シーケンス制御 応用演習

科目基礎情報

学校 釧路工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 シーケンス制御 応用演習
科目番号 0030 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子工学分野 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 テキスト: 講義資料をプリントで配布する.参考書: ”PCシーケンス制御-入門から活用へ-”,吉本久泰著,東京電機大学出版; ”絵ときでわかるシーケンス制御”,山崎靖夫,郷冨夫共著,オーム社
担当教員 松本 和健

到達目標

1. サーボモーターの位置決め制御などの専門知識を応用できる.
2. タッチパネルの動作を理解し,シーケンサとの通信で必要な情報提供や,ユーザーが操作しやすくなるような創意工夫を検討し実現できる.
3. チームワークで課題を解決できる.
4. 問題点を抽出し,解決するための開発手順を実行できる.
5. グループで開発した位置決めツールの開発ポイントについて説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1サーボモーターを制御するためのモータードライバ,位置決めコントローラ,シーケンサなどの役割と,デバイス間のデータ入出力に用いるメモリー管理の方法について理解できる.サーボモーターを位置決め制御するための初期設定と動作状態のモニタ,動作指令のプログラムを理解できる.サーボモーターを位置決め制御するための初期設定と動作状態のモニタ,動作指令のプログラムを理解できる.サーボモーターの位置決め制御のメモリ構成やプログラムを理解できない.
評価項目2ユーザーインターフェースとしてタッチパネルの利点や動作を理解し画面設計ができる.データモニタやアラーム表示などを情報提供できる.位置決め制御の動作を容易に操作するための創意工夫ができる.タッチパネルの動作を理解し画面設計ができきる.位置決め制御の動作に必要なパネルを設計できる.タッチパネルを利用して位置決め制御の動作に必要なパネル設計をできない.
評価項目3グループ内で課題を検討し,ユーザーが利用しやすくなるための工夫について計画を立てることができる.作成画面に基づいてグループ内で分担する役割を割り当てることができる.グループ内で課題を実現するための計画を立てることができる.完成品の画面に基づいてグループ内での検討を継続できる.課題解決に向けたグループワークができない.
評価項目4実際の機器を動作させる場合に生じる様々な問題や,計画した制御動作が実現できないときの問題点を的確に把握できる.その問題点をグループ内で調査・検討して解決できる.実際の機器を動作させる場合に生じる様々な問題や,計画した制御動作が実現できないときの問題点を把握し,解決するために検討できる.実際の機器を動作させる場合に生じる様々な問題に対して対応できない.
評価項目5課題で要求した制御仕様に加えて,グループで創意工夫したポイントについてわかりやすく説明できる.課題で要求した制御仕様について,グループで問題点となったポイントや解決策についてわかりやすく説明できる.課題で要求した制御仕様について,グループで問題点となったポイントについて説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 D 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 E 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
本科目は,第3学年までで学ぶプログラミングや論理設計の知識及び第5学年前期のシーケンス制御に基づき,サーボモータの位置決め制御のPCシーケンス制御を習得する.従って,本演習の履修の条件として,第5学年前期に開講される選択科目 ”シーケンス制御“ を履修している必要がある.これらの知識に基づいて,仮想の機器制御に対する演習課題を用いてバッファメモリの管理を習得した後に,実際のシーケンサとタッチパネルを用いた課題をグループワークで問題解決する.エンジニアリングン能力育成をラダープログラミングを通じて演習する.
この科目は企業で装置の制御設計を担当していた教員が,その経験を活かし,位置決め制御のラダープログラミング等について,シミュレーターやタッチパネル,シーケンサ,二軸制御サーボモーターシステムなどを用いて,実機を用いて開発グループを模擬した演習形式で授業を行うものである.
学習・教育到達度目標 D:50 % E:50 %
授業の進め方・方法:
ラダープログラムを用いて,タッチパネルとシーケンサ実機を動作させる.特にロボットなどのFA機器で重要なサーボモータの位置決め制御の体験的演習ができる.実際のシステムでは,加工装置や製造ラインで用いられるプログラムをグループで分担して作成することになるので,特に設計計画と問題解決をグループで実施することに主眼を置いた演習課題となる.
設計演習課題レポート1回[20%],最終課題[50%],プログラム技術[20%],演習態度[10%]
上記の総合で100点満点とし最終評価とする.合否判定は設計演習課題レポート3回[30%]と
最終課題[40%]の合計を10/7倍して100点満点として,60点以上を合格とする.
合格点に満たない者に対しては,適宜,追加演習課題を課し,その評価が60点以上の場合,合格とし,総合評価を60点とする.
