到達目標
1.「形而上学」、「論理学」、「倫理学」、「科学哲学」等、哲学の各領域の相違を理解し、その説明ができる(特に、「形而上学」の幾つかの伝統的問題の説明ができる)。
2.自身で「哲学的問い」を、その論述および他人と哲学的・合理的な議論ができる。
3.上記のことを通じて、様々な場面で、「哲学的」なものの観方や考え方を実際に用いることができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安(優) | 標準的な到達レベルの目安(良) | 未到達レベルの目安(不可) |
評価項目1 | 哲学の各部門の相違を理解・説明できるだけでなく、実際の生活において、その都度、適切な場面でそれらの考え方を応用できる。 | 哲学の各部門の相違を充分に理解し、それに対して合理的な説明を与えることができる。 | 哲学の各部門の相違を、充分には理解できていない。 |
評価項目2 | 「哲学的問い」を、実際の生活の様々な場面でたて、様々な人と哲学的・合理的な対話ができる。 | 「哲学的問い」の特徴を、充分に理解し、それに対して合理的な説明を与えることができるだけでなく、幾つかの伝統的な「哲学的問い」について自分なりに哲学的・合理的に考えることができる。 | 「哲学的問い」の特徴について理解できていない。 |
評価項目3 | 哲学的な観方・問い方を積極的に用いることで、日常生活で直面する様々な問題の合理的解決を模索することができる。 | 哲学的な観方・問い方を用いて、日常生活で直面する様々な問題を相対化して(「一歩ひいて」)眺めることができる。 | 哲学的な観方・問い方を、日常生活において活用することができていない。 |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 A
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JABEE a
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教育方法等
概要:
「量子力学」、「分子生物学」、「オントロジー」、「解析幾何学」、「言語学」や「考古学」等といった学問領域と異なり、「哲学」と聞いても、そもそも、どのような問題・課題に取り組むものであるのか想像もつかないという方が殆どかと思います(授業担当者自がそうでした)。本授業は、そのような前提から出発して、みなさんと一緒に「哲学ってなに?」という(それ自身、極めて哲学的な)問いを問いつつ、「哲学」への導入を図ります。より具体的には、本授業は、次の三つの柱から成ります: 1. 「哲学」もまた、立派な(それどころか、最古の伝統と格式のある)学問分野のひとつであり、その扱う領域(いわば、下位部門)が極めて多様です。そして、その幾つかの具体例(「形而上学」、「倫理学」、「科学哲学」etc.)の解説をします。本授業では、そのなかでも、最も「哲学っぽい」といえる「形而上学」を特に詳しく扱います。
2. 他の各分野にそれぞれ固有な問い・問い方があるように(例えば、「分子生物学」は、遺伝子という観点から生命を問う)、哲学にも「哲学的問い」と呼べる固有の「問い方」があります。「哲学的問い」なるものが、どのような特徴を持つものであるのかを解説したうえで、みなさんと一緒に、実際に、「哲学的に問う」訓練をおこないます。
3. 晩御飯に何を食べるのか迷っている際に、三角関数を応用してメニューを決めるひとは(恐らく)殆どいないでしょう。しかし、そのような場面でも(敢えてお望みとあれば)「哲学的問い」を立てることができるほど、「哲学」は応用範囲の広いものです。上記の講義・訓練を通じて、日常の様々な場面で「哲学的」に考えることができるよう、授業を通じて実践していきます。
授業の進め方・方法:
1. 各回、最初に、講義をおこない、学習内容をみなさんに理解して貰います。
2.次に、授業内で、学習内容のまとめを論述して貰い、それに基づいて、皆で簡単に議論します。
3.最後に、各回の学習内容と議論のふりかえりをおこないます。
合否判定 : 定期試験(前期50%+後期50%)の平均が60点以上を合格とする。
最終評価 : 合否判定点 ± その他の評価点(±10点)。
※ その他の評価点では、特に授業内で取り組んでもらう論述の内容を評価し、また、積極的な授業・議論への取り組みをプラス評価,私語や居眠りなどをマイナス評価として扱います(ただし,最終評価の最高点は100点,最低点は60点とします)。
再試験 : 不合格の場合には再試験・課題提出を求め、60点以上を合格とする。最終評価は60点とする。
注意点:
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
導入 |
幾つかの「哲学的問い」に触れ、その特徴について簡単な理解をもつことできる。
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2週 |
「哲学」と「学問」の歴史的起源 |
「哲学」と「学問」の歴史的起源について簡単な理解をもつことができる。
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3週 |
「哲学」の諸部門-哲学いろいろ |
哲学が、主題と問題設定に応じて、多様な部門・領域に区分されていることが理解できる。
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4週 |
「哲学」と「科学」―哲学の権利① |
なぜ、「哲学」が「(自然)科学」に還元されえないのか、その幾つかの理由を理解することができる。
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5週 |
「哲学」と「科学」―哲学の権利② |
なぜ、「哲学」が「(自然)科学」に還元されえないのか、その幾つかの理由を説明・議論することができる。
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6週 |
「科学哲学」-なぜ、科学的知識は信頼できる/できないのか?① |
(究極的には、「科学って、そもそもなに?」を問う)「科学哲学」に固有な問い・問題設定について理解できる。
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7週 |
「科学哲学」-なぜ、科学的知識は信頼できる/できないのか?② |
「科学哲学」に固有な問い・問題設定について説明・議論できる。
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8週 |
「論理学」―論理的であるとはどういうことか?① |
(単に「論理的」に考えるというのではなく)「論理学」に固有な問い・問題設定について理解できる。
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2ndQ |
9週 |
「論理学」―論理的であるとはどういうことか?② |
「論理学」に固有な問い・問題設定について説明・議論できる。
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10週 |
「倫理学」―「善い」とはどういうことか?① |
(皆から評価されるような「倫理的」な考えを持つというのでは一切なく)「倫理学」に固有な問い・問題設定および多様な立場の相違について理解できる。
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11週 |
「倫理学」―「善い」とはどういうことか?② |
「倫理学」に固有な問い・問題設定および多様な立場の相違について説明・議論できる。
