電磁気学II

科目基礎情報

学校 釧路工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 電磁気学II
科目番号 0049 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 4
開設学科 電子工学分野 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 テキスト: ”電気磁気学” ,小塚 洋司,森北出版. 参考書: ”詳解 電気磁気学演習” ,後藤 憲一,山崎 修一郎,共立出版; ”マクグロウヒル大学演習電磁気学” ,J. A. Edminister 著,村﨑 憲雄他 共訳,オーム社 など
担当教員 松本 和健

到達目標

1. 静電容量の接続を説明し,合成静電容量の基礎知識として応用することができる.
2. 静電エネルギーと静電応力を説明できる.
3. 電流密度と電気抵抗を説明できる.
4. 電流が作る磁界の方向をアンペアの右ねじの法則から説明し,磁界の強さをアンペアの周回積分を用いて説明でき,簡単な磁界の計算に用いることができる.
5. 電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて説明でき,簡単な磁界の計算に用いることができる.
6. 磁界中の電流に作用する力やローレンツ力を説明できる.
7. 磁性体と磁化,及び,磁束密度を説明できる.
8. 自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる.
9. 磁気エネルギーを説明できる.
10. 電磁誘導を説明でき,誘導起電力を計算できる.自己誘導と相互誘導を説明でき,自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1静電容量の直並列接続を理解し,それを利用して合成静電容量を解析できる.静電容量の直並列接続を理解し,静電容量を計算できる.ガウスの定理を用いて,キャパシタンスの式を導出できる.静電容量の直並列接続を理解できず,静電容量を計算できない.
評価項目2静電エネルギーの仮想変位から静電応力の解析をできる.静電エネルギーと静電応力を理解できる.それらを式で表し計算することができる.静電エネルギーと静電応力を理解できない.
評価項目3電流密度が変化する媒体の抵抗値を解析的に計算できる.電流密度が一様な媒体の抵抗値を計算できる.電流密度と抵抗値を計算できない.
評価項目4無限長導体などの電流が作る磁界のベクトルを解析できる.電流が作る磁界のベクトルの方向が説明できる.磁界の強さの式を書ける.電流が作る磁界の方向と強さを理解できない.
評価項目5電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて解析でき,有限長の直線導体やループコイルを組み合わせた電流の作る磁界の計算できる.ビオ・サバールの法則を理解でき,有限長の直線導体やループコイルの電流の作る磁界の計算できる.ビオ・サバールの法則を理解できない.
評価項目6複数の電流が作る磁界中の電流に作用する力のベクトルの向きと大きさを解析できる.磁界や電界中の電子の運動・軌道を計算できる.磁界中の電流に作用する力のベクトルの向きと大きさを計算し理解できる.ローレンツ力を説明できる.磁界中の電流や運動電子に作用する力のベクトルの向きや大きさを理解できない.
評価項目7磁性体と磁化,及び磁束密度を,透磁率と磁化率を用いて磁界から計算できる.磁性体における透磁率と磁化率,及び,磁界と磁束密度,磁化の違いを式を用いて説明できる.磁性体と磁化,及び,磁束密度を理解できない.
評価項目8磁界解析を理解して,磁束鎖交数と電流の関係から自己インダクタンス及び相互インダクタンスを計算できる.磁界が作る磁束鎖交数を理解し,インダクタンスを計算できる.インダクタンスを計算できない.
評価項目9インダクタンスに蓄えられる磁気エネルギーを解析できる.磁気エネルギーの計算式を用いて説明することができる.磁気エネルギーを説明できない.
評価項目10電磁誘導の応用を理解でき,磁界が変動する場合や磁気回路が変化する場合,相互インダクタンスを介する場合などの誘導起電力を計算できる.電磁誘導の式が書け,計算することができる.自己誘導と相互誘導の違いに関連付けて自己インダクタンスと相互インダクタンスの違いを理解できる.電磁誘導を計算することができない.電磁誘導とインダクタンスの関係を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 C 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
第3学年までで学習した数学,応用物理,電子回路,電気回路の知識に基づき,特に電磁気学Ⅰで学んだ電界の概念を発展させ,電界,磁界といった場の概念を理解する.
第5学年以降における電磁波工学,制御工学,半導体工学,電子計測などの応用分野の基礎を修得する.第4学年後期からは,主にコンデンサの容量,電流と抵抗,及び磁界の強さについて学習する.
授業の進め方・方法:
座学中心である.
一年に十回の小テストによる自己学習を課し,各自ができるだけ多くの問題を解くことで理解を深めてもらう.電磁気学は電子工学を理解する上での基礎教科の一つであり,電気系の技術者としてどのような職種についても必要な知識や,電界と磁界の概念の理解の入門となる.
合否判定:4回の定期試験の結果の平均が60点以上であること.
最終評価:4回の定期試験の結果の平均(90%)と課題提出の結果(10%)の合計.
再試験: 期末試験を含む定期試験ごとに合格点に満たない者に再試験を行う.再試験の受験資格は全ての課題提出を条件とする.再試は最高60点で定期試験に加味し,再試を考慮して最終評価した場合は合格点を60点とする.最終評価後に合格点に満たない場合の再試験範囲はこの科目の全範囲とする.
注意点:
第3学年までに学習した,キャパシタンスとインダクタンスといった基本的なデバイスは,それぞれ電界と磁界を学習することで,その本質が理解できるようになります.今までに学習したことよりも抽象的な概念について学習することになりますが,電子工学の基礎科目の一つですので,確実に理解するように努力してください.