課題[70%]は,一課題中の設計要求事項の項目毎に決められた点数によって採点する.最終課題は最終回にグループでのプレゼンテーションを行う.グループで完成させた位置決め制御の作品について,操作方法,解決した課題や創意工夫した点について発表してもらう.(発表内容に基づく採点は最終課題50%のうちの二割程度)
プログラム技術[20%]は,演習課題の進行程度と課題内容の達成度により評価する.
この項目の評価では,例えば,課題を全て他からコピーした場合は,0点とする.
演習態度[10%]は,遅刻と欠席および,課題提出の遅延によって10点満点から減点する.
(関連科目:プログラミング,論理回路,シーケンス制御,制御工学)
注意点:
シーケンス制御は,条件に沿って工程を順番に実行していく制御方法です.応用されている分野は,製造装置や製造ライン,エレベータなど幅広い分野に用いられています.高専を卒業してメーカーの制御設計部門で利用できる知識と技術を修得できます.
この演習では,前半は今までと同じようなシミュレータを用いて位置決め制御を学びますが,後半の最終課題は,実際に稼働するシーケンサやサーボモータ,タッチパネルを用いて演習します.実機では専用のツールを用いて,位置決め用の機器のインターフェースの各種設定やタッチパネルとの通信設定など機器を動作させるだけでも大変です.使いやすい装置を構成するにはユーザーインターフェースになるタッチパネルを利用した情報提供やパネルの操作性が工夫されていることも要求されます.これらの様々な課題を体験し,グループできちんと計画し,改善を繰り返して課題作成に取り組んでください.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 位置決め制御の概要
バッファメモリの役割
シーケンス制御とその応用について理解できる.
位置決め制御に用いられるサーボモータ,モータドライバ,位置決めコントローラとシーケンサの関係を理解できる.
2週 位置決め制御の基本動作
初期設定
原点復帰
JOG運転とティーチング
位置決め運転
位置決めデータ通信で利用されるバッファメモリの役割と入出力方法について理解できる.
位置決め制御に必要な基本動作の制御について理解できる.
3週 応用演習
一軸多点位置決め
(シミュレータによる課題演習)
シミュレータによる一軸制御課題で,多点位置決め制御をできる.
4週 応用演習
一軸多点位置決め
(シミュレータによる課題演習)
シミュレータによる一軸制御課題で,多点位置決め制御をできる.
5週 タッチパネルとシーケンサによる位置決め制御
使用機器の構成と仕様
設計ツールの説明
位置決め制御で用いる機器の関係について理解できる.
ラダープログラミングとタッチパネル作画のツールを用いることができる.
6週 タッチパネルとシーケンサによる位置決め制御
仕様機器の動作環境の設定
バッファメモリの構成
位置決め基本動作プログラムの設計演習
ラダープログラミングとタッチパネル作画のツールの動作環境を使用機器に適合させてPCで設定できる.
位置決めの基本動作のラダープログラムを理解できる.
7週 最終設計課題(9回)
タッチパネルと二軸多点位置決め制御を用いた迷路上のワーク搬送
設計仕様に基づく演習を2~4人のグループで設計開発できる.
グループで実現する作品で実現する創意工夫の方針を検討し,それを役割分担して実現するための計画を検討できる.
8週 (開発ツールを用いた設計と実機による動作確認)
※ 後期中間試験は実施しない
位置決め制御の基本である,JOG運転,原点復帰と位置決め制御のためのティーチングのラダープログラムを作成でき,タッチパネルによる操作機能を作成できる.
4thQ
9週 (開発ツールを用いた設計と実機による動作確認) 位置決め制御の基本である,JOG運転,原点復帰と位置決め制御のためのティーチングのラダープログラムを作成でき,タッチパネルによる操作機能を作成できる.
10週 (開発ツールを用いた設計と実機による動作確認) 実機動作で確認した課題を解決する方法をグループで検討し,再設計できる.
11週 (開発ツールを用いた設計と実機による動作確認) 実機動作で確認した課題を解決する方法をグループで検討し,再設計できる.
12週 (開発ツールを用いた設計と実機による動作確認) 実機動作で確認した課題を解決する方法をグループで検討し,再設計できる.
問題点を把握し,解決する方法をグループ内で議論し課題解決できる.
13週 (開発ツールを用いた設計と実機による動作確認) 実機動作で確認した課題を解決する方法をグループで検討し,再設計できる.
問題点を把握し,解決する方法をグループ内で議論し課題解決できる.
14週 (開発ツールを用いた設計と実機による動作確認) 実機動作で確認した課題を解決する方法をグループで検討し,再設計できる.
問題点を把握し,解決する方法をグループ内で議論し課題解決できる.
15週 課題成果発表会(1回) 最終回は,決められた期間内に,プログラムで実装できた機能の完成度,タッチパネルによるユーザーインターフェースで解決できた使いやすさや情報提供などに関して,チームで解決できた課題を中心に各グループの発表を通じて報告できる.
16週 ※ 後期期末試験は実施しない

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合010030600100
基礎的能力0000000
専門的能力010030600100
分野横断的能力0000000