科目を理解する方法です.
授業の演習や,試験では関数電卓を使用して計算しますので,必ず準備してください.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 真空中の磁界2
ビオサバールの法則
ビオサバールの法則から電流が作る磁界を計算できる.
2週 真空中の磁界2
ビオサバールの法則の演習
ビオサバールの法則を用いて有限長の直線導体や円形導体に流れる電流が作る磁界を計算できる.
(小テスト1)
3週 真空中の磁界2
磁界中の電流に作用する力
磁界中の電流に作用する力の向きを理解し,力の大きさを計算できる.
4週 真空中の磁界2
ローレンツ力
磁界中の電流に作用する力の演習
磁界や電界中の電子に作用する力について理解し,その運動や軌道を計算できる.
(小テスト2)
5週 磁性体
磁性体と磁束密度・磁化,及び透磁率・磁化率,減磁率
磁界に関する媒体としての磁性体の磁界中での役割を各種係数を用いて理解できる.
(小テスト3)
6週 磁性体
磁気回路
磁性体の境界
磁気閉回路の計算を電気的等価回路とキルヒホッフ則から計算できる.磁性体の境界での磁界と磁束密度の保存について理解できる.
(小テスト4)
7週 ベクトルポテンシャル
磁界と磁位・磁荷・磁気モーメント
磁界とベクトルポテンシャル
磁気モーメント,ベクトルポテンシャルを理解できる.
8週 後期中間試験:実施する
4thQ
9週 ベクトルポテンシャル
ベクトルポテンシャルの計算と,それを用いた磁界計算例
ベクトルポテンシャルを用いて磁界を計算できる.
10週 インダクタンス
磁束鎖交数とインダクタンス
磁束鎖交数を導出できる.磁束鎖交数を用いてインダクタンスを計算できる.
11週 インダクタンス
自己インダクタンスと相互インダクタンス
自己インダクタンスと相互インダクタンスを計算できる.
ノイマンの公式を理解できる.
12週 インダクタンス
インダクタンスに蓄えられるエネルギー
インダクタンスに蓄えられるエネルギーを計算できる.
(小テスト5)
13週 電磁誘導
磁界変動による電磁誘導
磁気回路の変化による電磁誘導
電磁誘導による誘導起電力の方向と大きさを計算できる.
14週 電磁誘導
自己誘導と相互誘導とインダクタンスの関係
電磁誘導と自己インダクタンス・相互インダクタンスの関係を式で表すことができる.
(小テスト6)
15週 電磁誘導
表皮効果
電磁誘導の応用例
表皮効果の現象を理解でき,式で表すことができる.電磁誘導応用例の動作原理を理解できる.
16週 後期期末試験:実施する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて計算できる。3
磁界中の電流に作用する力を説明できる。3
ローレンツ力を説明できる。3
磁気エネルギーを説明できる。3
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3
自己誘導と相互誘導を説明できる。3
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90001000100
基礎的能力0000000
専門的能力90001000100
分野横断的能力0000000