応用物理I

科目基礎情報

学校 釧路工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 応用物理I
科目番号 0034 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子工学分野 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:初歩から学ぶ基礎物理学 熱・波動(大日本図書)    初歩から学ぶ基礎物理学 電磁気・原子(大日本図書)参考書:しっかり学べる基礎物理学(電気書院)   ドリルと演習シリーズ 基礎物理学(電気書院)    高校生が用いる「物理」の各種参考書
担当教員 浦家 淳博

到達目標

熱力学の法則を理解し,気体の状態の変化を計算できる.
電荷間の力,電場,電位を算出できる.
コンデンサ回路,抵抗回路の計算ができる.
微積分を用いた力学,剛体の運動の計算ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1気体の状態変化,モル比熱,熱機関など熱力学に関する現象を物理法則に基づいて理解し,様々な物理量を導出できる.気体の状態変化,モル比熱,熱機関にかかわる物理量の基本的な計算ができる.気体の状態変化,モル比熱,熱機関にかかわる物理量を公式を用いて計算ができない.
評価項目2静電気力,電場,電位など電気に関する概念を理解し,これらの物理量を導出できる.静電気力,電場,電位などの,電気に関する基本的な物理量を計算できる.静電気力,電場,電位などの,電気に関する基本的な物理量を公式を用いて計算できない.
評価項目3コンデンサーの電気容量,ジュール熱,電気抵抗などについて,物理法則に基づいて理解し,これらの物理量を導出できる.コンデンサーの電気容量,ジュール熱,電気抵抗などの基本的な物理量を計算できる.コンデンサーの電気容量,ジュール熱,電気抵抗などの基本的な物理量を公式を用いて計算できない.
評価項目4微積分を用いて既習の物理量の公式を導出することができる.簡単な運動の運動方程式について,微分方程式で立式し,手続き的に解を導出できる.微積分を用いた位置,速度,変位などの物理量の相互変換ができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 C 説明 閉じる
JABEE c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理現象を実体験として理解し,それを通史的,数式的にとらえる能力を養う.
科学的思考力を養うとともに,学ぶことの楽しさを実感してもらいたい.
3学年では2学年に履修した物理の中で扱った熱分野の続きである熱力学と,そのほかに電磁気学,微積分を用いた物理,剛体の運動を扱う.
 前期前半:熱力学
 前期後半:静電気
 後期前半:電流
 後期後半:微積分を用いた物理.剛体の運動
授業の進め方・方法:
演習や試験問題によっては関数電卓が必要です.
数値化,図示をする場合は約束事(授業で指示)をふまえた表現が必要です.
予習として教科書を熟読してください.
復習として授業中に解いた問題を自身で解きなおして下さい.
合否判定:4回の定期試験(80%),その他の課題(小テスト,レポート等)(20%)で評価を行い,平均点が60点以上であること.
最終評価:合否判定と同じ.
再試験は,定期試験で60点に満たなかった範囲の試験を受け,60点以上であれば合格.
再試験で合格した者の最終評価は60点とする.
用語や記号を覚えてしまうことで,授業の内容の理解も早まります.
授業は,新しい概念を得るだけでなく,誤った概念や先入観を正す場です.
皆さんの楽しい雰囲気,活発な発言が内容を豊かにします.
注意点:
前関連科目:物理(1年,2年),科学基礎実験,後関連科目:応用物理(4年)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
2週 熱力学第1法則 熱力学第1法則を用いて,気体のする仕事や内部エネルギー変化等を計算できる.
3週 気体の状態変化 定積変化,定圧変化,等温変化,断熱変化について,p-v図に表すことができる.
4週 モル比熱 モル比熱を計算できる.
5週 熱機関(1) 熱機関について理解し,熱効率を求めることができる.
6週 熱機関(2) カルノーサイクルの仕組みを説明することができる.
7週 エントロピー エントロピーについて,説明することができる.
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 静電気力(1) クーロンの法則が説明でき,電荷間にはたらく力を算出できる.
10週 電場(1) 電場の定義を知り,電場の強さを求めることができる.
11週 電場(2) 電気力線を図示できる.
12週 電場(3) ガウスの法則を用いて対称性の高い電場を求めることができる.
13週 電位(1) 平行極板間の電位を求めることができる.
14週 電位(2) 点電荷周辺の電位を求めることができる.
15週 電位(3) 点電荷による位置エネルギーを算出できる.
16週 前期期末試験
後期
3rdQ
1週 コンデンサー(1) コンデンサーの電気容量を算出できる.
2週 コンデンサー(2) コンデンサーに蓄えられるエネルギーを算出できる.
3週 コンデンサー(3) コンデンサーの直列・並列接続時の合成容量を算出できる.
4週 オームの法則(1) 抵抗率を用いて電気抵抗を求めることができる.
5週 オームの法則(2) 直列,並列の合成抵抗を求めることができる.
6週 直流回路(1) ジュール熱,電力を算出できる.
7週 直流回路(2) キルヒホッフの法則を用いて抵抗回路の計算ができる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 微積分を用いた位置,速度,加速度 微積分を用いて物体の位置,速度,加速度を求めることができる.
10週 微積分を用いた運動方程式 簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て,初期値問題として解くことができる.
11週 微積分を用いた仕事と力学的エネルギー 力を積分することで仕事,位置エネルギーを求めることができる.
12週 剛体の重心 剛体の重心を求めることができる.
13週 剛体の運動方程式 剛体のつりあいの式を立てて解くことができる.
14週 剛体の慣性モーメント 剛体の慣性モーメントを求めることができる.
15週 剛体に関する運動方程式の適用例
定滑車,斜面上物体の回転運動の加速度を算出できる.
16週 後期期末試験:実施する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
運動の法則について説明できる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3
横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3
波の独立性について説明できる。3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3
ホイヘンスの原理について説明できる。3
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
電場・電位について説明できる。3
クーロンの法則が説明できる。3
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3
ジュール熱や電力を求めることができる。3
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3
安全を確保して、実験を行うことができる。3
実験報告書を決められた形式で作成できる。3
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力80000200100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000