電気回路IIb

科目基礎情報

学校 釧路工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電気回路IIb
科目番号 0036 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子工学分野 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 〈教科書〉”電気回路の基礎(第2版)”,西巻他,森北出版,”続電気回路の基礎”,西巻他,森北出版. 〈参考書〉 ”例題で学ぶ優しい電気回路 交流編”,西巻他,森北出版 他
担当教員 小谷 斉之

到達目標

1. 合成インピーダンスや分圧・分流を利用して,交流回路の直列・並列接続の計算ができる.
2. キルヒホッフの法則や網目電流法を利用して,交流回路網が計算できる.
3. 重ねの理やテブナンの定理等を利用して,交流回路の計算ができる.
4. 交流電力と力率を説明でき,これらを計算できる.
5. 電気回路の周波数特性を説明でき,直列共振回路と並列共振回路の計算ができる.
6. 相互誘導を説明でき,相互誘導回路の計算ができる.理想変圧器を説明できる.
7. 二端子対回路を説明でき,回路網をZ・Y・Fの各マトリクスを利用して回路網の解析ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 合成インピーダンスや分圧・分流を利用して,交流回路の直列・並列接続の計算ができる.合成インピーダンスや分圧・分流を利用して,交流回路の解析ができる.合成インピーダンスや分圧・分流を利用して,交流回路の直列・並列接続の計算ができる.合成インピーダンスや分圧・分流を利用して,交流回路の直列・並列接続の計算ができない.
評価項目2 キルヒホッフの法則や網目電流法を利用して,交流回路網が計算できる.キルヒホッフの法則や網目電流法を利用して,交流回路網の解析ができる.キルヒホッフの法則や網目電流法を利用して,交流回路網が計算できる.キルヒホッフの法則や網目電流法を利用して,交流回路網が計算ができない.
評価項目3 重ねの理やテブナンの定理等を利用して,交流回路の計算ができる.重ねの理やテブナンの定理等を利用して,交流回路の解析ができる.重ねの理やテブナンの定理等を利用して,交流回路の計算ができる.重ねの理やテブナンの定理等を利用して,交流回路の計算ができない.
評価項目4 交流電力と力率を説明でき,これらを計算できる.有効電力を説明でき,負荷で消費される電力を計算できる.インピーダンスマッチングを説明でき,負荷における最大電力条件を導出できる.有効電力を説明でき,負荷で消費される電力を計算でる.有効電力を説明できず,負荷で消費される電力を計算できない.
評価項目5 電気回路の周波数特性を説明でき,直列共振回路と並列共振回路の計算ができる.電気回路のゲイン・位相やベクトル軌跡の周波数特性を利用して直列共振回路と並列共振回路の解析ができる.電気回路のゲイン・位相やベクトル軌跡の周波数特性を画くことができ,遮断周波数や共振周波数などの特性値の計算ができる.電気回路のゲイン・位相やベクトル軌跡の周波数特性を画くことができず,遮断周波数や共振周波数などの特性値の計算ができない.
評価項目6 相互誘導を説明でき,相互誘導回路の計算ができる.理想変圧器を説明できる.理想トランスとトランス,誘導結合の違いを説明でき,相互誘導を含む回路網の解析をすることができる.理想トランスとトランス,誘導結合の違いを説明でき,相互誘導を含む回路の出力を計算できる.理想トランスとトランス,誘導結合の違いを説明できず,相互誘導を含む回路の出力を計算できない。
評価項目7 二端子対回路を説明でき,回路網をZ・Y・Fの各マトリクスを利用して回路網の解析ができる.二端子対回路を説明でき,回路網をZ・Y・Fの各マトリクスを利用して回路網の解析ができる.典型的には,二端子対回路のFマトリクスを利用してトランス結合を含む回路網を解析できる.二端子対回路を説明でき,回路網をZ・Y・Fの各マトリクスを利用して回路網の計算ができる.二端子対回路を説明できず,回路網をZ・Y・Fの各マトリクスを利用して回路網の計算ができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
交流回路の取り扱い(表示方法,解析方法)を学ぶ.数学的基礎との連携を意識して,フェーザ,複素数,微積分など,さまざまな数学的手法により交流回路解析が可能であることを理解し,電子工学を学習する上での基礎となる交流回路理論の修得を目指す.
授業の進め方・方法:
2学年までの回路解析に関する知識を前提とする.
年に十回の単元ごとの小テストによる自己学習を課し,各自ができるだけ多くの問題を解くことで理解を深めてもらう.電気回路は電子工学を学修するうえで基礎教科の一つであり,特に交流回路の回路網計算や周波数特性の理解は重要である.講義と宿題による演習を繰り返して,交流回路網の基礎的な計算手法や法則を確実に修得すること.
合否判定:4回の定期試験の結果の平均が60点以上であること.
最終評価:合否判定点と同じ.
再試験: 定期試験ごとに合格点に満たない者に再試験を行う.この再試験の受験資格は各定期試験の出題範囲に該当する課題を全て提出することを条件とする.再試は合格点を60点とし,最高60点で定期試験に置き換える.再試を考慮して合否判定に合格した場合は最終評価を60点とする.合否判定後に合格点に満たない場合の再試験範囲はこの科目の全範囲とし合格点を60点とする.