電磁気学関係では多くの問題集がありますので,レベルに合わせて様々な問題にチャレンジすることもこの科目を理解する方法です.
授業の演習や,試験では関数電卓を使用して計算しますので,必ず準備してください.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 静電界の復習 電界の解析法のまとめ,電束密度の理解による媒体(誘電体,導体,真空)に共通した概念を理解できる.
2週 静電容量の合成
ガウスの定理と合成容量
ガウスの定理から,複数誘電体で構成されるキャパシタンスの電界・電位差と静電容量を計算できる.
(小テスト1)
3週 静電エネルギーと応力
静電エネルギー
静電容量中に蓄えられる静電エネルギーを理解できる.
4週 静電エネルギーと応力
静電エネルギーの仮想変位による変化と静電応力
静電エネルギーと導体間の応力の関係について理解できる.
5週 静電エネルギーと応力
誘電体の境界とそこに作用する静電応力
誘電体の境界における電界と電束密度の保存と,その境界に作用する応力について理解できる.
(小テスト2)
6週 電界の特殊解法
電気影像法
電界の解析における電気影像法の原理と適用条件を理解できる.
7週 電界の特殊解法
電気影像法の例題
電気影像法の適用例を理解できる.
8週 前期中間試験:実施する
2ndQ
9週 電流
導体中の電流と電界
電流密度
電荷と電流の関係について理解できる.一様電流の電流密度と電界の関係を理解できる.
10週 電流
抵抗率と電気抵抗値
電流密度,抵抗率について理解できる.抵抗率の境界における電界と電流密度の保存を説明できる.
11週 電流
電流密度が一様な場合の抵抗
電流密度が変化する場合の抵抗
電流密度が一様な場合と変化する場合の電気抵抗を計算できる.
(小テスト3)
12週 真空中の磁界1
アンペアの右ねじの法則と磁界ベクトルの方向
アンペアの右ねじの法則を用いて磁界のベクトル方向を説明できる.
13週 真空中の磁界1
アンペアの周回積分と磁界ベクトルの強さ_無限長導体
無限長導体が作る磁界の強さをアンペアの周回積分を用いて計算できる.
14週 真空中の磁界1
アンペアの周回積分と磁界ベクトルの強さ_ソレノイドコイル
無限長ソレノイドコイルとトロイダルコイルの磁界の強さをアンペアの周回積分から計算できる.
(小テスト4)
15週 真空中の磁界1
アンペアの周回積分が適用できる場合の例題
アンペアの右ねじの法則と周回積分を用いて,磁界ベクトルを解析できる.
16週 前期期末試験:実施する
後期
3rdQ
1週 真空中の磁界2
ビオサバールの法則
ビオサバールの法則から電流が作る磁界を計算できる.
2週 真空中の磁界2
ビオサバールの法則の演習
ビオサバールの法則を用いて有限長の直線導体や円形導体に流れる電流が作る磁界を計算できる.
(小テスト1)
3週 真空中の磁界2
磁界中の電流に作用する力
磁界中の電流に作用する力の向きを理解し,力の大きさを計算できる.
4週 真空中の磁界2
ローレンツ力
磁界中の電流に作用する力の演習
磁界や電界中の電子に作用する力について理解し,その運動や軌道を計算できる.
(小テスト2)
5週 磁性体
磁性体と磁束密度・磁化,及び透磁率・磁化率,減磁率
磁界に関する媒体としての磁性体の磁界中での役割を各種係数を用いて理解できる.
(小テスト3)
6週 磁性体
磁気回路
磁性体の境界
磁気閉回路の計算を電気的等価回路とキルヒホッフ則から計算できる.磁性体の境界での磁界と磁束密度の保存について理解できる.
(小テスト4)
7週 ベクトルポテンシャル
磁界と磁位・磁荷・磁気モーメント
磁界とベクトルポテンシャル
磁気モーメント,ベクトルポテンシャルを理解できる.
8週 後期中間試験:実施する
4thQ
9週 ベクトルポテンシャル
ベクトルポテンシャルの計算と,それを用いた磁界計算例
ベクトルポテンシャルを用いて磁界を計算できる.
10週 インダクタンス
磁束鎖交数とインダクタンス
磁束鎖交数を導出できる.磁束鎖交数を用いてインダクタンスを計算できる.
11週 インダクタンス
自己インダクタンスと相互インダクタンス
自己インダクタンスと相互インダクタンスを計算できる.
ノイマンの公式を理解できる.
12週 インダクタンス
インダクタンスに蓄えられるエネルギー
インダクタンスに蓄えられるエネルギーを計算できる.
(小テスト5)
13週 電磁誘導
磁界変動による電磁誘導
磁気回路の変化による電磁誘導
電磁誘導による誘導起電力の方向と大きさを計算できる.
14週 電磁誘導
自己誘導と相互誘導とインダクタンスの関係
電磁誘導と自己インダクタンス・相互インダクタンスの関係を式で表すことができる.
(小テスト6)
15週 電磁誘導
表皮効果
電磁誘導の応用例
表皮効果の現象を理解でき,式で表すことができる.電磁誘導応用例の動作原理を理解できる.
16週 後期期末試験:実施する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。4
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3
静電エネルギーを説明できる。3
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。3
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて計算できる。3
電流が作る磁界をアンペールの法則を用いて計算できる。3
磁界中の電流に作用する力を説明できる。3
ローレンツ力を説明できる。3
磁気エネルギーを説明できる。3
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3
自己誘導と相互誘導を説明できる。3
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90001000100
基礎的能力0000000
専門的能力90001000100
分野横断的能力0000000