電子材料

科目基礎情報

学校 釧路工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電子材料
科目番号 0056 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子工学分野 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 参考書 C. Kittel著「キッテル固体物理学入門 上」
担当教員 井戸川 槙之介

到達目標

現在では半導体は身近な存在となっているが,その半導体の物性を学ぶ機会はとても少ない.
そこで,今まで学んだ物理や数学を用いて半導体の物性を表し,半導体のミクロな性質を学ぶ.
この授業では,基本的な結晶構造や性質を理解し,数学的に表すこと.また,半導体の電気伝導を数学的に表現することを最終目標としている.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 基本的な結晶構造や基本的性質を説明することができる.基本的な結晶構造や基本的性質を説明することができ,適切に考察できる.基本的な結晶構造や基本的性質を説明することができる.基本的な結晶構造や基本的性質を説明することができない.
評価項目2 基本的な結晶構造について数学的に表すことができる.基本的な結晶構造について数学的に表すことができ,簡単な発展問題も解け,適切に考察できる. 基本的な結晶構造について数学的に表すことができ,簡単な発展問題も解ける.基本的な結晶構造について数学的に表すことができない.
評価項目3 基本的な電気伝導を数学的に表現することができる.基本的な電気伝導を数学的に表現することができ,簡単な考察ができる.基本的な電気伝導を数学的に表現することができる.基本的な電気伝導を数学的に表現することができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 C 説明 閉じる
JABEE d-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
半導体産業は多種多様な固体材料によって支えられている.電子材料の授業では,この固体材料の基礎的性質を理解することを目的とし,工学の幅広い基礎知識を取得する.特に半導体材料の基本的性質を理解するため数学的なアプローチから固体材料の構造を理解する.
授業の進め方・方法:
講義形式で実施し,上記概要で示した内容理解を目標とする.
評価方法・合否判定:2回の定期テストの平均点が60点(100点満点)超えていること.
最終評価:2回の定期テストの平均点が80%と演習の平均点20%の計100%で評価する.
(テストの平均が60点に満たない場合は再試験を行う.再試験は筆記試験を実施し,60点以上を合格 とする.)
(関連科目:電磁気学,半導体工学,デバイス工学)
注意点:
材料の基本的性質を考えるためには,物理全般(力学,電磁気学,波,原子の構造)の基礎知識に加え,ベクトルやフーリエ解析などの数学的な知識も必要となります.基礎的物理学,数学を復習してください.理解を深めるための演習問題等も増えます.自ら考え自学自習するよう努力してさい.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 1.導入ガイダンス 


・固体物理学の導入の説明を行う.

2週 2.結晶構造
・結晶の基本構造が理解でき,14種のブラべ格子を表すことができる.
3週 3.結晶構造の具体例
・単純立方格子などの配位数や充填率が求めることができる.
4週 4.ミラー指数と逆格子
・結晶構造の方位を表すことができ,逆格子ベクトルを用いて格子点を表現できる.
5週 5.ブリルアンゾーンと原子散乱 ・逆格子空間におけるウィグナー・ザイツ胞を表すことができ,結晶構造因子を求めることができる.
6週 6.量子力学の基礎  ・粒子と波の2重性を説明することができる.
7週 7.物理量の期待値と不確定性関係 
・物理量の期待値を求めることができ,位置と運動量の不確定性を説明することができる.
8週 8.後期中間試験 ・7週目までの内容理解度を確認する.
4thQ
9週 9.フェルミ粒子とボーズ粒子
     
・フェルミ・ディラック分布とボーズ・アインシュタイン分布の違いを説明することができる.


10週 10.自由電子論(1)
・フェルミ面やフェルミエネルギーを説明することができる.
11週 11.自由電子論(2)
・自由電子の状態密度とエネルギー分布関数を求めることができる.
12週 12.エネルギーバンド
・固体材料のエネルギーバンド構造の違いを説明できる.
13週 13.固体中の電気伝導(1) ・電子やホールの運動を理解することができる.
14週 14.固体中の電気伝導(2)
・ボルツマン方程式を用いて電気伝導を求めることができる.
15週 15.演習
・総まとめ演習を行う.
16週 後期期末試験 ・15週目までの内容理解度を確認する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。3
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。3
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。3
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。4
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。4
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。4
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。4
静電エネルギーを説明できる。4
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。3
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて計算できる。3
電流が作る磁界をアンペールの法則を用いて計算できる。3
磁界中の電流に作用する力を説明できる。3
ローレンツ力を説明できる。3
磁気エネルギーを説明できる。4
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3
自己誘導と相互誘導を説明できる。3
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。3
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。3
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000