(関連科目:電子工学総合演習,電子工学基礎,電気回路Ⅰ Ⅲ,電子回路,電磁気学)
注意点:
電気回路解析は,電子工学の基本です.回路を論理的にかつ数学的に解析することは他の科目の理解にも通じます.授業中にもできるだけ演習を多く取り入れるので,しっかりと身につけてください.
授業の演習や,試験では関数電卓を使用して計算しますので,必ず準備してください.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,2年の復習 交流回路における直・並列接続と分圧・分流を計算できる.
(小テスト1)
2週 交流回路におけるキルヒホッフ則 交流回路においてキルヒホッフ則を用いて独立した方程式を立てて解析する方法を説明できる.
3週 交流回路における網目電流法 交流回路において網目電流法を用いて独立した方程式を立てて解析する方法を説明できる.
(小テスト2)
4週 交流回路におけるキルヒホッフ則の演習 キルヒホッフ則および網目電流法を説明でき,これを用いて回路網を解析できる.
5週 交流回路における鳳テブナンの定理 交流回路において鳳テブナンの定理により電圧源の等価回路に変換できることを説明できる.
6週 交流回路における重ねの理 交流回路において重ねの理を用いて回路解析する方法を説明できる.
(小テスト3)
7週 交流回路における重ねの理,鳳テブナンの定理の演習 重ねの理,鳳テブナンの定理を説明でき,これを用いて回路網を解析できる.
8週 前期中間試験を実施する
2ndQ
9週 交流回路における有効電力
電源回路と負荷回路の関係
交流回路における有効電力・無効電力・皮相電力を説明でき,電源の等価回路を鳳テブナンの定理などを用いて表すことができる.
10週 交流回路の負荷で消費される電力と,負荷電力最大条件 電源と負荷のインピーダンスマッチングと力率の最大化から最大電力条件の関係を説明できる.
(小テスト4)
11週 交流回路の周波数特性
R・L・Cの周波数特性とゲイン・位相の周波数特性の表し方
基本的な素子の周波数特性を説明できる. f→0 or ∞ の極限における等価回路を画ける.周波数特性の表し方を説明できる.
12週 交流回路の周波数特性
R・L・Cの組み合わせ回路の周波数特性_1
イピーダンス面とアドミタンス面を説明でき,遮断周波数とフィルターの特性を計算できる.
13週 交流回路の周波数特性
R・L・Cの組み合わせ回路の周波数特性_2
イピーダンス面とアドミタンス面とゲイン・位相の周波数特性の関係を説明できる.
14週 交流回路の周波数特性
回路網の周波数特性
回路網の出力の周波数特性を表すことができる.遮断周波数とフィルターの役割を説明できる.
(小テスト5)
15週 交流回路の周波数特性の演習 交流回路網の週数特性を解析できる.
16週 前期期末試験を実施する
後期
3rdQ
1週 直列共振回路 共振現象を説明できる.直列共振回路の周波数特性を画くことができ,特性値を計算できる.
(小テスト6)
2週 直列共振回路の演習 直列共振回路を説明でき,その周波数特性を解析できる.
3週 並列共振回路 並列共振回路を説明でき,その周波数特性を画くことができ,特性値を計算できる.
(小テスト7)
4週 並列共振回路の演習 並列共振回路を説明でき,その周波数特性を解析できる.
5週 電磁誘導結合回路 電磁誘導結合を説明でき,キルヒホッフ則を用いて回路方程式を立てることができる.
(小テスト8)
6週 電磁誘導結合回路の演習 電磁誘導結合を説明でき,回路解析できる.
7週 トランス結合回路
電磁誘導結合回路の結合係数
理想トランス
トランス器結合と理想トランスの条件を説明できる.
8週 後期中間試験を実施する
4thQ
9週 トランス結合回路
トランス結合回路を含む回路網の解析
トランス結合を含む回路網で計算式を立てることができる.
(小テスト9)
10週 トランス結合回路の演習 変圧器結合を説明でき,回路解析ができる.
11週 2端子対回路網
二端子回路網
Z・Y・Fマトリクス
2端子対回路網とZ・Y・Fの基本的なマトリクスを説明できる.
12週 2端子対回路網
マトリクスの決定と回路パラメータの直列・並列・縦続接続
Z・Y・Fの基本的なマトリクスを導出できる.マトリクスを用いた回路網の接続を説明できる.
13週 2端子対回路網
Fパラメータを用いたゲイン,入出力インピーダンス等
Fパラメータを用いて,基本的な回路の伝達特性を導出することができる.
14週 2端子対回路網
F・Z・Y間のパラメータ変換
トランス回路のFパラメータ
各マトリクスの相互間の変換ができる.トランス回路をFマトリクスを利用して表すことができる.
(小テスト10)
15週 2端子対回路網の演習 基本的な2端子対回路網に対して種々のマトリクス表示を導出でき,それを利用して解析ができる.
16週 後期期末試験を実施する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4
理想変成器を説明できる。4
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。3
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000