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12週 |
「形而上学」? |
(そもそも言葉からして意味不明な)「形而上学」が、どのような哲学的部門であるのかを簡単に理解できる。
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13週 |
「形而上学」―自由意志① |
(自分で何か選択をおこなう際に、多くの方が漠然と感じているであろう)「自由意志」を巡る形而上学的問いについて理解できる。
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14週 |
「形而上学」―自由意志② |
自由意志を巡る形而上学的問いについて説明・議論できる。
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15週 |
前期のまとめと討論 |
前期に学習した内容に基づいて、色々な哲学的問いを定式化・議論することができる。
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16週 |
前期期末試験 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
前期の復習 |
前期に学習した内容に関して、理解・説明ができる。
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2週 |
「形而上学」―原因と理由① |
(普段、様々な場面で登場する「なぜ?」という問いへの答えともいえる)「原因」と「理由」を巡る形而上学的問いについて理解できる。
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3週 |
「形而上学」―原因と理由② |
「原因」と「理由」を巡る形而上学的問いについて説明・議論できる。
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4週 |
「形而上学」―人格の同一性① |
(これまた、多くの方が、漠然と感じているであろう)人格が同一であるとは、どのようなことかを巡る形而上学的問いについて理解できる。
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5週 |
「形而上学」―人格の同一性② |
人格が同一であるとは、どのようなことかを巡る形而上学的問いについて説明・議論できる。
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6週 |
「形而上学」―普遍者・イデア① |
(聞いたこともない言葉ですが、人類が2000年以上も真剣に悩んでいる)普遍者(イデア)を巡る形而上学的問いについて理解できる。
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7週 |
「形而上学」―普遍者・イデア② |
普遍者(イデア)を巡る形而上学的問いについて説明・議論できる。
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8週 |
「形而上学」-部分と全体① |
(「砂山から砂を一粒ずつ取り除くと、いつ砂山ではなくなるのか?」といった、一見、偏屈な)部分と全体を巡る形而上学的問いについて理解できる。
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4thQ |
9週 |
「形而上学」―部分と全体② |
部分と全体を巡る形而上学的問いについて説明・議論できる。
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10週 |
「形而上学」―可能性と必然性① |
(普段、頻繁に用いる言葉ですが、これまた、人類が2000年以上も真剣に悩んでいる)「可能性・必然性」を巡る形而上学的問いについて理解できる。
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11週 |
「形而上学」―可能性と必然性② |
「可能性・必然性」を巡る形而上学的問いについて説明・議論できる。
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12週 |
「形而上学」―運命・宿命① |
(皆さんが、その存在を漠然と感じているかも知れない)運命・宿命を巡る形而上学的問いについて理解できる。
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13週 |
「形而上学」―運命・宿命② |
運命・宿命を巡る形而上学的問いについて説明・議論できる。
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14週 |
「形而上学」―実在論、観念論、形而上学批判 |
様々な「形而上学的立場」の根本的相違について理解・説明できる。
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15週 |
後期のまとめと討論 |
後期に学習した内容に基づいて色々な哲学的問いを定式化・議論することができ、また、それを日常生活に応用することができる。
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16週 |
後期期末試験 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 国語 | 国語 | 論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要約できる。 | 3 | |
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。 | 3 | |
文学的な文章(小説や随筆)に描かれた人物やものの見方を表現に即して読み取り、自分の意見を述べることができる。 | 3 | |
常用漢字の音訓を正しく使える。主な常用漢字が書ける。 | 3 | |
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。 | 3 | |
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。 | 3 | |
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。 | 3 | |
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。 | 3 | |
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。 | 3 | |
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。 | 3 | |
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。 | 3 | |
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。 | 3 | |
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。 | 3 | |
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。 | 3 | |
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |